2009年10月8日木曜日

有限グラフとリーマン面

Riemann-Roch and Abel-Jacobi theory on a finite graph
http://arxiv.org/abs/math/0608360
Specialization of linear systems from curves to graphs
http://arxiv.org/abs/math/0701075

metrized graphにも、
リーマンロッホの定理やヤコビアン多様体が定義できて、しかるべき性質を持つらしい。

そうすると、気になるのは、リーマン面のヤコビアン多様体が佐藤グラスマンに埋め込めたように、
metrized graphのヤコビアン多様体が埋め込める離散佐藤グラスマンがあるのではないか?
とかんぐりたくなる。

そのためには、
metrized graphをスペクトル曲線(?)にもつ可積分系、
あるいは広田の双線形法に対応する留数定理
といったものが必要になる。

Discrete Riemann Surfaces andDiscrete Integrable Systems
http://www.newton.ac.uk/programmes/DIS/seminars/042914001.pdf
にリーマン面の中にcycleとしてfinite graphを埋め込む様子が描かれていた。

- finite graphのラプラシアンとIhara zeta関数の関係
- Riemann-Rochの定理ででているオイラー数とラプラシアンの固有関数の次元との関係
- finite graphのクラスター展開におけるアーセル関数の表示とラプラシアンの関係
- finite graphの上のブラウン運動を用いて、finite graphの上の可積分系を作れないか?
- 一つの辺が長さ0に退化していくとき、混合構造のようなものは存在するか?
といった辺りが、疑問点となる。

さらに、応用として、
- スペクトラルクラスタリング
http://nlp.dse.ibaraki.ac.jp/~shinnou/zemi2008/Rclustering/r-motegi-0624.pdf
といったあたりと関係付けることはできないだろうか?

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ZETA FUNCTIONS OF WEIGHTED GRAPHS AND COVERING GRAPHS
http://www.newton.ac.uk/preprints/NI07064.pdf
にはfinte graphのcoveringの話が出ていた。
基本文献として、
M. Kotani and T. Sunada, Zeta functions of nite graphs, J. Math. Sci. Univ. Tokyo, 7 (2000), 7-25.
http://journal.ms.u-tokyo.ac.jp/pdf/jms070102.pdf
を読む必要がありそうだ。

3 件のコメント:

匿名 さんのコメント...

ネット上にあるよ。知ってるかも知れないけれど。

http://journal.ms.u-tokyo.ac.jp/pdf/jms070102.pdf

metric graph 上では、類似はあるかって話になるのかいな?

匿名 さんのコメント...

あと、直接関係ない件ですが、
最近こんなページをみつけたぞ。

信州大のTMKさんという人のページらしい。

目次
http://pantodon.shinshu-u.ac.jp/topology/literature/list_of_pages.html

グラフのzeta関数
http://pantodon.shinshu-u.ac.jp/topology/literature/zeta_function_graph.html

トポロジーと確率論の関係
http://pantodon.shinshu-u.ac.jp/topology/literature/probability.html

aka さんのコメント...

リンクありがとうございます。
見つけられていませんでした。

この論文、背景まできちんと説明してあってよさそうですね。
とりあえずこれで、
複素上半平面のラプラシアンに関するSelbargの跡公式、
と、それに対応する有限グラフのラプラシアン、
という図式が明確になってすっきりしました。
組み合わせ的あるいは幾何的な話と解析的な話が絡み合うのが、
ゼータの楽しいところで、
伊原ゼータもその楽しさは失われていない、
というところでしょうか。

metrized graphとして考えるときは、
各辺の長さで話が変わってくるので、
- グラフのレベルでの不変量
- metricに依存する量
がどう分別できるのか、という話になりますね。
たとえば、Quillen計量に対応するmetricはfinite graph上にあるのか?
もしあるのなら、Bakerの論文になるcanonical measureとの関係は何か?
といった話とか。


TMKはよく参照しています。
やはりfinite graphから外れて、
無限分岐だったり、自己同型な無限グラフだったりする場合は、グラフのC*環が必要になるのですね。
Marcolliの論文は、
必読でしょうか。

確率論の立場からみて、
C*環のお勧めの入門書ってありますか?
できれば、
ラプラシアンの話、
ブラウン運動あるいは乱歩との関係をお手軽に解説した本。