2014年7月9日水曜日

準備の論文を眺める その2


関数と値

ある空間上の関数に対して、その空間上の点における関数の値を対応させるには、 
- δ関数との叩きこみ(複素数体上ではCauchyの積分公式) 
- (環論的に)空間を局所化して、極大イデアルによる剰余を取る 
という方法がありうる。 
これらは基本的には環構造により定まるもの。 
こうした空間に対する操作を圏論的に扱おうとすると、 
どういった方法があるのだろうか?
Anabelian geometryの考え方は、 
空間に関する情報を全て数論的基本群の中に見出す、 
というものであったから、 
関数は何らかの位相群から定まるものであって欲しい。

Kummer理論

初等的なGalois拡大の理論の中で、 
具体的に拡大体を構成する方法として、Kummer拡大がある。 
これは、HIlbertの定理90により、 
体の乗法群の1次のGalois cohomologyが消滅するので、 
cyclotomyとAbel拡大を結びつけるもの。 
特に体として、Anabelian geometricな空間の有理関数体を取ると、 
空間の数論的基本群と群cohomologyと、 
Kummer拡大に対応するcohomology classを対応付けることが出来る。

Etale theta class

[EtTh]§1では、1点穴あき楕円曲線の場合に、 
具体的に theta functionに対応するcohomology class、 
etale theta classを構成している。(Prop1.3) 
さらに、関数体の有限次拡大Lに対して、 
対応するtheta functionのL値点での値の同値類と 
etale theta classが一致することを示している。(Prop1.4)

Mono-theta environment

[EtTh]§2では、Def2.13で(model)mono-theta environemntが定義されている。 
これは、tempered fundamental groupと同型な位相群からfunctroialに導出され、 
逆にmono-theta environmentからtempered fundamental groupが導出される。(Cor2.18)

Frobenioid

Mono-theta environmentはある種のFrobenioidという圏の性質を満たす。 
これによって、etale pictureとFrobenius pictureをtheta functionを通して、 
関係づけることが出来る。
[IUTchI]Example3.2で、 
theta functionとその値()元の楕円曲線のq-paramterに関係する値を用いて、
  1. Frobenioidのcharacteristic splitting
  2. splitした片方をtheta functionとその値の対応で対応付ける
  3. Frobenioidを戻す
という操作を行い、Frobenioidのnatural equivalenceを与えている。

rigidity

上記の対応を行う際に、色々な時点で色々な不定性が生じる可能性がある。 
- etale theta functionの持つrigidityにより悪い不定性は起きないことを確かめる 
Θ-linkのdomain/codomainに不定性を吸収する操作を入れる 
という2つのことを行い、 
Θ-linkがwell-definedであることが示される。

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