箱玉系では、超離散化した後に、ソリトンやタウ関数を考えていた。
では、
先にソリトンを超離散化するとどうなるか?
という疑問がわくが、
[Kdm]KP solitons and total positivity for the Grassmannian
(http://arxiv.org/abs/1106.0023)
では、N-ソリトンのタウ関数(すなわちWronskian)
を超離散化して、組み合わせ論的な対応をみている。
ここでの超離散化は、指数和で書かれているタウ関数についてのもので、
指数の肩の最大値をとる場所を見ている。
そうすると、区分的線形関数が現れ、変化を区切る直線、
すなわちtropical varietyがでてくる。
そのような超離散化をうまく進めるために、total positivityが有効である。
タウ関数をBinet-Cauchyの公式で展開してそれぞれの項をみるので、
そのすべての係数が正、という性質がtotal positivityになり、
有限次元のGrassmannianのtotal positive partへの埋め込み
と
超離散化の結果の離散構造の対応
ができる。
ただ、
ここででてきた離散構造(generic fiber)
と、
箱玉系における離散構造(special fiber)
との間には、双方でヤング図形が現れるものの意味が異なり、
そのままでは直接的な対応がない。
そもそも、
N-ソリトンではWronskianが定義されるためには、
振幅はすべて異なっているが、
箱玉系では、同じ振幅のソリトンが複数個存在していて、
後者のヤング図形は振幅の個数を表している。
そのため、振幅のクラスタリングを考える必要があるとも思える。
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ベーテ仮説と組合せ論6.4 超離散広田三輪方程式の証明
の項では、
N-ソリトン解と次のように対比していた。
(型1^L,n=1でA_{1}^{1}の場合のみ見る。)
ソリトンの個数N<->μのヤング図の台の深さをN
時間発展の変数(t1,t3,...)<->{1,...,N}
それぞれのstringをソリトンと見なすので、
(μ_{i},J_{i})(i=1,...,N)に対して
(ソリトンの数理§3.3頂点作用素の記号で)ソリトン解で用いられる(p,q,ξ)を、対応させる。
ただ、[Kdm]では、時間変数として3変数(x,y,t)を取って議論しているので、
組み合わせの対象が異なるのは確か。
3 件のコメント:
ベーテ仮説についての本が気にったようですね。サマースクールに向けて、ウォーミングアップでしょうか。
久々のSLEネタ。LAwlerの弟子みたいだが、SLE+RPという信じがたいコンビネーションで論文を書いてる! ホンモノだろうか。(まだ読んでないけど。)
REGULARITY OF SCHRAMM-LOEWNER EVOLUTIONS, ANNULAR CROSSINGS, AND ROUGH PATH THEORY, BRENT M. WERNESS
http://arxiv.org/PS_cache/arxiv/pdf/1107/1107.3524v1.pdf
情報ありがとうございます。
SLE&RPということは、
とうとう匿名さんの出番ですね。
>ベーテ仮説についての本
正直、妙なところで一般化されていて、
一読して意味を掴むのが非常に困難な本ですが、
序論で様子を掴んで、
原論文や数理研講究録など参考にして読んでいます。
チェックのためにプログラムを公開してもらえたら、
理解するのが楽なんですが。
結局、通常の量子群の結晶基底の話をクリスタルに一般化して、この本の範囲で何が嬉しいのか理解できていません。
私としては、
組み合わせ論的なは立場より、
背後の幾何的な構造に興味を持っているので、
結晶基底とか幾何的に作る話を含めてもらった方が、
嬉しかったです。
とりあえず、周期的箱玉系について、もうすこしみたら、
次は、クラスター代数の話を見る必要がありますが、
これ、Fock-Goncharovの論文(MODULI SPACES OF LOCAL SYSTEMS AND HIGHER TEICHMU ̈LLER THEORY)で
タイヒミュラー空間にも触れられていて、
非常に面白そうですね。
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