2012年9月21日金曜日

サマースクール 復習 その11

* 導来圏の安定性条件
Spaces of stability conditions
http://arxiv.org/abs/math/0611510v1

三角圏に対して安定性条件が定義できる。
(小三角圏に対して完全三角形で関係式を入れることでGrothendieck群(K群)が定義できる。welldefinednessはTR4による)
これは、アーベル圏に対する安定性条件を拡張し、
K群からの複素数値線形関数であるcentral chargeと
その値であるphaseを指定するごとに忠実部分圏を割り当てる。
- 三角形のTranslationに対しphaseが正の向きに半周する(1周しないのはsuperであることを念頭に置いている?)
- phaseの大きい対象からphaseの小さい対象には射は0だけ。
- 任意の対象はphaseが単調減少の有限個の三角形に分解できる(semistabilityの概念の拡張)
を条件に加える。
さらに安定性条件の空間を適切に記述するためには、局所有限性の条件が必要になる。

central chargeはK群上の複素数値関数であるから、
K群が有限生成であれば、
central chargeの空間は複素空間を関係式で割った比較的わかりやすいもので、
安定性条件の空間はその持ち上げになる。

一般にはK群は有限生成ではないが、安定性条件の空間の連結成分を取れば、
Th3.5では、局所的に持ち上げが位相を込めて同型になる、と言っている。

さらに、
射影的平滑代数多様体の導来圏の場合には、
局所有限な安定性条件で、
Chern指標を経由する条件の空間に限定する。(そのためsuperであることが必要だった)
この場合は、安定性条件の空間は、Th3.5より複素多様体と局所同型なので複素多様体になる。

安定性条件の空間には、
central chargeに対する変換からくる群作用と、
三角圏の同値変換から来る群作用が存在する。

実例として、
複素数体上の楕円曲線の場合、導来圏の同値はSL(2,Z)のZによるextentionからくる。
安定性条件は、GL(2,R)で向きを保つものの普遍被覆からくる。
よって、安定性条件/導来圏同値 は、modular curve上の直線束となる。

代数多様体の導来圏がexceptional collectionsで生成され、Quiver with relationsの導来圏と同値な場合は、
綺麗に書ける場合もある。

A 型特異点の安定性条件
http://www.mm.sophia.ac.jp/~shinoda/msj/pdffiles/ishii.pdf

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