2013年3月2日土曜日

常微分方程式

* 基礎的事項
常微分方程式について、
- 複素数体上
- p進体上
それぞれで特有の事項と類似の事項がある。

** 類似の事項
- 局所解、大局解の概念がある
- 微分加群の概念が定義でき、標数0の微分体上の微分加群の場合はcyclic vectorが存在する
- Riemann-Hilbert対応があり、位相的な情報と微分方程式の同値類の対応がある
- 形式冪級数、収束冪級数、それぞれに対応する環について算術的側面と幾何的側面がある
- 典型的な微分方程式として、指数関数、冪関数に対応する方程式が存在する

** 複素数体上の特有事項
- Cauchyの定理により非特異点では局所的に解が存在する
- 収束性と微分の相性が悪い
- 扇形領域における漸近展開の概念がある
- 形式解に対応する漸近展開を持つ真の解が存在する
- 確定特異点、不確定特異点の概念がある
- Stokes構造の概念があり、解空間の分解(filtration)が存在する
- モノドロミー保存変形の理論がある

** p進体上の特有事項
- 指数関数の収束半径が有限
- Cauchyの定理が成立せず、局所的な水平切断の収束半径が問題になる(収束半径>0だが完全不連結なので必ずしも繋げない)
- 収束性と微分の相性が良い
- 形式冪級数環の部分環として、円盤、円環上の関数環、有理関数体の部分環の完備化、(bounded)Robba ringなどが取れる

- spectral radiusによりNewton多角形が定義され、visible decomositionが存在する。
- Frobenius作用素によるpush-forward, pull-backが定義できる場合があり、収束半径の制御が出来る場合がある
- (dualizable)Frobenius構造に対してslope filtrationが定義できる。
- Berkovich空間上の微分加群はretractionとなっている局所有限グラフで制御される

- 標数pの完全体kに対してE=k((x))とすると、G:Eの絶対Galois群のp進表現の圏とetale-φ加群の圏は同値
- さらに、局所有限モノドロミーを持つp進表現の圏とbounded Robba ring上のetale-φ-∇加群の圏は同値


* 疑問点
- middle convolutionに対応する操作をp進常微分方程式に対して行うこと(有限体を完全体に拡張できるか?)
- p進常微分方程式におけるモノドロミー保存変形、特にTate-curve上でのIsing模型
- p進常微分方程式に対応するGalois表現に対応するAbbes-Saitoのcharacteristic cycleは、
複素数体上のD加群のcharacteristic cycleのような解釈を持つのか?
- 具体的なGalois拡大(Artin-Schrier拡大、Kummer拡大)に対応するp進微分方程式の具体的な記述
- 複素数体上における特異点の合流の類似として暴分岐Galois表現のconductorのblow-upによる解釈を理解すること

* 基礎的事項に関して

微分方程式の不確定特異点
http://www.kurims.kyoto-u.ac.jp/~kenkyubu/kokai-koza/H23-takuro.pdf

p進表現とp進微分方程式: 正標数の局所体の場合
http://www.math.is.tohoku.ac.jp/~fujiwara/sendai/shiho.E.pdf
Local and global structure of connections on nonarchimedean curves
http://arxiv.org/abs/1301.6309v2
Continuity and finiteness of the radius of convergence of a p-adic differential equation via potential theory
http://arxiv.org/abs/1209.6276v1

* 疑問点に関して
特殊関数と代数的線型常微分方程式
http://www.ms.u-tokyo.ac.jp/publication/documents/spfct3.pdf

Arithmetic and Differential Swan Conductors of rank one representations with finite local monodromy
http://arxiv.org/abs/0711.0701v2
On refined ramification filtrations in the equal characteristic case
http://arxiv.org/abs/0911.1802v3

Rank One Solvable p-adic Differential Equation and Finite Abelian Characters via Lubin-Tate groups
http://arxiv.org/abs/math/0612725v2

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