2016年9月4日日曜日

サマースクール復習(2016) その3

Witten予想とタウ関数

[M]では、
“Kontsevich [55] used the matrix Airy function to obtain all intersection numbers. The topological recursion replaces the asymptotic analysis of matrix integrations with a series of residue calculations on the spectral curve x = y^2.”
という記載がある。

[村瀬]では、

  • W:Riemann面のモジュライ空間の交点理論の生成関数
  • K:行列積分=リボングラフの空間のユークリッド体積を与える生成関数
  • Witten予想は、W(の指数)がVirasoro代数の作用(半分)で消える、ということと、それがKdV階層のタウ関数であること

に対して、

  • Kは、行列積分の一般的な性質からVirasoro条件、タウ関数の性質を自明に満たす
  • W=Kは、開いた弦理論と閉じた弦理論の対応

という説明があり、
更に自然な説明として、Eynard-OrantinのTopological recursionによる説明をあげている。

[DM]では、

  • Airy関数(複素関数)の漸近展開から定まる係数がRiemann面のモジュライ空間の交点数を用いて表わされること
  • それが、Topological recursionと、Hitchin spectral curveの量子化としてのQuantum curveとの関係によって解釈できること

の記述がある。
Riemann面のモジュライ空間の交点数、とは、1点に対するGromov-Witten invariantsであるから、一般の(シンプレクティック)多様体に対して、同様の解釈ができるのか?という点が自然な疑問となる。

CohFT

Gromov-Witten invariantsに対する抽象化として、Frobenius多様体がある。
これは、多様体に対するordinary cohomologyを変形する際の条件を抜き出したもの、と解釈できる。
[Dub]のLecture2では、位相的場の理論のmoduliがFrobenius多様体の構造を持つことの説明がある。

タウ関数

幾何学的量子化

[CPS] Geometric Quantization with Applications to Gromov-Witten Theory

  • Weyl量子化
  • 変形量子化
  • 幾何学的量子化

という量子化の方法があるが、
佐藤グラスマン多様体と量子化を結びつけようとすると、
シンプレクティックLoop群の接空間として現れる無限次元ベクトル空間に対する量子化がでてくる。

  • SE:String equation(2.2.1)
  • DE:Dilation equation(2.2.2)
  • TRR:Topological recursion relations(2.2.3)
  • DE:Divisor equation(2.2.4)

のうち、SE+DE+TRRを満たすものを、Gromov-Witten theoryの公理系と呼ぶ。これは、FJRW理論にも適用可能(らしい)。(2.3. Axiomatization)
Gromov-Witten theoryの公理系に対してタウ関数が定義される。(Def4.2)
さらに、シンプレクティックLoop群がGromov-Witten theoryの公理系の集合に作用し、rankを固定すれば推移的。(Th4.1)

量子コホモロジー

Frobenius多様体に対応する、ordinary cohomologyの変形として現れるcohomologyは量子コホモロジーと呼ばれる。

量子コホモロジーに関しては、
Weyl量子化により、量子D加群がでてきて、その特性多様体として、Lagrangianが出てくる。
一方、Gromov-Witten invariantsの生成関数からGivental Lagrangian coneが定義される。

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