Colmezのページに基本的なことのまとめがおいてあった。
* Fontaineの周期環
INTRODUCTION AUX ANNEAUX DE FONTAINE, NOTES DU COURS DE M2
(http://www.math.jussieu.fr/~colmez/Fontaine.pdf)
複素数体上では、複素平面の極座標分解ができて、
オイラーの公式が、極方向の、一意化座標と割った座標の同一視の仕方を与えている。
Berkovich空間として、p進射影平面をみると、これは木構造の完備化で、実1次元であるから、
オイラーの公式的なものを作ろうとすると、
極方向に次元を増やす必要がある。
空間の次元を増やすことはできないので、
分岐拡大の方向に自由度を増やして、それを完備化することにより、擬似的に次元を増やす、
という方針をとることになる。
そのために、
標数pの世界と標数0の世界をつなぐ道具立て、
- p乗で結ばれる数列
- Witt環
を用意する。
ガロア群の作用が連続になる(p進,付値)の2次元的な位相環が定義され、
これを動径方向、すなわちp進方向に局所化して、極座標方向、すなわち付値方向に完備化することで、Fontaineの周期環が定義される。
* p進体値関数
FONCTIONS D’UNE VARIABLE p-ADIQUE, NOTES DU COURS DE M2
(http://www.math.jussieu.fr/~colmez/Espaces-fonctionnels.pdf)
複素数値関数としてのp進局所体上の連続関数は、局所定数だった。
では、
p進体値関数の場合はどうか、というと、これも、局所体の完全不連結性に起因して、
連続関数のなかで、局所定数関数が密になる。
とくに、連続関数のなす空間のorthonormal basesとして、
2項係数からなる多項式群をとることができる。
ここで、orthonormal basesは、ヒルベルト空間が定義されている訳ではないので、
p進Banach空間を定義して、その中で、基底と、項が無限遠で0になるような数列の空間を用いて、定義される。
次に、局所解析的関数を定義して、そのorthonormal basesが2項係数に収束条件のための定数をつけた形で決定できる。
r級の関数の定義がなされるが、r階微分可能性にさらに、テイラー展開の誤差項の一様連続性を条件に加えている。
これは、Exercice10にあるような例があるため。
局所解析的ならば任意のrでr級になる。
各r級の空間でbasesは、やはり、2項係数に収束条件のための係数がついたものになる。
* 分布、測度
DISTRIBUTIONS ET FONCTIONS ANALYTIQUES, NOTES DU COURS DE M2
(http://www.math.jussieu.fr/~colmez/Distributions.pdf)
関数に加えて、分布、測度が定義される。
Amice変換として、2項係数関数による母関数が定義され、
分布に対して、ベキ級数が対応する。
分布への操作と、Amice変換によるべき級数の対応がリスト化される。
3 件のコメント:
分野も違うし、F語も苦手なもので、よく理解してないのですが、
p進Banach空間の理論を構築している人たちは、それを何に利用しようと思っているのでしょうか?
一つは、p進Langlands対応だと思います。
代数群の表現空間として、p進Banach空間をとって、
保型表現を考えます。
保型表現と、ガロア群の表現に対応が存在する、
というのが、Langlandsの哲学で、
classicalな意味での局所体上の保型表現と局所体のガロア群の表現との間の一対一対応は既に証明されています。
(ただし、証明法は大域的なShimura多様体を経由しているので、最近では、これを局所体上の話だけで議論できるようにしようとする話も盛んです。)
そこで、p進保型表現を定義しようとする訳ですが、
ここで、modular curveのエタールコホモロジーをlevelによって、完備化したp進Banach空間上に表現を構築する、
というのがBreuilやColmezの取り組みになります。
一方、p進Banach空間自体は、
p進解析空間を定義する際に自然に現れます。
affinoide algebraはBanach代数です。
上半空間のような志村多様体の被服空間を記述する際には、スキームではなく解析空間が必要になるので、
この意味でもp進Banach空間は必要になります。
また、
肥田理論やガロア群の変形理論にも、
p進Banach空間は自然に現れます。
代 数群 のP進L関数 とP進13ecke環
(http://www.journalarchive.jst.go.jp//jnlpdf.php?cdjournal=sugaku1947&cdvol=44&noissue=4&startpage=289&lang=ja&from=jnlabstract)
をみると、
保型形式の大きな空間への持ち上げ、
ガロア表現の変形
といった話がでてきます。
非論理的な妄想としての興味として、
1次元のSchlodinger作用素について、
周期ポテンシャルの摂動で得られる概周期ポテンシャル
について、スペクトルは絶対連続スペクトルになり、
oracleの定理のような摂動に対して極めて固い性質を持つ。
ガロア表現で幾何からくる場合をその類似として、
摂動に対して極めて堅い性質を持って、
さらにその固さを測るもものが欲しくなる。
また、ガロア表現のスペクトル(この場合は、Frobenius作用素の固有値ということになるだろう)
について、絶対連続性に類似の性質とは何になるだろうか?
という興味があります。
RやCの世界では、たいていのバナッハ空間などは関数空間で、微分方程式の解をとらえるための「枠組み」として使っている場合が多いように思うけれど、p進の世界ではそういう感じではないわけ?
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