期待値
(GO 2.2.1) 確率論では期待値はある確率測度の元での確率変数の積分。
確率測度を表に出さずに積分を見ようとすると、
n次元向き付け可能閉多様体Mの場合、de-Rham cohomologyの最高次数が体積要素で、
期待値はtop formとのcup積になる。 すなわち、HndR(M)が積分の空間とみなせる。
これは、coker(Ωn−1(M)→Ωn(M))であるが、
ベクトル場によるcontracitonを用いて、∧kTM⊗ΩkM≃Ωn−kMと同一視すると、
coker(TM⊗ΩnM→ΩnM)と書ける。
de-Rham複体を書き直すと、
∧nTM⊗ΩnM→⋯→∧2TM⊗ΩnM→TM⊗ΩnM→ΩnM
となり、多重ベクトル場SymOMTM[1]の作用を持つ。
(至る所消えない)体積要素μを固定すると、 mμ:∧kTM→Ωn−kM,X↦ιXμにより、
BVラプラシアン Δμ=m−1μ∘d∘mμ が定義でき、上記の複体を見ると、
μに関するBV複体(SymOMTM[1],Δμ)が定義できる。
M上の関数fに対して、その測度μに対する期待値<f>μは
H0(SymOMTM[1],Δμ)において、
[f]BV=<f>μ[1]BV
という関係をもつ。ただし、[f]BV,[1]BVはf,1のcohomology類(GO lem2.2.2)
従って、cohomologyが1次元の場合には、測度を表に出さずにcohomology類を表す係数として、期待値が表される。
特にM=Rnでμ=exp−SμLebesgueの場合(compact support係数を取って)、
BV複体はtwisted de-Rham複体(Ω∗M,d−dS)を書き直したものになる。
BV量子化
derivationからのズレを測る量として、Poisson括弧がある。
多重ベクトル場に対するPoisson括弧の拡張として、Schouten括弧があり、cohomological degree1のPoisson括弧とみなせる。 commutative dg代数(A,d)に対して、Poisson括弧の情報を付加した(A,d,{−,−})をPois0代数と呼ぶ。(GO Def2.1.3)
Pois0代数をspecial fiberに持つ代数の変形を量子化とみなしたい。そのために、
Beilinson-Drinfeld(BD)代数Aq=(A,d,{−,−})を、R[[ℏ]]上flatなgraded commutative algebraで、
{−,−}がdegree1のPoisson括弧、dが
d(ab)=(da)b+(−1)|a|a(db)+ℏ{a,b}
を満たすもの、と定義する。(GO Def2.2.5)
Aqℏ=0=Aq⊗R[[ℏ]]R[[ℏ]]/(ℏ)は定義からPois0代数であり、
generic fiberAℏ≠0=Aq⊗R[[ℏ]]R((ℏ))はただのcochain complexである。
Pois0代数Aをspecial fiberに持つBD代数AqをAのBV量子化という。(GO Def2.2.6)
M=Rnでμ=exp−SℏμLebesgueの場合、
special fiberがSymOMTM[1],−ιdS)で、
量子化がSymOMTM[1],−ιdS+ℏΔ)となるものを考える。
BV量子化の例として、
- -1 symplecticベクトル空間(GO 2.4.1, 2.4.9, Prop2.4.10)
- 自由場(GO2.5.3)とformal Hodge theory(GO 2.6 Global observables and formal Hodge theory)
がある。
Feynman diagram
V∙=K[[x1,…,xN,ξ1,…,ξN,ℏ]],deg(xi)=0,deg(ξi=1,deg(ℏ)=0
で定義されるgraded-commutative代数に対して、deg(-1)の微分作用素
Q=∑Ni,j=1ai,jxi∂∂ξj−∑Ni=1∂b(x)∂xi∂∂ξi−ℏ∑Ni=1∂2∂xi∂ξi
を定義し、BV代数(V∙,Q)のhomology類を計算したい。(GJF)
bが0の場合、Wickの補題になる。(GJF Example1, GO lem2.3.2)
bが0でない場合、Feynman diagramを用いて計算できる。(GJF 3:general case, GO 2.3.3, Prop2.3.6)