来年に向けて行って行きたい作業
* 志村曲線
Mumford曲線の具体例として、志村曲線がある。
志村曲線の利点は、
- 離散群が具体的にわかる
- ヘッケ環の作用がある
- 極限集合がわかりやすい
- 粗moduli空間としての解釈がある
そこで、
1. Consani-MarcolliのSpectral triplesとして、志村曲線を適用して具体例を見てみる
2. special fiberの双対グラフ構造からBakerの手法で定まるラプラシアンと、Berkovich解析空間としての志村曲線に対して、カントール集合で用いられた手法が適用可能かどうか見てみる
3. Bost-Connes系のGL(2)の場合の拡張として、志村曲線の場合のBost-Connes系の計算を見てみる
という方向で進めて行きたい。
志村曲線の上に、ランダムウォークとラプラシアンが定まり、それがヘッケ環の固有値と関係してくれると非常に嬉しい。
また、志村曲線の上のQFTが、その上のランダムウォークを用いて定式化できるようであれば、
なお嬉しい。
* Berkovich空間
- Berkovich空間は、標語的には、
stable objectにはnorm
semi-stable objectにはsemi-norm
が付加され、semi-normsの同値類の中にはmultiplicativeなものが入る。
そのため、空間を捉えるには、
bounded multiplicative semi-normsの全体を持ってくればよい、
というものだった。
完全不連結な空間から局所弧状連結なハウスドルフ空間を作る、
という点で、
スキームだけではなく、
カントール集合やそのほかのフラクタル集合に対して、
それをdenseに含む空間を構成できないだろうか?
- Berkovich空間における積分
GL(2)におけるp進上半平面では、ポアソン積分とヒルベルト変換の類似があり、
Morita dualityやBreil dualityによる超関数の記述が可能だった。
ところが、Berkovich空間における積分は、ちょっと厄介である。
原因の一つは、semi-normの値域が超越的な元を含みえて、次元が不連続に変動する。
この辺りの現象をBerkovichの本によって理解してみたい。
* p進微分方程式
CFTででてくる微分方程式や、イジング模型の等モノドロミー変形
などをp進で考えたい。
そのために、p進での微分方程式を理解する必要がある。
とくに、モノドロミーについて感覚をつかみたい。
15 件のコメント:
いやあ、非常にアイディア豊富でうらましい。やりたいことがいろいろあるようで、何よりです。
さて、ひさびさにSLEの話だが、東北大の情報の学生さんの博士Get講演予告で、こんなタイトルをみつけた。貴殿好みではないかと想像してます。
Loewner chains and quasiconformal
extension of univalent functions
おそらくは、SGW先生の弟子だと思います。多分、この人。
http://ci.nii.ac.jp/Detail/detail.do?LOCALID=ART0008935565&lang=en
残念ながら、現時点ではこれ以上の情報をネット上ではみつられなかった。なので、内容は不明。
>いやあ、非常にアイディア豊富でうらましい。やりたいことがいろいろあるようで、何よりです。
単に、物を知らない、ということと、
やることが遅い、というだけで、
アイデアというものではないです。
学生時代にもっとちゃんと勉強しておけば、
といまさらながら嘆いています。
後悔先に立たず。
かてて加えて、
仕事でちょっと滅入っているのと、寒いのとで、
なかなか進まず。
arxiv Mathで論文見てみたけど、
予備知識なしなので、よくわかりませんでした。
様子見してみます。
SGWさんの弟子は博士課程の院生みたい。論文の本編はStochasticなのだろうか。今回、Arxivにでているやつは、またっくSLEではなかった。
それはそうと、KGMさんの講演は今回のシンポで一番好評だったのではなかろうか。論文を直接よむとわかりづらいことも、グラフにして図示してもらうと、簡単なことだとわかった。非常にわかりやすく話す人でした。
D-formの世界での御大、F大先生はほめてました。「いやあ、きれいにできとるね」といって。やっぱり、かなりいい結果みたいです。
質問もいっぱいでていたが、大きいものは次の2つ。
一つはギャルらしき後ろ姿の人が、p-adicでも同じような構造がありそうなんですが、、、といっているので、「むむ、、、こんなギャルがなぜp進を?」と思ってよくみたら、その世界では有名なYSDさんでした。あなたと似た発想かも。
もうひとつは、幾何の人たちで、「離散群で同じことできますか?」とか「Gromov hyperbolic spaceでは?」とかいっていました。
私も質問というか、おしゃべりしてみましたが、
1) Pearson-Bellisard は完全に含んでいる。
2) Treeという「内部構造」を考えた点が根本的に違う
3) 今回の結果をP-Bの世界の言葉になおせるのか、対応物があるのか、という質問には、めんどくさいので知らん、とのお答えでした。
ということでした。数論の問題でなにか似た構造の問題はないですね。(YSDさんも反応するくらいだし、たぶんあるかも。)
By the way,
某N大の助手クラスの人の業績をちらっと見る機会があって、えらい優秀そうなのだが、キーワードが、
p-adic KZ eq.
p-adic Drinfeld 阿蘇氏エーター
p-adic 多重ゼータ
二重シャッフル関係式
モチーフ的反復積分
p-adic 楕円ポリログ層
不分岐な混合Tateモチーフ
などなどですが、これってaka氏的にはストライク?
すみません横から失礼致します.
SLEで検索して偶然辿り着き,ブログを読ませて頂きました.非常に示唆に富む話題でものすごく参考になりました.
さて一番上の匿名様のコメントですが,仰られる通りでございます.明後日に課程博士予備審査として講演致しますので,お仕事があると思いますので無理かとは存じますが,もしご都合がつきましたら是非おいで下さい.
ただ私の専門は函数論で,もともとqcからunivalentを経てLoewnerの理論へ辿り着きました.今回の講演もSLEの話題は出てきませんが,もし興味を持って頂けるなら原稿などお送りする事もできますし,私になにかできる事があれば仰って下さい.
現在,これからの研究の矛先をSLEに向けたいと考えておりLawlerの本などでもっか勉強中です.これからもブログ読ませて頂きます.
失礼いたしました.
ちなみに私の名前をローマ字で検索すればHPを見つけられるかと思います.そちらもご興味があればぜひ.
>19:18
上の人、THX。
遠隔地なので、講演に出席するのは無理ですが、幸運を祈っております。あとで論文をお願いするかもです。
いや、私とaka氏はまえから、SLEにミーハー的な興味を持っていてね。特に、akaさんはquasi-conformal方向への拡張はあるのか、とぶつぶついいながら、日本語の「堆肥村空間論」を勉強してたんだよ。
Lawlerの本はどうですか?異常に読みづらいでしょ(笑)。あのおやぢ。
akaさん、ついに私と貴殿以外の第三者があらわれたぞ。このブログが世界制覇する日も近いな。
>SLEで検索して偶然辿り着き,ブログを読ませて頂きました.非常に示唆に富む話題でものすごく参考になりました.
そういっていただけるとありがたいです。
とはいっても、素人の床屋談義みたいなものなので、
あんまり期待しないでくださいね。
何かありましたら気軽に情報いただけると幸いです。
今後ともよろしくお願いします。
>もうひとつは、幾何の人たちで、「離散群で同じことできますか?」とか「Gromov hyperbolic spaceでは?」とかいっていました。
これは、当然そう思うでしょう。
ちょうど、今日、離散群(大鹿)の2章にある、
双曲的群の話を読んでいたところです。
もともと、SNDの伊原ゼータの論文にもあるように、
グラフは双曲型リーマン面の曲率を-∞に持っていったものと捉えられます。
δ-双曲的、という概念ででてくる、
双曲三角形と三脚の対応が、
KGMでのΔ-Y変換に対応しています。
Mumford curveを考えてみると、
Bruhat-Tits treeを基本群(この場合はShotkky群)で割ったものがでてくるので、
双曲群として少なくともShotkky群は考えられます。
問題意識としては、
* 基本群の情報のみからランダムウォークを作る
というものがありますが、
- 双曲的群から無限円境界をつくることはできる(離散群§2.6の内容)
- 無限円境界をMartin境界とみなすために調和関数の概念が必要
これはMumford curveに対応する場合はBerkovich空間のlaplacianから調和関数が定義できる。
でも、幾何から来ると仮定せずに調和関数の概念を定義するにはどうすればよいのか不明。
幾何から来る場合のC(x,y)についてcanonicalなものがあるかどうか、
について、BakerのHsia kernelが参考になるかも。
- Martin境界からultra metricが定まったとして、剰余体の標数pについて、意味づけができるか?
と、いろいろ疑問が浮かんできます。
基本群、についてこだわるとすれば、
遠アーベルの哲学、
がやはり根底にあって、
双曲型の幾何の情報は基本群から復元できる、
というのが指針ですね。
cantor集合そのものについては、
基本群が考えられないのですが、
treeという形で対応付けて、
たとえばbinary treeの場合に、
2元生成の自由モノイドとvertexを対応させると、
以前のKapranovの論文のようなpath integral的な発想ができるのでは?
という妄想もあります。
ここでも、本来p-adicに埋め込む場合のpがなにか?
という点については、何も指針がないわけですが、
むしろここを逆手にとって、
組み合わせ的なものは、
1元体上にあって、
その幾何学的実現を行うために、
一度p進を通る必要がある、
とみなすのが自然ではないか、
と思っています。
Gromovの幾何学的群論にでてくる
双曲性は、
δ=0の場合だけではなく、
δ>0の場合も許容します。
すなわち、
R-tree(曲率-∞)
という極限に至ったものではなく、
その途中のもの、
を考えています。
p進的に対応するものが何か、
と妄想してみると、
グラフがspecial fibreなので、
そのtubeが対応するはずです。
というわけで、
正月帰省時に"Rigid cohomology"(le Stum)の2,3,4章を読むつもりです。
>p-adic KZ eq.
>p-adic Drinfeld 阿蘇氏エーター
>p-adic 多重ゼータ
>二重シャッフル関係式
>モチーフ的反復積分
>p-adic 楕円ポリログ層
>不分岐な混合Tateモチーフ
上記の遠アーベル的な話とのつながりでストライクです。
FRSHさんとかBNさんのKronecker limit formulaの話にも興味があって、
それの高種数への拡張(実解析的にはA.Mcintype,L.Takhtajanの論文)
がp進であるかどうか、
というのが、調べてみたいと思っている疑問です。
>akaさん、ついに私と貴殿以外の第三者があらわれたぞ。このブログが世界制覇する日も近いな。
日本語読める外人はそういないはずなので、世界制覇は無理。
とりあえず関東制覇から。
って、まるでヤンキー。
aka様,匿名様
ありがとうございます.私も自分のqcの知識を生かせるのではと思いSLEに興味を持った次第です.まだまだ知識が足りず若輩者ですが,いろんな話に関われたら嬉しいです.
ちなみにLawlerの本は,確率の言葉が出て来るととたんに判らなくなるので避けつつ読める所からなんとか読んでいる,という状況です.いや難しい.
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