たとえば「パンルヴェ方程式(野海正俊)」の2.3アフィンワイル群の章を見てみると、
A2型は、平面の正三角形による敷き詰めに対する、鏡映になる。
A1型がブラウン運動がある区間に存在するときの確率だったから、
同様に考えると、正三角形内のブラウン運動の境界に辿り着く確率が関係してくる、
と想像される。
これはまさにパーコレーションの世界なので、それらしいものが落ちていないか見ていると、
以下の論文があった。
New percolation crossing formulas and second-order modular forms
http://arxiv.org/abs/0905.1727
Crossing Probabilities and Modular Forms
http://arxiv.org/abs/math-ph/0209023
A2型のaffine Weyl群の場合の確率は、
Exit problems associated with affine reflection groups
http://arxiv.org/abs/0707.2009
の(10)で与えられているが、
これだけ見ていると味も素っ気もない。
6 件のコメント:
お、ドン座偽絵じゃないですか。
こういうことまで、やっていたのか。
これは、ようするに、SLEでCardy's formulaとよんでいるやつと関係してるんかい?
夢のありそうな分野ですねえ。こんど詳しく教えてくださいな。
それにしても、akaさんほんとうに勉強家ですなあ。
関係しているか?
といわれると、さあ?
としかいえないレベルです。
Zagierのほうは、Cardyの超幾何関数から
導出していて、ブラウン運動とか出てこないですし。
そもそもcrossing probabilityがなにか?とか、
教えていただいたレビューをちゃんと読む必要がある確率論のど素人なので、
詳しくといってもここに書いてある程度しか言えないです。
ただ、このブログの流れからお分かりのように、最近の私の好奇心は、特殊な場合の等モノドロミー変形とか、代数的な微分方程式、あるいはD-加群、といったところにあります。
加えて、前から疑問に思っていたのは、
ブラウン運動を商空間に落とすとどうなるか?
というものです。
実直線をZで割ると円周になりますが、
安直に基本領域を考えて境界に辿り着かないような運動だけを考えると、商空間に落とせますね。
今の場合、区間はEuclid計量が入っていました。
では、2次元ではどうか?
というのが自然な問いで、
単に長方形だと、1次元の積しかでてこない(のではないか?)けど、
楕円曲線や三角形だとどうか?
妄想を続けると、
上半平面にpoincare計量を入れたところでブラウン運動があるなら(あるんでしょうか?)、
これをFuchs群で割ってRiemann面上のブラウン運動を考えたくなりますが、
区間の例をみると、
Fuchs群を拡大した群を考えることになるかと思います。
空間のレベルでは、2-torsionのバンドルを考えて、その上のブラウン運動ということになるでしょうか。
で、
それの期待値は当然元の群の対称性を保持するわけですが、期待値をとるという操作は積分変換ですから、対称性が保たれつつ、
綺麗な関数になるのかな?
と思うわけです。
でも、こんなことはきっとリーマン面上の熱核の話だから、analytic torsionとか、ラプラシアンのゼータ関数とか、そんな話ですでにやられているんだろうな、とも思っています。
むしろ、私のほうがお聞きしたいです。
まあ、私は軽い気持ちで適当なことを言っているだけなので、真剣に受け取りすぎないでほしいです。
知っている範囲で質問にこたえますと、
ブラウン運動を商空間に落とすと商空間のブラウン運動になります。もう少し詳しくいうと、ブラウン運動をgenerator
(1/2)Laplacian
を持つ拡散過程ととらえるのがわかりやすいです。すると、射影でLaplacianが「保存」されていれば、証明終。
このときは、対応する熱核は
p^{ \Gamma } (t,x,y)
= \sum_{ g \in \Gamma ]
p(t ,x , gy)
といったおなじみの式になります。
ちなみに、analytic torsion や
spectral zeta は解析の文献ではよくでてくるのですが、確率論でそれを扱ったという話は聞いたことがないです。たぶん、できないんでしょう。
リーマン多様体上にはブラウン運動がありますので、上半平面にもあります。しかもかんたんなケースなので、書き下せてしまいます。
たとえば、\Gamma がココンパクトな場合に、定数磁場付きラプラシアン(Maass Laplacian)に対応した熱核を確率論表示して、Selberg's trace formula を証明した試みというのはあります。
それを(読むのはしんどいと思うが)パラパラとめくってみたら、「ほうほうこのぐらいのことはできるのか?」
とわかると思います。
情報ありがとうございます。
なるほど。
作用不変なラプラシアンがあれば割れるんですね。
具体的にいろんな計算ができるのは嬉しいですね。
ただ、気になったのは、
アファインワイル群の場合は、
ブラウン運動の反射原理から
鏡映の形になりましたが、
単純に群作用の総和だと鏡映ではないですよね?
基本領域内のブラウン運動で、境界に吸収壁がある場合の確率として考えようとすると、
群を{±1}で拡大して作用を考えたくなります。
まずは頂いた論文を拝見させていただきます。
おっしゃる通りであの論文では、群作用を使っているわけではなく、有界閉区間上の拡散過程を境界条件を決めることによりあたえているみたいです。
おおざっぱにいいます。ユークリッド空間内に(悪くない)集合があったとして、解析でいうラプラシアンの境界条件は確率論とは以下のように対応しています。
Neumann 条件 ...... 反射壁ブラウン運動 (ブラウン運動が壁にぶつかると跳ね返る)
Dirichlet 条件...... 吸収壁ブラウン運動 (ブラウン運動が壁にぶつかると、そこで「死ぬ」)
仮に三角形の中で考えるとすれば、境界条件に対応して(抽象的には)ブラウン運動はあります。
しかし、一次元の場合と違って、何らかの具体的計算が実行可能かどうかは、わかりません。問題によるでしょう。(一次元の特殊事情はかなり大きいので)
ご指摘の論文では、反射壁の場合を考えたのでしょう。そんで、熱核も「折り返して」作ったものが、 反射壁ブラウン運動 の熱核になると。2次元だとそこまで気軽にわかるのか?という疑問はたしかにわきます。
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