2010年8月26日木曜日

トポロジーからのループ群

* 無限対称積と中心極限定理
中心極限定理は、平均0、有限分散の独立同分布の和の極限分布の弱収束を主張する。
一方、Dold-Thomの定理は、
空間のホモロジーが無限対称積のホモトピー群で表せることを主張する。
Symmetric products of surfaces; a unifying theme for topology and physics
(http://arxiv.org/abs/math/0408417)

リーマン面の構造は、
基本的に一次の(コ)ホモロジー群のカップ積、
あるいは周期により統制されるので、
ガウス分布とリーマン面は類似のもの、とおもいたくなる。

また、
n-simplexは[0,1]のn次対称積なので、
∞-simplexを[0,1]の無限対称積と見ることは、
path空間を考える上で興味深いと思われる。

* Witt vector
WITT VECTORS OF NON-COMMUTATIVE RINGS AND TOPOLOGICAL CYCLIC HOMOLOGY
(http://www.math.nagoya-u.ac.jp/~larsh/papers/006/)
では、非可換な場合のWitt vector(この場合は環にはならない)を構成していた。
Frobenius写像、Verschiebung写像も定義される。


* ホッジ構造
Hodge to deRham スペクトル系列のE1退化について、
代数多様体の場合には、超越的な方法とは別に、
標数pを経由して、Cartier写像を見ることで示す方法がある。
ex. de Rham complex の分解について:Deligne - Illusieの結果の紹介(Frobenius写像の可換環論への応用)
(http://repository.kulib.kyoto-u.ac.jp/dspace/handle/2433/101722)

この方法は、
Non-commutative Hodge-to-de Rham degeneration via the method of Deligne-Illusie
(http://arxiv.org/abs/math/0611623)
により、
Hochshild cohomologyとCyclic cohomologyの関係
ついて、拡張された。

* 複素コボルティズム
Complex cobordism and algebraic topology
(http://arxiv.org/abs/0707.3216)
をみると、
1次元formal group lawと乗法的コホモロジーとが結びつき、
乗法的コホモロジーの親玉として、
複素コボルティズムが現れる。
formal groupの自己同型群Γは、
Aut(R((z)))の形をしている。
ここから自然にWitt環と結びつく。

1次元formal group lawのstackは、
elliptic curveの原点から作られるものを
含むため、
それに対応するコホモロジー理論
が気になってくる。

* 楕円コホモロジー
A Survey of Elliptic Cohomology
http://www-math.mit.edu/~lurie/papers/survey.pdf
では、
楕円曲線に対応するコホモロジー理論
についてのsurvey。
Derived algebraic geometryの言葉を用いている。

スキームがnon-reducedを含むことにより、近傍や交わり、特異点
の記述を透明にしたように、
higher homotopyを無限小近傍とみなすことで、
物事を透明にするようだ。

とくに5.2 Loop group representation
にある、elliptic curveが退化していく場合の扱い、
G-同変楕円コホモロジーがG-同変K理論に退化していく場合に、
Gの表現とLGの表現が結びつく、
という話が興味深い。

What precisely are $E_{\infty}$ ring spaces and $E_{\infty}$ ring spectra?
(http://arxiv.org/abs/0903.2813)
に、基本となる$E_{\infty}$ ringの解説がある。

* Topological Modular Form
Topological modular forms (aftern Hopkins, Miller, and Lurie)
(http://arxiv.org/abs/0910.5130)

楕円曲線のmoduliの大域切断が保型形式だったので、
Derived stackとしての楕円曲線のmoduliの大域切断
が何なのか気になってくるが、
それをTopological modular formと定義して、
Witten genus等との関係を説明している。

保型形式をp-adicに調べる際には
楕円曲線に付随する、p-divisible groupが役に立った。

Topological modular formの整数環上の基底や、
ヘッケ環との関係、Galois群との関係、
など、気になる。

また、楕円曲線がでてきたのは、
1次元formal group lawということからだったが、
高種数の曲線のヤコビアンからできるformal group lawと、
なんらかのコホモロジー理論を対応させて、
Derived Teichimuller空間なんていうものができると、
とっても楽しい。


* Witten genus
The Witten genus and vertex algebras
(http://arxiv.org/abs/0811.1418)

QUOTIENT OF A LOOP GROUP AND WITTEN GENUS
(http://adsabs.harvard.edu/abs/2001JMP....42.1364L)


LOG THH AND TC
(http://folk.uio.no/rognes/yff/rognes.pdf)

15 件のコメント:

匿名 さんのコメント...

Info

http://www.math.tohoku.ac.jp/~ytakao/conf10-2.html

ひょうっとして、p-adic SLE なんて、ありうるのか???

って、1年前の話題に戻ったような、、、、

数理物理の勉強会はいかがでしたか?

aka さんのコメント...

>http://www.math.tohoku.ac.jp/~ytakao/conf10-2.html
見る限り、新規なことはなさそうですね。

小谷さんの話は面白かったです。
いま、復習をしているのですが、
基本概念は、
素性の分かっている対応を変形する、
ということになります。
この、変形というところで、
単位円周上の測度の変形とみて、

普遍タイヒミュラー空間、

aka さんのコメント...

普遍タイヒミュラー空間からの、nag Sullivanの写像と関係ずけられないか?
スペクトルと、多項式写像の作る複素力学系のFatou集合を関係ずけられないか?

といった辺りを念頭に、
Barry Simon関係の論文を眺めています。
随時まとめて行く予定です。

出来ればAvila-YoccozのIHESから出ている論文も理解して、
概周期ポテンシャルの場合を理解したいです。

aka さんのコメント...

離散シュレディンガーは戸田格子とJacobi行列を通して対応します。
これを2次元戸田場と対応させ、
KricheverやTeo,Takasaki,Takebe
の話と絡めてくれば、
代数的でないリーマン面、
台が複雑な場合のポテンシャル、
可積分系とKAMが適用できる範囲での摂動、
といった辺りが、
見通し良くなるのではないでしょうか?

aka さんのコメント...

http://www.math.caltech.edu/rice.html
これ、どっかで手に入らないでしょうか?

匿名 さんのコメント...

後で探してみるよ。今はちょっと出張先なので、まってください。

匿名 さんのコメント...

よく見ると、今年の12月発売でっせ。ネット上に落ちていなければ、おとなしく待つしかなさそうです。

aka さんのコメント...

>よく見ると、今年の12月発売でっせ。ネット上に落ちていなければ、おとなしく待つしかなさそうです。

やはり。
どうもありがとうございました。
B.Simonの論文をいくつかみてみたのですが、非常にreadableなものばかりでした。
練習問題として、
本が出るまでに、目次から本の内容を理解する、
を念頭に論文を見てみようと思います。

匿名 さんのコメント...

B. Simonは完全に別格です。これであなたも、1年先輩のランダムシュレーディンガーに詳しい人や、2年先輩でDX当時につれていってくれた人と共通の話題ができましたのう。

思えば遠いところまできたものだ、、、、

ところで、上で「復習1-5」として書いたものはすべて講義内容か既知の結果で、あなたの構想(妄想?)部分はないと思っていいんでしょうか?

aka さんのコメント...

>ところで、上で「復習1-5」として書いたものはすべて講義内容か既知の結果で、あなたの構想(妄想?)部分はないと思っていいんでしょうか?

既知の結果の羅列になります。

私が知りたいことは、
スペクトル測度に対応する小谷さんの、
wが、いつ普遍タイヒミュラー空間から来るか?
ということと、
概周期の場合の例として、
概マシュー作用素の場合のスペクトル測度には、
どのようなwがたいおうするか?
という点です。

前者については、
SimonのOrthogonal polynomial on unit circle
によって、
自然にH^1/2がでてくるのと、
具体的に分かっている箇所で構成を整理する、
ということが必要です。

aka さんのコメント...

後者は、Avilaが絶対連続スペクトルのみ持つ場合の証明をしているので、
それをりかいすることからはじめようかと。

妄想としては、葉層構造の非可換幾何という事で、
3次元多様体と結びつける、
もしくはManinの非可換トーラス上のテータ関数と、
と関係付ける、
といった展開があると
嬉しいですね。

aka さんのコメント...

http://www.math.ucla.edu/~thiele/lecturenotes/nlft.pdf
に、nonlinear fourier analysisという枠組みで
OPUCや逆散乱法を捉えていますが、
線形なものからの摂動を記述する
という指向で
タイヒミュラー空間を含めて
理解したい、
と思っています。

さらに、妄想をつづけると、
数論で、Tate's thesisというのがあって、
アデール上のフーリエ変換の視点で
ゼータ関数の関数等式などを解釈していて、
その非線形化がどうなるか?
というのが、
多分最終的な目的地になります。

aka さんのコメント...

>思えば遠いところまできたものだ、、、、
始まりが、
小谷さんの、微分方程式と固有値展開、
なので、
私としては、
まだ一歩も進めていない状況です。
そういえば、
サインもらうの忘れました。
個人的に質問することはできたのですが。

匿名 さんのコメント...

>思えば遠いところまできたものだ、、、、

いや、そういう意味じゃなくてね、代数が専門のaka氏が、いつのまにかBarry S.のような、ハードコアな解析学者の本を読んでいるんだから、感慨深いもんだと思ったわけです。

あと、某研究会に行ったら、某雑誌の特別号を無料でもらったので、あなたにもあげます。(住所は変わってないね?)まあ、興味のない分野だとは思いますけど、読み物系の軽いものなので、安心してください。8つの論文中、あなたの興味のある分野も少なくとも2つはある。

http://www.sciencedirect.com/science?_ob=PublicationURL&_tockey=%23TOC%235670%232010%23998799994%231789686%23FLA%23&_cdi=5670&_pubType=J&_auth=y&_acct=C000050221&_version=1&_urlVersion=0&_userid=10&md5=1f3c1e47bed6eb0b663af960d5565945

aka さんのコメント...

>あと、某研究会に行ったら、某雑誌の特別号を無料でもらったので、あなたにもあげます。(住所は変わってないね?)
有難うございます。
住所は変わっていません。
ポストに一杯のダイレクトメールを捨てなければ。