* 安定性条件とモノドロミー保存変形
Stability conditions and Stokes factors
http://arxiv.org/abs/0801.3974v5
- 安定性条件
有限次元代数の有限次元加群のなすアーベル圏に対して、
K群の正錐に対して複素上半平面上の点を加法を保つように対応させることにより、
安定性条件を与えることができる。
(ここで、複素数であることは、本来Motivicであるべき対象を記述する適切な言葉がないため、
それを含む複素数体で物事を議論しているためと思われる。モノドロミーに対する数論的理解が進めば、
安定性条件はより精緻な対象で記述されるべきであると思われる。)
K群の生成元は(単純加群からなり)有限個であるから、安定性条件の空間はこの場合、有限次元であり、
とくに上半平面の直積として多様体となる。
安定性条件の元で、部分加群に関する偏角の単調減少性によりsemistable条件を定義できる。
Kingにより安定性条件(Kingのθ安定性と同値になる)とK群の正錐(type)を指定するごとに、
semistable加群のcoarse moduli spaceを構成できる。
安定性条件の微小変動によりmoduli spaceが変動しない空間分割、
すなわち安定性条件のchamberと壁が構成できる。
有限次元代数の有限次元加群のなすアーベル圏からHall代数Hを構成できる。
安定性条件はK群の演算とcompatibleであるので、
安定性条件とtypeに対してよい振る舞いをする部分代数を構成したい。
typeに対して特性関数を取ることにより部分代数Cを、取ることができる。
Cには直和の類を用いて余積構造を入れることができる。
さらに、indecomposable加群の類で生成されるCの部分代数nを取ることができる。
nはLie環におけるnilpotent partの類似であり、
Cartan部分代数の類似であるh(これは安定性条件の空間を含んでいる)、
およびhとnの半直積であるBorel部分代数の類似b
を取ることができる。
さらに、安定性条件の空間からnへの関数として良い振る舞いの関数をとりたい。
Joyceによる構成は、nの中に、良い元をとって、typeの演算とcompatibleな微分方程式を満たすようにできる、
というものだった。(2)
これを、b(の完備化)に値を取る射影直線上のStokes dataと見ることで、
壁越えとモノドロミー保存変形を関連付ける。
- 射影直線上の代数群G主束の不確定特異点を持つ接続
admissble rayにおける正則で0への極限が明示的に記述される切断がuniqueに存在する。(Th2.6)
Stokes rayを超える部分ではStokes factorにより解の変化が記述される。
よって、上半平面をStokes rayにより偏角によって並べることにより、Stokes factorが記述されるが、
これがadmissible rayのみの領域で変化しないことと、モノドロミー保存変形であることは同値となる。(Prop2.11)
さらにモノドロミー保存変形のJimbo-Miwa-Uenoの方程式は、
Gのroot分解を用いて記述することができる。(Th2.12)(4)
-
安定性条件とn(の完備化)の元を与えることにより
a) 安定性条件の特性関数がStokes factorに対応する
b) Stokes multiplierの正規化
の2つの条件を満たすStokes dataを持つmeromorphic 接続がuniqueに対応する。
さらに、接続の留数は、Joyceの構成により記述でき、モノドロミー保存変形の微分方程式を満たす。
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