2009年7月17日金曜日

KdVと逆散乱法

Strum-Liouville型の作用素に対して、
スペクトル測度からポテンシャルを決定する逆散乱法は、
KdV方程式を解くために利用された。

1. ポテンシャルが十分遠方で0という仮定の下で、異なるポテンシャルに対応する微分方程式の解をつなぐ積分作用素Kを見つける
2. Kを求めるために別の対称作用素Fを見つける。KとFはGelfand-Levitan方程式により対応する
3. スペクトル測度から実際にFを計算する式を見つける
4. FからKを計算し、Kからポテンシャルを計算する
という手順だった。(非線形波動とソリトン 10章)

ポテンシャルが無反射の場合、Fは簡単な式になり、ポテンシャルは有限次元の行列の行列式を2階微分したものになる。

これらを確率論的に表現したのが、

確率解析のKdV方程式への応用について
http://www2.math.kyushu-u.ac.jp/~taniguch/paper/903_kdv_orikiken_ln.pdf
にあった。
しかし、この場合はポテンシャルが遠方で0という制限がきつく、
たとえば周期ポテンシャルは枠組みの外になる。

スペクトル曲線は周期ポテンシャルの場合に出てくるから、それらを込みにした対応をつける必要が生じる。

Spectral theory of re‡ectionless potentials and relatedtopics
http://sci-tech.ksc.kwansei.ac.jp/~kotani/specsymp2008v2.pdf
には、
ランダムポテンシャルの場合について、佐藤グラスマンにおけるflowを作っている。

おおらかに、
周期ポテンシャル<->スペクトル曲線<->flowは曲線のJacobian
だから、
ランダムポテンシャル<->flowは曲線のJacobianたちをふらつき、無限次元軌道で補間される
という対応になる。
具体的にどのようにflowが計算されるのか、もう少し見てみる必要がある。

"Integrable Systems"にあるSegalのIntegrable systems and inverse scatteringでは、
散乱行列をLoopとみなしていて、restricted Grassmannからポテンシャルへの写像を作っていた。
この辺りの対応を見たい。

2 件のコメント:

匿名 さんのコメント...

THX
勉強になりました。
やはり確率論とはいえ、この方面は詳しいみたいですね。
k谷先生のOHPを見てみます。

ところで、予習しとこうと思って、甘利長岡を借りてコピーしたのだが、いりますか?
(数学図書室が工事のため当分閉鎖されてしかたなく中央図書館でかりたため2週間しかかりれないので。。)
いまならまだとじてないので、自動送りで一瞬でできますが。

aka さんのコメント...

返事遅くなってすいません。
うだる暑さでだれまくってます。

甘利長岡の、岩波応用数学、
情報幾何の方法、は
以前神保町で安く売っていたので、
手に入れています。