2013年12月11日水曜日

サマースクール復習その9


期待値

(GO 2.2.1) 確率論では期待値はある確率測度の元での確率変数の積分。 
確率測度を表に出さずに積分を見ようとすると、 
n次元向き付け可能閉多様体Mの場合、de-Rham cohomologyの最高次数が体積要素で、 
期待値はtop formとのcup積になる。 すなわち、HndR(M)が積分の空間とみなせる。 
これは、coker(Ωn1(M)Ωn(M))であるが、 
ベクトル場によるcontracitonを用いて、kTMΩkMΩnkMと同一視すると、 
coker(TMΩnMΩnM)と書ける。 
de-Rham複体を書き直すと、 
nTMΩnM2TMΩnMTMΩnMΩnM 
となり、多重ベクトル場SymOMTM[1]の作用を持つ。 
(至る所消えない)体積要素μを固定すると、 mμ:kTMΩnkM,XιXμにより、 
BVラプラシアン Δμ=m1μdmμ が定義でき、上記の複体を見ると、 
μに関するBV複体(SymOMTM[1],Δμ)が定義できる。 
M上の関数fに対して、その測度μに対する期待値<f>μは 
H0(SymOMTM[1],Δμ)において、 
[f]BV=<f>μ[1]BV 
という関係をもつ。ただし、[f]BV,[1]BVはf,1のcohomology類(GO lem2.2.2) 
従って、cohomologyが1次元の場合には、測度を表に出さずにcohomology類を表す係数として、期待値が表される。
特にM=Rnμ=expSμLebesgueの場合(compact support係数を取って)、 
BV複体はtwisted de-Rham複体(ΩM,ddS)を書き直したものになる。

BV量子化

derivationからのズレを測る量として、Poisson括弧がある。 
多重ベクトル場に対するPoisson括弧の拡張として、Schouten括弧があり、cohomological degree1のPoisson括弧とみなせる。 commutative dg代数(A,d)に対して、Poisson括弧の情報を付加した(A,d,{,})Pois0代数と呼ぶ。(GO Def2.1.3)
Pois0代数をspecial fiberに持つ代数の変形を量子化とみなしたい。そのために、 
Beilinson-Drinfeld(BD)代数Aq=(A,d,{,})を、R[[]]上flatなgraded commutative algebraで、 
{,}がdegree1のPoisson括弧、dが 
d(ab)=(da)b+(1)|a|a(db)+{a,b} 
を満たすもの、と定義する。(GO Def2.2.5)
Aq=0=AqR[[]]R[[]]/()は定義からPois0代数であり、 
generic fiberA0=AqR[[]]R(())はただのcochain complexである。 
Pois0代数Aをspecial fiberに持つBD代数AqAのBV量子化という。(GO Def2.2.6)
M=Rnμ=expSμLebesgueの場合、 
special fiberがSymOMTM[1],ιdS)で、 
量子化がSymOMTM[1],ιdS+Δ)となるものを考える。
BV量子化の例として、
  • -1 symplecticベクトル空間(GO 2.4.1, 2.4.9, Prop2.4.10)
  • 自由場(GO2.5.3)とformal Hodge theory(GO 2.6 Global observables and formal Hodge theory)
がある。

Feynman diagram

V=K[[x1,,xN,ξ1,,ξN,]],deg(xi)=0,deg(ξi=1,deg()=0 
で定義されるgraded-commutative代数に対して、deg(-1)の微分作用素 
Q=Ni,j=1ai,jxiξjNi=1b(x)xiξiNi=12xiξi 
を定義し、BV代数(V,Q)のhomology類を計算したい。(GJF)
bが0の場合、Wickの補題になる。(GJF Example1, GO lem2.3.2) 
bが0でない場合、Feynman diagramを用いて計算できる。(GJF 3:general case, GO 2.3.3, Prop2.3.6)

1 件のコメント:

匿名 さんのコメント...

akaさんは帰省されるのでせうか?

ところで最新情報。まだ読んでないけれど。この著者はもう、いっちゃってますな。

Quantum Loewner Evolution
Jason Miller, Scott Sheffield
http://arxiv.org/abs/1312.5745

おまけ。数理物理専攻の貴殿としてはいかがでしょうか。テータ関数も詳しいし。

http://arxiv.org/abs/1312.5848