2010年3月1日月曜日

universal Teichmuller空間のperiod mapping

Teichmüller Theory and the Universal Period Mapping via Quantum Calculus and the $H^{1/2}$ Space on the Circle
(http://arxiv.org/abs/alg-geom/9310005)
では、
円周上の関数で平均0、1/2階微分が2乗可積分なもののなすヒルベルト空間として、H=H^(1/2)をとりあげ、
-内積と適合する複素構造としてヒルベルト変換J、シンプレクティックフォームSが定まる
-Diff(S^1)の作用を、QS(S^1)の作用に拡張できる
(ポアソン積分によりP:H->D(単位円盤上の調和関数で原点で0、Dirichletエネルギー有限な関数のなす空間)なるisometryが定まるが、この同一視とDicichletの原理による調和関数のDirichletエネルギーを用いた特徴づけにより、Dirichletエネルギーの評価と擬等角写像の定義を結びつける)
-QS(S^1)の作用はシンプレクティックフォームを保つ
ということを示し、これらを用いて、
Hをuniversal Riemann surfaceの1次元コホモロジー群とみなして、そのホッジ分解を明示していた。
また、universal Teichmuller空間T(1)のperiod mappingを、Sp(H)/Uを行き先として定義し、
それが単射であることを示していた。

この話について、次のような点に興味を持った。
-境界を持つRiemann面も含んでいること
-genusを固定していないこと
-関数環としての代数構造が強く効いていて、メビウス変換に対する不変性からシンプレクティック形式を保つことが出ること
-ダグラス積分が、核関数として微分ではなく差分を要請していること

genusを固定していない、と言う点は、
一つにはリーマン面の退化の間に成り立つ漸化式が綺麗にかけること
(ex. Polynomial recursion formula for linear Hodge integrals)
を思わせるし、
genusをp進補間して増大させていく極限というものを考えることができるのでは?
とも思わせる。

p進の場合にどう考えるべきかの辞書として、
Conformal and quasiconformal categorical representation of hyperbolic Riemann surfaces
(http://projecteuclid.org/DPubS?service=UI&version=1.0&verb=Display&handle=euclid.hmj/1171377082)
をみてみる。

7 件のコメント:

匿名 さんのコメント...

いやあ、私も読んでみましたよ。最初はストリング理論出身の偉い人の作品だということでビビっていたんですが、なかなか親切な一品でした。賢くなった気分です。最後にさらっと書いてあった、くりチェバーうんぬんはakaさんとしては、注目でしょうか?

匿名 さんのコメント...

このあたりは最近みつけたもので、深い意味合いはないいんですが、、、aka氏の役にたつかな?(自分でもまだ内容を理解してません。失礼)

Finite dimensional grading of the Virasoro algebra,
R. Hidalgo, I. Markina, A. Vasil'ev
www.heldermann-verlag.de/gmj/gmj14/gmj14029.pdf

Sub-Riemannian geometry of the coefficients of univalent functions
Irina Markina, Dmitri Prokhorov, Alexander Vasil'ev
http://www.sciencedirect.com/science?_ob=ArticleURL&_udi=B6WJJ-4MBJY9G-2&_user=119029&_coverDate=04%2F15%2F2007&_rdoc=1&_fmt=high&_orig=search&_sort=d&_docanchor=&view=c&_searchStrId=1238093001&_rerunOrigin=google&_acct=C000009318&_version=1&_urlVersion=0&_userid=119029&md5=fa757ce41714d1912e324c54736817e2

匿名 さんのコメント...

Sub-Riemannian geomtry の方向もあるみたいですな。昔、あなたはVasil'evの論文をこのブログであげたことありましたっけ?

Sub-Riemannian geometry of the coefficients of univalent functions,
Markina, Prokhorov, Vasil'ev,

これで、なんとなくフリードリッヒ氏がなんで知恵をつけたかわかってきたぞ。

aka さんのコメント...

>なかなか親切な一品でした。
私もそう思いました。
正直、
ヒルベルト変換をこの形で最初に提示してもらうと、
主値を使って定義されるより、必然性が納得しやすいなぁ、と感じました。
(解析の人はL1での評価とか気を使う必要があるのでしょうが。)
また、Dirichletの原理を感覚的につかめた気がします。
page3:"Our purpose is to survey..."

page17:"Since this paper is written with complex analysts..."
というあたり、著者の力量がわかりやすさに表れている気がします。

aka さんのコメント...

ちなみに、
Weil-Petersson metric on the universal Teichmuller space II. Kahler potential and period mapping
http://arxiv.org/abs/math/0406408
の、
Remark6.3に、
"In [NS95] it was stated that the period mapping : T(1) → D∞ is a holomorphic mapping of Banach manifolds. However, it was only
shown that the induced mapping D of tangent spaces is complex linear
injection, which is not enough to claim holomorphy for infinite dimensional
manifolds. In Appendix B we prove that the mapping Pˆ : T(1) → B(ℓ2) is
holomorphic, which completes the proof in [NS95]."
と補足があるので、Banach多様体の正則性について気になるようであればこちらもどうぞ。
佐藤グラスマンがこちらの論文では出てきます。

aka さんのコメント...

>Sub-Riemannian geomtry の方向もあるみたいですな。

これ、私も教えていただいたPower Matrixの論文を辿って見つけました。
ただ、Sub-Riemann幾何の感覚が何もないので、
Lecture notes on sub-Riemannian geometry
http://www.math.ethz.ch/~ledonnee/sub-Riem_notes.pdf
と言うのを見つけたんですが、
一読する価値在りそうでしょうか?
もしご存知でしたら、ご教授ください。

匿名 さんのコメント...

教えていただいたSub-Riemのサーベイですが、パラパラ見た感じでは個人的には食指をそそられるものがありました。絵もきれいだし。短いし。

よって、この分野に興味をお持ちならば、推薦することにします。

もともと、montgomery(AMS)で勉強しようと思っていたのですが、長いし難しそうなので、積ん読になってまして、ちょうどよかったです。