簡単な場合にtopological recursionを確認してみたい。
幾何学的な背景として、
Geometrical interpretation of the topological recursion, and integrable string theories
http://arxiv.org/abs/0911.5096v1
では、S=(C,x,y,B):スペクトル曲線のJacobianへのworldsheetの写像、
という形でtopological recursionの式の同値な意味付けをしている。
そこで、(generalized)Jacobianが一番簡単になる場合として、
射影直線を2点でくっつけた場合、すなわち楕円曲線が退化した場合を見る。
そのために、射影直線の2重被覆をとるが、
可積分系、有理関数の複素力学系、ランダム行列でなじみ深い、
x(z)=z+1/z
y(z)=-z
をとる。
これは、単位円周を[-2,2]に2重に移す有理写像で、z=1,-1が分岐点。
(generalized)Jacobian Jは{0,∞}を除いた部分になり、半径と角度がflat coordinatesであり、
D-branesの運動は、単位円周上の円弧の角度成分を保った拡大縮小になる。
worldsheetΣからJへの写像が上記論文のDefinition4.1および分岐の条件を満たすとすると、
pants分解によって分解される部分は、
cylinderは原点中心の円環、
pair of pantsは1,-1を結ぶ二つの円弧と単位円周を外側と内側でつないでえられるもの、
と解釈される。
すなわち、Σは射影直線の分岐被覆で、{0,1,∞}のみで分岐し、
1での分岐度は2である必要があり、
Belyiの定理が使用でき、数体上定義された代数曲線になる。
(Belyiの定理自体は、
ガロア・タイヒミュラー群のLEGO理論
http://eprints.lib.hokudai.ac.jp/dspace/bitstream/2115/744/1/65.pdf
にあるように、命題が正しいと解れば証明は難しくない)
worldsheetの長さの条件部分は変化させることができるので消え、
0,∞での分岐状態を指定するパラメータ(整数)が残る。
さらに、このpants分解のskelton graphsはJacobianにおける[0,1]の逆像で与えられ、
dual graphはdessin d'enfantsのgraphになる。
topological recursionをworldsheetsのmoduliの状態和(4-2)のLaplace変換、
として理解すると、
上記のスペクトル曲線の場合は、
dessin d'enfantsの個数の(整数値)Laplace変換となる。
topological recursionにおいて求めなければならない量は、
- prepotential
- log determinant of a Laplacian
そのため、初期値として、unstableな場合、すなわち、(g,n)=(0,1),(0,2)
の場合を見る必要がある。
上記のスペクトル曲線では、対応する可積分系は、周期的戸田格子であり、
運動量が0の場合は、
固有値は1の冪根の実部(z+1/z)で、対応する判別式はTschebysheff多項式になる。
(1のN乗根をとり、その実部を射影すると、N->∞で[-2,2]を埋める。)
また、行列模型として、GUEが対応する。
そのポテンシャル関数は単純な2次単項式であり、
時間発展はポテンシャルの高次摂動に対応する。
Combinatorics of the dispersionless Toda hierarchy
http://shell.cas.usf.edu/~wma3/NMMP-Xinjiang-2009_files/Xinjiang2-dToda.pdf
に、Catalan数を用いた(g,n)=(0,1)の記述と、dispersionless Todaによる
(g,n)=(0,2)の記述がある。
The spectral curve of the Eynard-Orantin recursion via the Laplace transform
http://arxiv.org/abs/1202.1159v1
で、その記述を用いて、具体的にtopological recursionの式を、
4. The Laplace transform of the number of dessins and ribbon graphs
で、Bergman kernelの記述とともに書いている。
そこでは、{1,-1}を{0,∞}に移した変数で記述している。
topological recursionで定まるinvariantsは、
- スペクトル曲線(幾何)
- 可積分系
- 行列模型
- string theory
に関連する。
* 行列模型->スペクトル曲線
From Random Matrices to Geometry: the "topological recursion"
http://www.brunel.ac.uk/__data/assets/pdf_file/0012/41070/eynard.pdf
では、large N expansionのleading termの確率測度のStieljes変換として、
スペクトル曲線の(x,y)を復元している。
この場合に、Bergmann kernelを決めるのは、
2点相関関数になる。(すなわち、正則1形式の基底を固定する情報がある。)
* スペクトル曲線->可積分系
Geometry of spectral curves and all order dispersive integrable system
http://arxiv.org/abs/1110.4936v1
では、
代数的なスペクトル曲線から、Lax pairsを復元している。
* string-theory->行列模型
Random Matrices and topological strings
http://www.blau.itp.unibe.ch/Eynard.pdf
toric Calabi-Yau 3-foldの場合に、行列模型が構成でき、
そのスペクトル曲線がmirror curveに対応することを説明している。
* 基本的なスペクトル曲線
GUEのuniversalityとしてAiry curveがでてくるが、
これは1点でのみ分岐するスペクトル曲線として基本的なものになる。
では、1点分岐の条件の下で、invariantsが何を示しているか、というと、
Intersection numbers of spectral curves
http://arxiv.org/abs/1104.0176v3
で、invariantsを具体的、すなわち代数曲線のmoduli上の積分で表している。
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