2007年10月7日日曜日

ほうとう

折角八王子に引っ越してきたのだから、
と、そごうのレストラン街でほうとうを食べた。
山菜と味噌、それにかぼちゃが程よく美味しい。

ここ数年は傍から見れば明らかに馬鹿馬鹿しい失敗をやらかして、
精神的にも浮き沈みははげしかったのだが、
こうしてほうとうを食べていると、
この味を味わうのに必要な経験であったのだ、と感じられる。

フランス語の授業で、
"Le plus beau voyage, c'est celui qu'on n'a pas encore fait."
という文章が出てきて、
先生は、これは旅行前はいろいろ空想をして期待するが実際に行ってみるとそれほどでもない、
または2回目に行ってみると最初ほどではなくがっかりする、
という程度の意味だ、
と言っていたが、
どうも日本人は旅という言葉に別の感覚、人生を投影する感覚があるらしく、
もっと哲学的にこの文章を捉えたがる傾向にあるようだ。
私以外にももう一人、似たような意見の人がいた。
当然のごとく、日本語でもまともに説明できそうにない感覚的なものを
今の語学力で説明できるはずもなく、
先生は"L'ephemere"という単語を出してきたが、
やはり違うというほかはなかった。

fractal string

昨日三省堂で立ち読みをしていた本の中に、
Fractal Geometry, Complex Dimensions and Zeta Functions
http://www.yurinsha.com/394/p9.htm#1
があった。

カントール集合のような1次元自己相似フラクタルについて、
その領域の長さを大きい順に並べて{l[i]}として、
ζ(s) = Σ(l[i])^(s)
と定義したとき、この関数の振る舞いはどうなるか、
ということを調べている本のようだ。
l[i]=1/iのときはRiemannのゼータ関数になる。
フラクタルの性質と、その図形をもたらす力学系の性質を結びつけ、
さらには、ラプラシアンの固有値と関連付けて、極や零点を解釈しよう、
という試みらしい。

簡単な例として、カントール集合、フィボナッチ数列に対応する集合、黄金率に対応する集合
があった。

ただ、そこで出ている例をみると、
1/(1-2*3^(-s))のような、ある意味局所的な項しかでてこない。
オイラー積のような綺麗な性質を持つfractal stringの例はないので、
途中まで読んで買う気が失せた。

はたして、
因子分解できるゼータ関数をもたらすfractal stringは存在するのだろうか?
感覚的には、自己相似のなかにさらに自己相似が異なるスケールで入っているような図形をつくれば出来そうな気がする。

とりあえず、
有限和の場合だけを考えると、
これは有理数で上下からはさめるので、
分母も払って、
Nとその分割
という形でパラメトライズできる。

でも、有限和ではどうしようもないので、
今度は自己相似をきちんと階層化して、それぞれの階層を記述する必要がある。
カントール集合の場合、テント写像のようなわかりやすい力学系と結びつくが、
力学系の位相同型で不変な性質と、ゼータ関数の性質はちょっと度合いが違いそうな気がする。
なにか手近な例はないだろうか?