http://www.math.kyoto-u.ac.jp/probability/sympo/PSS03abstract.pdf
に
リーマン多様体上のブラウン運動を接枠バンドル上のそれから射影して構成する方法がのっていた。
ユークリッド空間に埋め込んで具体的に作れるというのは解り易い。
リーマン多様体についてブラウン運動が定義できると、
多様体の幾何学的性質からブラウン運動にどのような制限がつくか?
という疑問がわく。
- 接続によって水平持ち上げがあるが、ブラウン運動の持ち上げもある。基本群とブラウン運動の振る舞いについてなにか関係がつくか?基本群の作用で和をとって落とした確率過程はブラウン運動になるか?
- 完備でない多様体Xについて、(Y,Z) YはXのコンパクト化、Z=Y\Xとして、(Y,Z)のブラウン運動の挙動からXのブラウン運動の挙動について何かいえるか?
- もしXが複素多様体で、Zを正規交差にとって、Hodge理論が使用できる状況であれば、精密な挙動がいえるか?
- 曲率の評価とブラウン運動の挙動に関係が在る。そうすると、リーマン多様体が特異点を持つように変形していったときにブラウン運動はどう振舞うのだろうか?
さらに、確率過程としてパラメータはR+をとっていたが、
これを1つの元から生成されるモノイドとみると、
錘に対してブラウン運動が定義できるのではないか?
という疑問がわく。
KP階層では自然に多時間となっていたので、多時間に対して両立するブラウン運動とはどのようなものになるだろうか?
ボゾンに対するフォック空間上のブラウン運動を
ボゾン-フェルミオン対応でフェルミオンのフォック空間上のブラウン運動に移して、
確率的なタウ関数を考えることができるだろうか?
78 件のコメント:
うむむ、karatzas-Shreveを読みはじめたのですか。悪くない選択ですな。うちの修士ゼミと一緒です。
もう7月だというのに、うちのゼミはブラウン運動の構成をやっとります。とほほ。
ほう、エル豚のレジュメを発見しましたか。それは、この本からの抜き書きです。
http://www.amazon.com/Stochastic-Analysis-Manifolds-Graduate-Mathematics/dp/0821808028/ref=sr_1_1?ie=UTF8&s=books&qid=1247019722&sr=1-1
私が学生のころ、orthonormal frame bundle の勉強にえらく苦労した思い出があるけれど、aka氏は数論、幾何が得意なだけあって、ぱっとわかるんですね。いやいや、たいしたものです。
multi parameter の確率過程というのはあるんですね。たとえば、
http://www.amazon.com/Multiparameter-Processes-Davar-Khoshnevisan/dp/0387954597/ref=sr_1_3?ie=UTF8&s=books&qid=1247021744&sr=1-3
ただ、いまひとつはやってないだけであって。random field とかいったりします。
(解析的な手段での)場の理論が元気だったころ、結構物理の人は研究していたみたい。
確率論の人のあいだであまり人気がないのは、やはり応用が発見されていないためでしょうな。
ちなみに、(R_+)^n でparametrize されたブラウン運動みたいなものを、Brownian sheetといいます。
だから、錐でparametrizeされたものがあっても、おかしくはない。
もちろん、それがあなたが期待する
KP階層に関係した、
多時間ななにかと関係つくかどうかまでは、わたしにはわかりませんが。
ちなみに、谷口説男氏のウェブページをみてください。
http://www2.math.kyushu-u.ac.jp/~taniguch/papers_eigo.html
この中で、2008年の日本語のレジュメ「確率解析のKdV方程式への応用」をみると、きっとあなたのハートがどきどきすると思います。
でてくるkeyword: KdV, tau関数、無反射ポテンシャル、Brownian sheet,etc
たぶん、これ以上の進展は現時点ではないはずで、理由はわかりません。可積分系の知識が確率論の人にないためかもしれないし、確率論の本質的限界なのかも知れません。
とにかく、確率論と可積分系の知識を両方もっている人はほとんどいないので、もしかするとチャンスが眠っている可能性はあります。
ちなみに、KdVの解を確率論表示したのは、kotani (男)先生らしいです。未確認。Molchanovかも。
それに、N. Ikedaが参入して、こうなったようです。
正直、私はかつて、池田先生たちの一連の仕事をぱらぱらとみて、まったくチンプンカンプンだったので、簡単に教えてくれると幸いです。
この路線はあなたの興味の本流かもしれないので、Kotani, Hara-Ikeda, Ikeda-Taniguchi, など読んでみたければ、あげますよ。
手がくたびれたので、復素多様体については、また後ほど。
まあ、もっとも、KP階層の多時間うんぬんを多変数確率過程でどうにか、、、、というあなたの期待にこたえた路線かどうかはわかりません。
多変数確率過程にも応用はあるぞ、という例として挙げたわけで、、、しかも、たまたま、可積分系的世界の論文が頭にうかんだだけで、、、、
>R上のブラウン運動を考えようとすると
もちろん、そういうのもありますよ。人気がないだけで。ご指摘のように、確率論的してんより、random fields という量子場的視点になりそうですが。mfdでparametrizeされたものも、考えらえますが、問題は有用なものをおもいつくかどうかです。
丁寧な解説ありがとうございます。
修士ゼミの人たちはギャップを埋めなければいけないし、時間がかかるのは当然だと思います。
私は、というと、ギャップは無視、演習問題も無視、という指導教官の目から見たら噴飯ものの読み方なので。
>orthonormal frame bundle
正直言うと解っているとはいいがたいです。
絵描けないし。例のごとく、眺めただけです。
>だから、錐でparametrizeされたものがあっても、おかしくはない。
そうすると、錘を張り合わせてトーリック多様体でパラメトライズ、とか考えたくなりますね。
ただ、1番簡単なR+を張り合わせてR上のブラウン運動を考えようとすると、過去と未来の両方ということになって、
拡散過程の視点ではなくなりますね。
>でてくるkeyword: KdV, tau関数、無反射ポテンシャル、Brownian sheet,etc
いいですね。(巡回ロボット対策のため修正しました。)
>Kotani, Hara-Ikeda, Ikeda-Taniguchi
もしよろしければ、くださいませ。
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