2010年4月8日木曜日

Ahlfors-Weillの定理

* Ahlfors-Weillの定理(タイヒミュラー空間論 第6章定理6.9)
では、
与えられた正則2次微分φに対して、
シュワルツ微分{f,z}=φ(z)を満たすfを構成するのに、
-φ/2をポテンシャルとするSturm-Liouville作用素
L=-∂^2+u , u=-φ/2
を用いている。

Lη=0
の独立な解η1,η2より、f=η2/η1
とおけば、{f,z}=φを満たす。

"Geometry of 2d topological field theories"
(http://arxiv.org/abs/hep-th/9407018)
AppendixC remarkC.1にあるように、
1次元複素多様体上で、
正則アファイン接続から曲率をとることにより射影接続への写像が存在し、
(いわゆるMiura変換)
コンパクト双曲型リーマン面の一意化問題の場合は、
flatな座標<->一意化の座標であって、それをzとすると、
u(z)が、射影接続f(z)に対応する曲率となり、
これが正則2次微分に対応する。
また、射影接続f(z)の
PGL(2)におけるモノドロミー表現が元のリーマン面の基本群に対応する。


* sl(2)-oper
"opers"
(http://arxiv.org/abs/math/0501398)
では、
sl(2)-operを用いて上記の話を解釈している。
2.6,2.7。

* higher Teichmuller theory
"Moduli spaces of local systems and higher Teichmuller theory"
(http://arxiv.org/abs/math/0311149)
においては、
G=PGL(2)をより一般化して、centerがtrivialな半単純代数群Gに対して、
基本群のGへの(positive)表現のmoduliによりhigher Teichmuller space
を定義している。

* 固有束(indigenous bundle)
"通常p 進曲線の理論について"
(http://www.kurims.kyoto-u.ac.jp/~motizuki/Tsuujou%20p-shin%20kyokusen%20no%20riron%20(1997nen%20izen).pdf)
をみると、
p進体上の代数曲線の"一意化"を射影接続に付随するP1バンドル、
固有束の話に置き換えて議論している。
固有束は代数的に定義できてしまうため、複素数体上であった擬等角写像の話がでてこない。

* p進周期
"Period mappings and differential equations. From $\bf C$ to $\bf C_p$"
(http://arxiv.org/abs/math/0203194)
では、p進一意化を持つMumford curveの場合に
ⅢProp4.3.3(複素数体上),Prop4.6.3(p進体上)
で一意化に対応する微分方程式を与えている。
いずれにせよ、複素数体上と異なる点は、
周期を扱うためには、周期環を持ち出さないと足りない、
ということ。Ⅰ4.2-4.5。

2 件のコメント:

匿名 さんのコメント...

本題とあまり関係ないんですが、ほかに書くとこもないので。

Dirichlet form と作用素代数(non-comm geometry)のコンビ技があるらしいと、ごく最近知った。本物なんだろうか? 私にはまだわからないい。Fabio Cipriani, J.-L.Sauvageotという人たちがやっとるようです。フラクタル上のD-formを作用素代数流にやったりしてるが、これだとべつにフラクタル以外のヘンな集合にも適用できそうにも思うが、、、、

たとえば、
Dirichlet Forms on C -algebras A Review Jean-Luc Sauvageot
http://www.math.ucla.edu/~shlyakht/berkeley-07/conference/contrib/sauvageot-talk.pdf

とか、arxivにあるciprianiの論文とか。あとはこれとか。
http://books.google.co.jp/books?id=j72hWLQSZbUC&printsec=frontcover&dq=phillipe+biane+springer+quantum+potential&source=bl&ots=aPYZIHEqYD&sig=5j0ZQqQIvvq4NqwFY6m3UURYHBQ&hl=ja&ei=lNjCS9v-MIrs7AO0irHGCQ&sa=X&oi=book_result&ct=result&resnum=2&ved=0CBEQ6AEwAQ#v=onepage&q&f=false

aka さんのコメント...

面白そうな話で興味あります。
(TMKで少し前にでていたのかな)
ただ、全然目を通せていませんので、
以下適当な想像で。

C*環の話だと、
例えば、
- 葉層構造に伴う指数定理を確率論的に解釈できるか?(ex. 作用素環と幾何学(夏目森吉)p201葉層多様体上の指数定理)
- Teichmuller空間のThurstonのコンパクト化にでてくる測度付葉層構造の葉に対するブラウン運動?
- 曲面上の自己写像からS1の上の3次元多様体を作って、その上のブラウン運動を記述する
- Bost-Connes系にでてくるKMSをDirichlet-formを使って解釈できるか?
という問題意識が出てきますよね。

割れない空間を(無理して)割るところに自然に亜群とそれに伴うC*環の接合積が出てくるので、
被覆空間でDirichlet-formを作れば
代数的に処理できるかも、
というのは魅力的ですね。
あとは、
巡回コホモロジーと絡めることができれば、
rough-pathのgubinelliの定式化と絡んでくるのではないでしょうか?

私のほうは、遅々として勉強が進んでおらず、
ちんたら擬等角写像を見ています。
Airault,Malliavin,Thalmaierの論文で、
Diff(S1)上のブラウン運動がQuasi-symmetricではない、と書いてあって、
面倒そうだな、
と。
あと、Hill作用素の話で周期ポテンシャルを、
リーマン面の正則2次形式と関係付けてテータ関数を理解したいな、
と思いつつ、
いつの間にか4月も半ば過ぎてしまいました。