2011年8月8日月曜日

折れ線近似による計算


確率面積を試しに折れ線近似により計算してみる。

各時間$t$において、

¥begin{equation}
z_{t}:=x_{t}+y_{t}i
¥end{equation}
とする。
面積を¥¥
¥[
A(z_{t+1};z_{t}):=
¥begin{pmatrix}
x_{t+1} & y_{t+1} ¥¥
x_{t+1}-x_{t} & y_{t+1}-y_{t}
¥end{pmatrix}
¥]
と定義した行列の行列式として、
¥begin{equation}
a(z_{t+1};z_{t}):=det(A(z_{t+1};z_{t}))
¥end{equation}
とする。¥¥
¥[
¥Delta x_{t}:=x_{t+1}-x_{t}
¥]
¥[
¥Delta y_{t}:=y_{t+1}-y_{t}
¥]
とすると、定義より、
¥begin{equation}
a(z_{t+1};z_{t})=det(
¥begin{pmatrix}
¥sum_{s=0}^{t}¥Delta x_{s}& ¥sum_{s=0}^{t}¥Delta y_{s} ¥¥
¥Delta x_{t} & ¥Delta y_{t}
¥end{pmatrix}
)
=¥¥
¥sum_{s=0}^{t}
det(
¥begin{pmatrix}
¥Delta x_{s} & ¥Delta y_{s} ¥¥
¥Delta x_{t} & ¥Delta y_{t} ¥¥
¥end{pmatrix}
)
¥end{equation}
となる。¥¥
よって、$0$と$z=(x,y)$を時刻Nで結ぶpath
¥[
w=¥{z_{0}=0,z_{1},¥ldots,z_{N}=z¥}
¥]
の面積は、
¥begin{equation}
S(w):=¥sum_{t=0}^{N}a(z_{t+1};z_{t}) ¥¥
=¥sum_{t=0}^{N}¥sum_{s=0}^{t}det(
¥begin{pmatrix}
¥Delta x_{s} & ¥Delta y_{s} ¥¥
¥Delta x_{t} & ¥Delta y_{t} ¥¥
¥end{pmatrix}
)
¥end{equation}
となる。¥¥
ここで、pathの動きを動きの方向によって符号化する。¥¥
¥[
(1,1),(-1,1),(-1,-1),(1,-1)
¥]
をそれぞれ1,2,3,4とラベル付けすると、¥¥
原点を出発するpathは、¥¥
1,2,3,4の組み合わせで符号化される。
¥[
¥epsilon(1,2):=det
¥begin{pmatrix}
1 & 1 ¥¥
-1 & 1 ¥¥
¥end{pmatrix}
=2
¥]
とすると、¥¥
¥[
¥epsilon(1,2)=¥epsilon(2,3)=¥epsilon(3,4)=¥epsilon(4,1)=2
¥]
¥[
¥epsilon(2,1)=¥epsilon(3,2)=¥epsilon(4,3)=¥epsilon(1,4)=-2
¥]
となり、それ以外の組み合わせは0となる。
¥[
w=¥{w_0,w_1,¥ldots,w_{N-1}¥}
¥]
と符号化して、
¥begin{equation}
S(w)
=¥sum_{t=0}^{N-1}¥sum_{s=0}^{t}¥epsilon(w_{s},w_{t})
¥end{equation}
となる。¥¥
ペア
¥[
{1,2},{2,3},{3,4},{4,1}
¥]
について各項を分けて、
¥[
S(w)=S_{12}(w)+S_{23}(w)+S_{34}(w)+S_{41}(w)
¥]
とする。

1,2,3,4のwにおける出現回数を
¥[
N_{1},N_{2},N_{3},N_{4}
¥]
として、
¥[
z=x+yi
¥]
とすると、
¥begin{equation}
N=N_{1}+N_{2}+N_{3}+N_{4}
¥end{equation}
で、
¥[
(x,y)=N_{1}(1,1)+N_{2}(-1,1)+N_{3}(-1,-1)+N_{4}(1,-1)
¥]
より、
¥[
(x,y)=
(N_{1}-N_{2}-N_{3}+N_{4}, N_{1}+N_{2}-N_{3}-N_{4})
¥]
となる。
¥begin{equation}
¥frac{x+y}{2}=N_{1}-N_{3}
¥end{equation}
¥begin{equation}
¥frac{x-y}{2}=-N_{2}+N_{4}
¥end{equation}
であるから、¥¥
$N$および終点$(x,y)$をfixした条件のもと、pathは、
¥[
N_{1},N_{2},N_{3},N_{4}
¥]
の出現回数(これは、$N_{1}$を指定すると他は決まる)を決めて、¥¥
さらに順番を指定したものになる。¥¥

$A=N_{1},B=N_{2}$
を与えて、
$q^{S_{12}(w)}$
の総和を求めてみる。¥¥
それには、{1,2}からなる列
¥[
p=¥{p1,p2,¥ldots,p_{M}¥}
¥]
について、¥¥
縦$A$、横$B$の箱の左下から、¥¥
1が出現したら右へ、2が出現したら上へ進む、¥¥
というルールで線を書くと、¥¥
出現回数が決まっているから、¥¥
箱の右上にたどり着くが、¥¥
その線で分けられた左上の面積-右下の部分の面積 ¥¥
が${S_{12}(p)}$に対応する。¥¥
よって、
¥[
¥sum_{p}q^{S_{12}(p)}
=¥frac{q^{AB+1} - q^{-(AB+1)}}{q-q^{-1}}
¥]
となる。

このことから、
$N$および終点$z=(x,y)$をfixした条件のもと、
¥[
¥bf{E}[¥rm q^{S(w)} | w(N)=z]=¥sum_{w}q^{S(w)}
¥]
は、
¥begin{equation}
¥sum_{w}q^{S(w)}=¥sum_{N_{1},N_{2},N_{3},N_{4}}
¥frac{q^{N_{1}N_{2}+1} - q^{-(N_{1}N_{2}+1)}}{q-q^{-1}}
¥frac{q^{N_{2}N_{3}+1} - q^{-(N_{2}N_{3}+1)}}{q-q^{-1}}
¥frac{q^{N_{3}N_{4}+1} - q^{-(N_{3}N_{4}+1)}}{q-q^{-1}}
¥frac{q^{N_{4}N_{1}+1} - q^{-(N_{4}N_{1}+1)}}{q-q^{-1}}
¥end{equation}
となる。

ここから、無限積による表示にたどり着くには、まだ一工夫必要のようだ。

8 件のコメント:

匿名 さんのコメント...

ほう、TeXを使う人になったんですね。コピペの仕組み上なのかもしれないが、"\"が私のパソコン上では全角になっているようだが、もとの文章では半角なんだよね?

あと、ちゃんと内容は読んでないんだけれど、(4)式の全体の面積を求めるところで、小区間の場合の和になっているけど、あってるかな? おうおうにして、面積に関しては、その種の線形の式はなりたたなかったりするんだけど、、、、(cf. K.T.Chen's identity)

匿名 さんのコメント...

む、よくみると、原点と z_t と z_{t+1} の作る三角形のことをいっているのか?

そうなら失礼?

aka さんのコメント...

>む、よくみると、原点と z_t と z_{t+1} の作る三角形のことをいっているのか?

はい、そうです。
多分、ここは、よくあるカーネル表現と同等なので
問題ないと思います。
(だったらそのまま特性関数取ったら?とはいわないで下さい)

多分私の計算の間違いは、
向きのペア
{1,2},{2,3},{3,4},{4,1}の場合分けの条件に混乱がある、
というところにあるようです。

ドンタコス さんのコメント...

はじめまして。
Web 上での TeX 数式は、javascript を使ってクライアントサイドでレンダリングさせることができます。MathJax というライブラリが主流になりつつあるようです。たとえば、数学専門家のための質問サイト MathOverflow (http://mathoverflow.net/)
などで利用されています。そのスクリプトをどこかに設置する必要があるのですが、幸い、MathJax 公式サイトでホスティングされているので、それを利用することができます。こちらのブログサービス Blogger でも利用可能です。
ただし、慣れないと思い通りにレンダリングされなくて、いらつくこともあります。
既知でなければ、どうぞご参考に。

参考:
黒木氏のサイトhttp://genkuroki.web.fc2.com/

aka さんのコメント...

>匿名さん

本日はありがとうございました。

Elton HsuのStochastic Analysis on Manifolds
のLemma7.6.6に、
Y_{s}:Brownina bridge、
任意のanti-symmetic matrix Aについて、
の特性関数の表示がありました。
なるほど、指数定理、面白そうですね。

aka さんのコメント...

Hichin Hamitonianの簡単な説明です。
http://ncatlab.org/nlab/show/Hitchin+fibration

リーマン面のベクトル束(もしくは一般にG-主束)
の(安定)moduli空間のcotangent bundle TU の上の、
可積分系の話です。
H:TU->B
という次元を減らすHamiltonian mapがあって、
generic fiberがアーベル多様体になっています。
とくに SL2束をみるのが、いわゆるMumford系の話で、KdV方程式やToda模型のスペクトル曲線の話(超楕円曲線)になります。

aka さんのコメント...

> ドンタコス さん
はじめまして。
有益な情報ありがとうございます。
確認してみます。

自動でスパム判定されていて、
表示および返答が遅くなりましたこと、申し訳ありません。

匿名 さんのコメント...

先日はどうもでした。KPうんぬんで周期がどうとか、テータ関数がどうとかいうのは、なんかわかりやすいのないですか。手がすいたときにでもお願いしますだ。

****

ドンタコスさんて、どなた? ひょっとして、このブログにワタス以外の読者がいるの?