2012年8月18日土曜日

vanishing cycles

Lectures on D-modules
http://www.math.columbia.edu/~scautis/dmodules/ginzburg.pdf
微分作用素は掛け算作用素と非可換だが、filtrationを入れることにより、
可換環への写像を作ることができる。
従って、
- D加群に対してよいfiltrationを入れてgraded algebraの性質を見る
- filtrationの取り方によらない性質を取り出す
という方針がある。
特性多様体は、D加群から取り出せるfiltrationによらない可換環の性質。
非可換と可換をつなぐ性質として、Noether性、有限生成の仮定の元、
特性多様体のPoisson括弧に対するinvolutivityが成り立つ。

可換環において局所化による単純化は有用だったが、D加群においても、
超局所化により、微分作用素の局所的な振る舞いを取り出すことができる。

左D加群と右D加群の間にvolume-formを用いて対応を付けることができる。

* 直線上のD加群の例
O=D/D∂, δ=D/Dt
がある。
これは、D加群に対する操作として、積分と制限があるが、
積分に対応するのは、水平方向に制限する操作なので∂で割る。
制限は、O加群としてのskyscrapper層を取ってみればO/tOなので、
D加群としてD/Dtが制限に対応する。
Fourier変換で互いに移ること、特性多様体が水平、垂直方向の直線であることに注意する。
0->O->C[t,t^{-1}]->D/Dt->0
が成り立つ。
つまり、0->D/D∂->C[t,t^{-1}]->D/Dt->0,
C[t,t^{-1}]=D(1/t)=D/D(t∂)となる。
これは佐藤超関数としてのδ関数が[1/t]であったことに対応する。

log(t)を∂log(t)=1/tの解を表す記号とする。
D(log(t))はD(1/t)=C[t,t^{-1}]=D/D(t∂)を含み、
商O(log(t))はO=D/D∂と同型なので、
0->D/D(t∂)->D(log(t))->D/D∂->0
となり、
D(log(t))=D/D(∂t∂)
となる。

直線を1点とそれ以外に分解してD加群の貼り合わせを考える。
X=Spec(C[t]), R=C[t,t^{-1}], U = Spec(R) j:U->X i:Y={0}->X
として、
logによるextenstionをみる。
すなわち、
j_{*}Log^{n-1}=D((∂t)^n)
j_{!}Log^{n-1}=D((t∂)^n)
となるD加群を見る。
Malgrange construction(4.6.36)によりt^sという記号を導入できて、
Residue pairingにより、
Log^{n-1})=R t^s[s]/s^n R t^s [s]
が成り立つ。(lem4.6.5)
これからlimを取ることにより、佐藤グラスマン多様体のC((s))による記述が対応してくる。
貼り合わせは、Def4.6.28のGlueing categoryによって与えられる。
Def4.12.26でNearby functorが定義される。

* 順像、逆像、duality
スキームの場合と異なり重複度を見ているので、
冪零分の不定性はなく閉集合への制限は圏同値となる。

* 連接性、holonomicD加群
O-加群として連接なD加群はlocal systemになる。
これは、特性多様体が0-sectionに含まれるので、holonomicD加群の一例になる。


Notes on Perverse Sheaves and Vanishing Cycles
http://arxiv.org/abs/math/9908107v5

Vanishing cycles and mutation
http://arxiv.org/abs/math/0007115v3

単位円盤内の1点に関するvanishing cyclesは佐藤グラスマン多様体内のLagrangianで解釈できる。
すなわち、1点をreal blow-upしたS1上のL^2空間内のLagrangian全体が佐藤グラスマン多様体
であり、vanishing cyclesを与えることとLagrangianを与えることが対応する。(要check)
同様にvanishing cyclesをLagrangian部分多様体として解釈したい。

A1型の場合
SL(2)表現のモノドロミー保存変形
1-Matrix Model
スペクトル曲線としての超楕円曲線
球面の接バンドル
という関連があった。
超楕円曲線と球面の接バンドルの対応は、
Homological Mirror Symmetryの立場で解釈できるだろう。
Exact Lagrangian submanifolds of $T^*S^n$ and the graded Kronecker quiver
http://arxiv.org/abs/math/0401212v1

では、
An型ではどうなるか?
A2型に対応するモノドロミー保存変形は、2-Matrix Model(Cauchy 2-model)により与えられるので、
An型に対応するモノドロミー保存変形はn-Matrix Modelにより与えられそうだ。
そのスペクトル曲線はn次分岐を持つ曲線となる。
問題は、
このスペクトル曲線のJacobianにJacobi-Moser-Mumford型の可積分系が存在するか?
Jacobian-テータ因子を束ねた空間として現れる空間は何か?
その空間はHMSの対応で解釈できるか?
ということになる。

Lagrangian homology spheres in (A_m) Milnor fibres via C^*-equivariant A_infinity modules
http://arxiv.org/abs/1202.1955v3
をみると、Am型の空間の候補として、Springer fibersの空間が考えられる。

Matrix-Modelには直交多項式が有効だった。
では、その高次元化として、
Calabi-Yau多様体のHMSに現れるテータ関数をタウ関数に持つmatrix-Model
を定義することはできるだろうか?
Lagrangian fibrations on blowups of toric varieties and mirror symmetry for hypersurfaces
http://arxiv.org/abs/1205.0053


11 件のコメント:

匿名 さんのコメント...

average rank とか、そういうキーワードをご存じ? このあいだ某研究会にでたら、となりで離散幾何の研究会をやっていた。そのなかで、代数幾何っぽい単語と統計っぽい単語が並んでいるサーベイを読んでいるドイツ人のポスドクぐらいの若者がいた。 話してみたら、「これは面白い分野で、ある種のエリプティっクカーブを集めた集合に確率をいれた感じ」「代数幾何というより、数論幾何かな」「日本でもいろいろ面白い進展があるよ」なんていってました。

母校訪問はいかがでした?

aka さんのコメント...

>母校訪問はいかがでした?

堪能しました。

皆、昔と変わっていなくて、
食事の中でタスマニアンマスタードという調味料が入っていて、給仕のお姉さんが説明をしてくれたのですが、
「あれ、タスマニアってどこにあるんだっけ?」
「南アメリカの先っぽにあるの、そうじゃなかった?」
「東南アジアでしょう」
「アフリカの東側で眞子さまが行ったところじゃ?」
とてんでんばらばらでした。
結局答えはオーストラリアでみんな外れ。

aka さんのコメント...

情報有り難うございます。
とりあえず、
https://www.dpmms.cam.ac.uk/research/BSD2011/bsd2011-Bhargava.pdf
を眺めてみました。

楕円曲線のSelmer群について精緻な評価がされているんですね。

aka さんのコメント...

Katz-Sarnakはランダム行列と有限体上の曲線のモジュライの同分布性を関係付けていたのですが、
整数環上での曲線のモジュライは、より精緻な情報を含んでいるということですね。
後何世紀経てば、ゼータ関数の特殊値、背後にある幾何的構造、ランダム性に支配される世界の対称性、といったもののつながりが解明されるのでしょうか。

匿名 さんのコメント...

info: 中年ロリコン親父の妄想が英訳されてました。

http://www.amazon.co.jp/Math-Girls-Hiroshi-Yuki/dp/0983951306/ref=sr_1_1?ie=UTF8&qid=1346770379&sr=8-1

aka さんのコメント...

私はPerl版のwikiクローンを触っただけで、
原著がどんなものか知りません。
英訳に需要があるのかどうかの知りません。

日本の場合は、
研究職は新卒で配属されない限りなれない、と思われるので、
購入しているのは研究職に憧れるIT土方なのでは、
と思いますが。

匿名 さんのコメント...

レスどうも。もうサマースクールは行ったの?

匿名 さんのコメント...

INfo: 数論ファンのあなたにおくる。平日ですが、、、

ENCOUNTERwithMATHEMATICS

第58回 Modular 曲線の数論と幾何 --その魅力と百瀬さんの足跡と-- 2012年9月10日(月), 11日(火)

第59回 複素多様体上の岡・グラウエルト理論 --存在定理は空の上に-- 2012年10月12日(金), 13日(土)

http://www.math.chuo-u.ac.jp/ENCwMATH/

aka さんのコメント...

>もうサマースクールは行ったの?
今日からです。
昨年の中西先生も講義上手でしたが、
今年の長尾先生、藤先生も講義上手ですね。
とくに長尾先生は黒板を配置まで考えて使いこなしていて、
きっと相当周到な準備をなされたんだな、
と有難く思いました。
名古屋大学の学生さんは幸運ですね。

匿名 さんのコメント...

って、ことは、有給休暇?

aka さんのコメント...

はい。
今年は金曜日だけ有給取ればいいので、
先々週の有給とあわせてとりました。