2012年9月29日土曜日

サマースクール 復習 その15

* DG category

スキームにおいては、
- 空間の位相と層の位相の分離、とくに局所環付き空間の概念
- 関手の概念による相対化
- 部分空間の層による書き換え
- 有限性を制御する射の固有性および層の連接性の概念
に加えて、
- 垂直方向の矢印によるファイバーの概念の視覚化
- 水平方向の矢印による空間の包含関係の視覚化
- 斜め方向の矢印による平滑というファイバーと部分空間の絡む概念の視覚化
が成功していた。
そして、
- Kahler微分の存在
- Serre双対性
- 6つの関手およびその導来関手
により、多様体で成り立っていた多くの性質、
- Poincare duality
- 交差理論とRiemann-Rochの定理
が成り立つことが示されていた。
スキームの概念を拡張して非可換な対象を扱えるようにしたい場合にも、
上記の概念が拡張できなければそれほど有用ではないだろう。


On differential graded categories
http://www.math.jussieu.fr/~keller/publ/OnDGCat.pdf
空間に対し圏を対応させるという思想では、
スキームに対しその上の連接層のなすアーベル圏を対応させることができる。
しかし、導来同値な空間の性質を調べたい、という動機のもと、三角圏の圏の性質を調べたい。
- テンソル積、内部Homの存在
- 関手性
の問題があるので、DG圏を用いる。
DG圏の圏はテンソル積で閉じている。
DG圏を係数とするDG加群が定義できる。
DG加群の擬同型が定義でき、局所化を行うことができ、三角圏になる。
perfect DG導来圏という充満部分圏が定義でき、三角圏になる。
DG圏に米田関手がH^{0}とperfectDG導来圏の同値性を導くという形でsaturatedの概念が定義できる。

非可換スキームの圏NCSはDG圏のDG圏dgcatを局所化することで定義される。
NCSの対象はsaturated DG圏である。
NCSはQuillenの意味でのモデル圏の構造が入り、テンソル圏になる。
NCSには内部Homが存在する。
NCSにおいて、対象の充満DG部分圏による商が定義できる。
NCSにおける連続写像の概念が定義でき、(良い)スキームから来る場合は向井変換でかける。

DG圏に対して、Hochshild homologyが定義できる。
NCSにおいて、cyclic homologyが定義できる。
DG圏には固有性、平滑性の定義が存在する。


Model Categories and Simplicial Methods
http://arxiv.org/abs/math/0609537v2
- 斜め方向の矢印の概念を抽象化
- 局所化の概念を抽象化
- 導来関手をQuillen関手を用いて記述できるように概念化
したものがモデル圏。

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