固体物理
固体の物理的性質は、
固体中の電子の量子力学的振る舞いにより理解される。
固体中の原子は原子核と電子から構成されるが、
電子は多数存在し、電子及び固体中の原子と電磁気学的に相互作用する。
厳密に量子多体系を解くことは出来ないため、
説明したい物理的現象に応じて、
相互作用を一部無視した近似を行うことが必要になる。
固体中の電子の量子力学的振る舞いにより理解される。
固体中の原子は原子核と電子から構成されるが、
電子は多数存在し、電子及び固体中の原子と電磁気学的に相互作用する。
厳密に量子多体系を解くことは出来ないため、
説明したい物理的現象に応じて、
相互作用を一部無視した近似を行うことが必要になる。
注目するべき物理量は、
- 量子力学から導かれる位置、運動量、スピンなどの物理量
- 統計力学から導かれる揺らぎに関する物理量
になる。
近似
- 古典力学からの金属電子論(Drude-Lorentz)
- 平均場近似(Hartree近似)
- 自由電子模型
- Nearly Free Electron近似
- Tight Binding近似
- Coulomb相互作用を考慮に入れた近似
といった種類がある。
古典力学からの金属電子論(Drude-Lorentz)
金属を結晶中の原子の持つ球形のイオンと伝導電子からなる、として、
古典的に理解しようとすると、
古典的に理解しようとすると、
n:電子数密度 e:電子の電荷 m:電子質量 c:1電子あたりの比熱 τ:電子の平均自由行程
として、
- 電気伝導度σ=ne2τm
- 熱伝導度κ=2nc2Tτ3m
- 電気伝導度
- 熱伝導度
が導出される。
Wiedelmann-Franzの法則は、温度T の下で
κσT が物質に依存しないことを主張する。
Wiedelmann-Franzの法則は、温度
古典論では、
- 電子の平均自由行程は電気伝導度の実験値を満たす値よりずっと小さい
- 金属分子の比熱は気体分子の比熱よりずっと小さい
- 電子の回転モデルはエネルギーの放出による崩壊の困難がある
という問題があった。
量子論
- Heisenbergの不確定性原理により振動子の基底状態のエネルギーは0でない
- 低温では粒子はほとんどすべて基底状態にある
- Fermi粒子はPauliの排他律に従い、状態を一つしか取らない
- 電子はFermi粒子であり、軌道状態とスピンによって状態が定まる
平均場近似
多電子原子を原子核のポテンシャルと他の電子の平均のポテンシャルで近似することを、
平均場近似という。
平均場近似という。
自由電子模型(理想気体)
金属中の伝導電子を相互作用を無視して箱の中の理想気体とみなすと、
境界条件と電子のフェルミオンの性質から、
境界条件と電子のフェルミオンの性質から、
- 波数ベクトル
kk=(kx,ky,kz) - スピン
の状態を持ち、Pauliの排他律により、
基底状態では、それぞれの状態に一つづつ電子が存在する。
有限温度では熱揺らぎによりFermi分布に従い存在する。
基底状態では、それぞれの状態に一つづつ電子が存在する。
有限温度では熱揺らぎによりFermi分布に従い存在する。
固体の結晶構造
固体は結晶を構成する。
従って、平行移動に対する対称性を持つ。
(Q:もし、単位円盤にポアンカレ計量をいれて、そこで適当なFuchs群に対する対称性を持つ結晶があったとしたら、そこでのBlochの定理はどのように書けるのだろうか?もし、Fuchs群が算術群の場合には、保型形式とHecke環を用いて波動関数の対称性が記述できるのだろうか?)
従って、平行移動に対する対称性を持つ。
(Q:もし、単位円盤にポアンカレ計量をいれて、そこで適当なFuchs群に対する対称性を持つ結晶があったとしたら、そこでのBlochの定理はどのように書けるのだろうか?もし、Fuchs群が算術群の場合には、保型形式とHecke環を用いて波動関数の対称性が記述できるのだろうか?)
固体電子のバンド構造
金属中の伝導電子に対して、結晶中の原子核に存在するイオンとの相互作用を考慮すると、
周期ポテンシャルを持つ場における電子の運動を記述することになる。
量子多体系の近似として、
周期ポテンシャルを持つ場における電子の運動を記述することになる。
量子多体系の近似として、
- 電子が固体中を遍歴する、という近似(Nearly Free Electron近似)
- 電子が固体中の各原子に局在する、という近似(Tight Binding近似)
がある。
実際にはこの近似の中間に物質のエネルギーバンド構造が存在する。
実際にはこの近似の中間に物質のエネルギーバンド構造が存在する。
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