2011年12月26日月曜日

タウ関数と行列積分

Matrix Models, Complex Geometry and Integrable Systems
http://arxiv.org/abs/hep-th/0601212v2

最初に直交多項式とToda-flowの関係を1-matrixの記述で説明している。
この記述は解り易い。

Matrix integrals, Toda symmetries, Virasoro constraints and orthogonal polynomials
http://arxiv.org/abs/solv-int/9706010v1

Toda-flowを用いて、簡単な場合の直交多項式について、
佐藤グラスマン多様体における流れを具体的に記述している。
とくに、Virasoro constraintsの導出を行っている。
また、タウ関数を行列積分の形で書いている。

パンルヴェ方程式(野海)
アファインルート系から、有理関数体の双有理変換群として、
対応する拡大アファインワイル群の作用が実現できる。
その中で並進に対応する部分はアーベル群であり、
一つのタウ関数の軌道がルート格子におけるタウ関数となっている。
とくに、A_1^{1},A_1^{2}型の場合が、
パンルヴェ方程式の2、4型に対応する。

Application of the τ-Function Theory of Painlev ́e Equations to Random Matrices: PIV, PII and the GUE
http://arxiv.org/abs/math-ph/0103025v1

Painleveの2,4型の場合の対称性についての記述。
A型のアファインワイル群の対称性を持ち、4型はHermite関数、2型はAiry関数を解に持つ。
U(N)の固有値の存在しない区間の確率をタウ関数を用いて表し、
極限がパンルベ方程式の解を用いて記述できることを示している。

RANDOM MATRICES AND PERMUTATIONS, MATRIX INTEGRALS AND INTEGRABLE SYSTEMS
http://www-math.univ-poitiers.fr/~vanhaeck/Pierre/art/29.Bourbaki_random.pdf
行列積分と戸田階層、ランダム行列についての2000年前後のサーベイ。

結局、タウ関数といった時に、
Boson-Fermion対応を通して、Boson側で見た時間の関数としてのタウ関数と、
それをHilbert空間の基底として、(もしくはformalにfiltered vector spaceの代表元)
時間の流れがKP階層なりToda階層なりに従っている場合に
代表元の関係式を表して全体としてタウ関数という場合の
二通りがあって、
意味が分かりにくくなっていたと理解した。
やっと、モノドロミー保存変形ででてくるタウ関数と、
テータ関数の親玉として出てくるタウ関数が、意味合い的には同じであることが納得できた。

2011年12月14日水曜日

middle convolution

Painlev ́e equations and the middle convolution
(http://arxiv.org/abs/math/0605384v1)
summary of DR
KATZ’S MIDDLE CONVOLUTION ALGORITHM(http://arxiv.org/abs/math/0610526v2)

アファイン直線上およびGL(1)で、加法と乗法それぞれに対して不変な局所系は、定数層およびKummer層に対応する。
これらを元にして、additive convolution,middle convolutionを行うことにより、rigid局所系がすべて得られる、というのが、
Rigid Local system(Katz)
で示されたのだった。
証明は偏屈層を用いた構成と、Laumonの有限体上のアファイン直線のフーリエ変換に対するstationary phaseの方法に依存していた。

これらは線形代数として記述できることが、Dettweiler-Reiterによって示された。

一方で、局所系の特異点を除いたpunctured Riemann surfaceの基本群の表現について、
Arithmetic harmonic analysis on character and quiver varieties II
(http://arxiv.org/abs/1109.5202v1)
で、
Characteristic varietyのmixed Hodge多項式の母関数は、特別な場合には、SL(2,Z)のEisenstein級数の母関数と関係がつくことが示されている。

Classification of Fuchsian systems and their connection problem
(http://arxiv.org/abs/0811.2916v2)
には、root系の性質とrigid local systemを与える分割の辞書がある。

Hyperbolic Structures and Root Systems
(http://www.math.ru.nl/~heckman/Hyperbolicstructures.pdf)

ガウスの超幾何関数は、一次元トーラスの一点で分岐する2次被覆面上に持ち上がる。
超幾何関数の2つの線形独立な解により、射影空間への有理写像が与えられるが、
これがガウスの超幾何関数の特異点{0,1,¥infty}を除いた空間の射影埋め込みを与えていて、
定義域、値域のパラメータのSchwarz微分と、元の方程式の正規化の係数が対応していた。
これをn次元トーラスの2次被覆空間上の関数に拡張すると、
トーリック多様体から因子を除いた開多様体の射影空間への写像を与える。

アファインroot系
超幾何関数
基本群のCharacteristic variety
Eisenstein series
モノドロミーの変形
が密接に関わり合っている。

2011年12月7日水曜日

見渡せば花ももみぢもなかりけり

本日、勤務先の親会社が監理ポスト(審査中)となりました。
Du bliebst, verwaistes Lied!


Littelmann paths and brownian paths
(http://arxiv.org/abs/math/0403171v2)

Perverse sheaves on a Loop group and Langlands' duality
(http://arxiv.org/abs/alg-geom/9511007v4)

2011年11月30日水曜日

Schur process

Tau functions, random processes and fermions on a lattice
(http://www.crm.umontreal.ca/SIDE8/pdf/Harnad_slides.pdf)
では、タウ関数とSchur processの関係についてまとめている。
SCHUR DYNAMICS OF THE SCHUR PROCESSES
(http://arxiv.org/abs/1001.3442v1)
では、Schur processを保つMarkov連鎖を定義している。
ここで、Schur processの例として、U(∞)の指標から
A型のhighest weight pathの空間に確率分布を定めている。

Tropical Combinatorics and Whittaker functions
(http://arxiv.org/abs/1110.3489)
では、
組み合わせベーテ仮説で出てきたRSK対応と
上記のSchur process,Whittaker functionとを関連づけている。
箱玉系のソリトンが幾何的な背景があれば、佐藤グラスマンをループ群と見た時の離散化したものと関係づくはずなので、
Whittaker functionが出てくるのもおかしくない。

2011年11月15日火曜日

木曾人は海のいかりをしずめかねて

相変わらず流言は頻りに行われていた。平氏、源氏の動静に関すること以外に、
神の託言といったものまでがあちこちで囁かれ、それが人々の心を落ち着きないものにした。
(井上靖 後白河院 第三部より)

* ループ空間のコホモロジー
Floerホモロジー上にenergy filtrationをいれて、積がfiltration compatibleになるようにできる。
crystalinne cohomologyにおいてperiod ringへの拡大が不可欠であり、filtrationの構造が必要であったように、
ループ空間におけるHodge構造、というときには、このenergy filtrationと何らかの形で関わる必要があると想われる。
そこでは、Novikov環がどういう位置づけになるのだろうか?
J-holomorphic Curves and Quantum Cohomology
(http://www.math.ethz.ch/%7Esalamon/PREPRINTS/jholsm.pdf)

また、
LOOP SPACES AND THE HYPOELLIPTIC LAPLACIAN
(http://www.math.u-psud.fr/~bismut/Survey.pdf)
では、energyとしてS^{1}の速度積分があった。
Hypoellipticにおけるtangent bundleにおける話と、
Floer homologyにおける周期的Hamiltonianの話とは、何か対応がついてしかるべきだが、
どのような対応がつくのだろうか?

* モース理論
モース理論のモジュライとして円盤内に埋め込まれた木のモジュライがでてくる。
位相的場の理論とモース理論
(http://www.journalarchive.jst.go.jp//jnlpdf.php?cdjournal=sugaku1947&cdvol=46&noissue=4&startpage=289&lang=ja&from=jnlabstract)
組み合わせ的構造があり、有限なものを徐々に広げていった全体を考えることで、
不変量を定義する、という構図がある。

* ミラー対称性
組み合わせ的な構造から不変量を計算する一つに手法として、
tropical geometryから持ち上げてanalyticな構造を得る、
というものがある。
とくに、affine構造で特異点を許したものを用いて、
局所的にトーリック構造を持ったものを緩く貼り合わせた多様体をみると、
組み合わせ的な構造が記述し易い。

Tropical geometry and mirror symmetry
(http://www.math.ucsd.edu/~mgross/kansas.pdf)

2011年11月11日金曜日

羽なければ空をも飛ぶべからず。

本日、勤務先の親会社が監理ポストに入りました。

* 表現の変形
THE DEFORMATION THEORY OF REPRESENTATIONS OF FUNDAMENTAL GROUPS OF COMPACT KAHLER MANIFOLDS
(http://www.springerlink.com/content/j7018621xg5106l5/)
では、基本群のコンパクト実Lie群への表現の変形が、局所的に2次超平面の交差で書けることを言っている。

Galois 表現の変形理論入門
(http://www.math.sci.osaka-u.ac.jp/~ochiai/ss2009proceeding/deformation.pdf)
では、有限体上の表現を指定して、還元先がそこに落ちる数体のガロア群の表現の変形空間について記述されている。

有限体はS^{1}の類似と思えるから、
自由ループ空間が持ち上げの対象となる空間と思える。
そうすると、変形の自由度をどのように課すべきか、ということになる。

STRING TOPOLOGY BACKGROUND AND PRESENT STATE
(http://arxiv.org/abs/0710.4141)
では、自由ループ空間に積(string bloacket)を定義して、2次元の位相的場の理論と見なせることを示している。
これは、Gerstenhaberによるassosiative algebraの変形をHochshild複体で記述する話とリンクしている。
(自由ループ空間のコホモロジー環は、Hochshild複体のコホモロジーで書けた。)
2次元の位相的場の理論は、リボングラフの組み合わせ的な話に分解でき、
A Morse theoretic description of string topology
(http://arxiv.org/abs/0809.0868)
では、Lagrangian付きリボングラフ上のモース理論により、string blacketを記述している。

2011年10月20日木曜日

サマースクール復習その6

* DUISTERMAAT-HECKMAN FORMULAS
http://www.nim.nankai.edu.cn/activites/conferences/hy20090518/pdf/Talk-Bismut-20090511.pdf
をみると、
ガウス積分を1+1と次元を上げて、複素解析関数と見て、
積分路を変更して計算することと、
elliptic operatorとhypo-elliptic operatorをつなぐ
変形を複素解析的につないでみる、
ということが説明されていた。
一方で、ガウス積分の計算は、ハミルトニアンをとって、
相空間における流れの固定点の周りの情報で局所化することにより計算できる。
後者を公式化したものが、DUISTERMAAT-HECKMANの公式になるが、
では、前者の視点で後者を見るとどうなるか?
という疑問がわく。
それには、やはりBismutが、
DUISTERMAAT-HECKMAN FORMULAS AND INDEX THEORY
http://www.math.u-psud.fr/~bismut/Index.pdf
で、指数定理の観点から説明をつけている。

* ループ空間
代数多様体に関する指数定理がGrothendieck-Riemann-Rochの定理で、
それを体上ではなく整数環上で、無限素点の情報込みで記述するのが、算術的Riemann-Rochの定理だった。
(ex. http://www.ihes.fr/~soule/arrfin.pdf)
有限素点におけるガロア表現について、
剰余体の表現を持ち上げる変形の空間を見る時に、肥田理論がでてくる。
そこで、無限素点における持ち上げとして対応するであろうと思われるのがループ空間ということになる。
(変形空間を記述するのが熱核のt->0の漸近展開といえないだろうか?)

2011年10月3日月曜日

サマースクール復習その5

* トーリック曲面との関連
MACDONALD FORMULA FOR CURVES WITH PLANAR SINGULARITIES
(http://arxiv.org/abs/1107.2175)
spectral curveのspecial fiberについての話
Arithmetic harmonic analysis on character and quiver varieties II
(http://arxiv.org/abs/1109.5202)
character varieryの話と、2次元トーラスのHilbert schemeを関連づける

Quivers, curves, and the tropical vertex
(http://arxiv.org/abs/0909.5153)
(複素)2次元トーラス
tropicalな骨格をとりだして、Gromov-Witten invariantsを計算しようとしている。
ミラー対称性もtropical部分から出そうとしている。
Dimers and cluster integrable systems
(http://arxiv.org/abs/1107.5588)
1.5 Analogies between dimers, Teichmu ̈ller theory and cluster varieties
にあるテーブルを理解したい。
とくに、この中で、
Newton Polygonから二部グラフを作り、さらにNewton Polygonに対応するトーリック曲面の上の曲線と
関連づけている。
つまり、複素1次元トーラスを実2次元トーラスと見て、それから代数曲面を作っている。
組み合わせ的な構造を抽出するのに、一方でグラフがあり、もう一方で団代数があり、
背後にトロピカル幾何がある、
ということで、これとBerkovich空間を関係づけて持ち上げを理解したい。

2011年9月19日月曜日

サマースクール復習その4

* 幾何学的Langlands対応とゲージ理論
Gauge Theory and Langlands Duality
http://arxiv.org/abs/0906.2747
では、幾何学的Langlands対応でLanglands dualが現れる状況、
すなわち、G^{L}-局所系(Lは左側につく)の導来圏とG-束のmoduli上のD-加群の導来圏
の対応、
の状況と、
4次元ゲージ理論の第一近似として、4次元空間が\sigma*Xと二つのRiemann面の積で書ける場合の、
S-dualityをSYZ対応によるT-dualityへの還元、
の状況、
が類似であることを説明している。
これらは不分岐表現についてであるが、分岐についても考慮すると、
自然にendoscopyがでてくる。

Global topology of the Hitchin system
http://arxiv.org/abs/1102.1717
は、Hitchin fibrationとして現れる空間のcohomologyのサーベイ。

* curveの量子化
Quantization via Mirror Symmetry
http://arxiv.org/abs/1011.2218
では、ミラー対称性を通して、
量子化をB-model側の代数的にわかり易い言葉で記述しようとしている。
A-polynomial, B-model, and Quantization
http://arxiv.org/abs/1108.0002
では、
curve(trigonometric多項式で定義される代数曲線)の量子化を定義し、
その分配関数を行列積分の言葉(1.12)で書き下そうとしている。
興味深いのは、このsettingで量子化可能かどうかが、
(2.51)において、
その代数曲線の代数関数体について、
最初のA-polynomialの座標のペアが、
MilnorのK2群の元に移してtorsionであるかどうか?
というかたちで判定がされている点。
代数関数体のMilnorのK2の再考にも繋がるだろうし、
トロピカル曲線に落としての判定も面白そうだ。

* affine Crystalの幾何的実現
UHLENBECK SPACES VIA AFFINE LIE ALGEBRAS
http://arxiv.org/pdf/math/0301176
では、instantonのmoduliのコンパクト化の代数化として、
Uhlenbeck spaceを定義し、
その性質を利用して、Kashiwara crystalを
Crystals via quasi-maps’ spaces
で定義している。
quasi-mapの概念は、bundle mapを連接層のmapに緩めて、
cokernelにfinite lengthの層を許す、
というもの。

INSTANTON COUNTING VIA AFFINE LIE ALGEBRAS II: FROM WHITTAKER VECTORS TO THE SEIBERG-WITTEN PREPOTENTIAL
http://arxiv.org/abs/math/0409441
でprepotentialのinstanton partを計算している。

2011年9月12日月曜日

サマースクール復習その3

* Riemann面上のスピン構造
指数定理(古田)の§4.2,4.3ではRiemann面上のスピン構造を指数の局所化の例として導いている。
指数と結びつけている原論文は、
Riemann surfaces and spin structures
http://archive.numdam.org/ARCHIVE/ASENS/ASENS_1971_4_4_1/ASENS_1971_4_4_1_47_0/ASENS_1971_4_4_1_47_0.pdf
そこで、グラフに落とした骨格においてスピン構造がどうなるか?
ということが気になるが、それについて
Dimers on surface graphs and spin structures. I
http://arxiv.org/abs/math-ph/0608070
Dimers on surface graphs and spin structures. II
http://arxiv.org/abs/0704.0273
がある。
Surface graphsをdessin d'enfantからくるものとして数体上の代数曲線をとり、
その(semi)stable modelの退化をみる、という観点で眺めたい。
気になるのは、このdimer graphの上に構成されたQFTであるが、
自由フェルミオン場としてみたとき、指数定理の背後にある超対称性を取り出して局所化できるだろうか?

* アファイン量子群と楕円曲線
GEOMETRY OF THE ANALYTIC LOOP GROUP
http://arxiv.org/abs/0812.3540
では1の冪根に特化した量子群の表現と楕円曲線上のバンドルを関連づけている。
このあたりの背後にあるのは、もともと、量子群の結晶基底をRingel代数と関連づけて表そうとした時に、
代数曲線の連接層の導来圏から適当なt構造の元でアーベル圏を取り出す、その仕方から三角構造がでてくる、
というものがある。
Eisenstein series and quantum affine algebras
(http://arxiv.org/abs/alg-geom/9604018)
上記論文では例として射影直線とsl2^を関連づけているが、
これはKronecker moduleのアーベル圏と射影直線の連接層のなすアーベル圏は、
導来圏が同値という性質を持つ、
ということから説明される。
そこで、話をA_{n}^{1}型に拡張するのはweighted projective lineをとることになるが、
一方で、話がうまく行く理由は、次元が1で双対性を持つ、
ということであるから、(双対性はSerre dualityまたはAuslander Reitenの意味でのalmost split sequenceをみる)
楕円曲線の連接層で話をみたくなる。
すでに、Atiyahによって楕円曲線上の(安定)ベクトル束は分類され、moduliも比較的用意に記述できるので、
Ringel代数の生成元と関係式は記述できる。
そのDrinfeld doubleを取ってどのような代数があり、その上の表現がどう応用できるか?
ということが興味の主眼になる。
Heisenberg doubles and derived categories
http://arxiv.org/abs/q-alg/9701009
にdoubleの取り方が記述されていて、
楕円曲線の場合は、
The elliptic Hall algebra, Cherednick Hecke algebras and Macdonald polynomials
http://arxiv.org/abs/0802.4001
に代数の記述があり、sub-algebraとしてCherednick代数を含んでいることが示されている。
さらに重要なこととして、
The elliptic Hall algebra and the equivariant K-theory of the Hilbert scheme of $\mathbb{A}^2$
http://arxiv.org/abs/0905.2555
でアファイン平面のHilbert schemeと関係がつけられている。

2011年8月31日水曜日

サマースクール復習その2

Lecture notes on Geometric Crystals and their combinatorial analogues
(http://arxiv.org/abs/math/0610567)
Geometric and unipotent crystals
(http://arxiv.org/abs/math/9912105)
Geometric and unipotent crystals II: From unipotent bicrystals to crystal bases
(http://arxiv.org/abs/math/0601391)
でトロピカル化により柏原クリスタルに落ちる幾何学的クリスタルが定義されていた。

上記の話は半単純リー環の話でアファインリー環の話ではないので、
アファインクリスタルに落ちる幾何学的クリスタルはあるのか?
この幾何学的クリスタルの上に箱玉系に落ちる構造があるのか?
という疑問が出る。

2011年8月30日火曜日

サマースクール復習その1

4つの講義があったが、
クリスタルと箱玉系の話、および団代数の話は、
背景には、量子群とベーテ仮説があるようだ。

物理サイドでは、2次元CFTと4次元ゲージ理論を弦理論の観点から結びつけているが、
数学サイドでは、それは代数曲線の連接層の導来圏の情報から作られる代数の表現と、
代数曲面の同変コホモロジー上に実現される代数の対応と理解したい。

個別に理解したいポイントを列挙しておく。
* クリスタルと箱玉系
ログ構造を持った代数曲線のspecial fiberの配位のdual graphとトロピカル幾何の対応を理解したい。
とくに講義中で、トロピカル曲線のsmoothnessの定義が出てきたが、
これは、おそらくsemi-stableグラフの性質と、トーリック多様体の特異点の記述を元にすれば、
理解できるはずだ。
また、もともと、有限周期のスペクトル曲線を退化させて有理曲線にした場合が周期なしの場合だった。
箱玉の周期Lと玉の数Mの比を保って無限大に飛ばした場合が周期なしに対応して、その場合は、実トーラスも実直線に退化する、
と思える。
なので、理解の仕方は、具体的に、
punctured disc上にtotally degenerateな超楕円曲線を作り、そのspecial fiber上にKP系を実現すること、
それをBerkovich空間の意味でanalitificationして、有限グラフ部分を見ること、
ということになる。
この時の有限グラフの長さは、代数曲線をトーラスの直積に埋め込む仕方で指定されるはず。
周期箱玉系の周期の現れ方も理解できるはずだ。

* Ding-Iohara代数
講義は徹頭徹尾理解できなかったので、予稿集と参考文献を元に理解を深めたい。
すくなくとも、講義の最初で出てきたelliptic Hall algebraについては、
代数曲線の連接層の導来圏の話と、不分岐保型形式の話を元にしていて、
量子群の半分を作成する話と繋がっているので理解する価値はある。
講義では、目標は、代数系の上に可換な作用素族を構成すること、
ということになっていて、一見すると保型形式のヘッケ環の構成に見えなくもない。
AGT予想で代数曲線と代数曲面を結びつけていたので、
ここで出てくるヘッケ環(もどき)は、Cherednik代数やその親戚たちと関係するだろうから、
その観点で理解してみよう。
さらに、Hall algebraで二つのパラメータが出てくる理由は、
Poincare-Hilbert級数を見ているから、というものだった。
講義では、
3パラメータを持つ代数を探したい、
量子KdVの作用素を実現したい、
というものだったので、もう一つのパラメータはどこからくるのが自然か、妄想できたら嬉しい。

* 4次元ゲージ理論と2次元共形場理論の関係
Nekrasovのpre potentialの話と、ALEインスタントンの話、
という基本的なところから理解したい。

* 共形場理論と団代数
団代数の理論で、
potential付きQuiverに関する話
を理解したい。
講義のハイライトは、dilogarithmの関係式だが、
もともとdilogarithmの関係式については、
matsumotoの定理によってMilnorのK2の具体的な表示の形と結びついていた。
(ex.
http://users.ictp.it/~pub_off/lectures/lns023/Rehmann/Rehmann.pdf)
団代数において、話がトロピカル幾何に帰着する部分というのは、
有理関数体のK2の中で、変形に鈍感な部分から来ていると解釈できないか?
というのが疑問になる。

2011年8月22日月曜日

KPと周期の未読論文リンク

* テータ関数、楕円関数の場合の1-ソリトン解とその退化の仕方の記述
http://people.sissa.it/~dubrovin/rsnleq_web.pdf
演習問題がいっぱいあるので解くこと。

* holonomic D加群の場合の周期
$ε$-Factors for the Period Determinants of Curves
(http://arxiv.org/abs/0903.2674)
Epsilon Factors for Meromorphic Connections and Gauss Sums
(http://arxiv.org/abs/1010.2272)
Product formula for p-adic epsilon factors
(http://arxiv.org/abs/1104.1563)

* 超対称性を持つ場の観点からの指数定理
http://itunes.apple.com/us/itunes-u/id425068678
とくに"Super symmetry and index theorems"の4回、5回。


2011年8月17日水曜日

lesson on tex




\cite{Tau}の内容を
\cite[p21]{SW}にある例に即した形で読み替えられないか?
という疑問が出る。

\[
W=W_{0}(\mathbb{R}^{2})=
\{w \in C([0,1] \to \mathbb{R}^{2} \vert w(0) = 0\}
\]
にWiener測度を与えた実2次元空間に値を取るWiener空間について、
\[
H=
\{h\in W \vert s \in[0,1] \mapsto h(s) \in \mathbb{R}^{2} \text{absolutely continuous}, \dot{h} \in L^{2}([0,1] \to \mathbb{R}^{2}) \}
\]
をそのCameron-Martin空間とする。
定義により内積は、
\[
\langle h,k \rangle=\int_{0}^{1}\dot{h}(s)\dot{k}(s)ds \text{ } (h,k \in H)
\]
となる。
\cite[Prop10.1]{SW}でガウス測度を付加された空間があるが、これとHを同一視したい。

\[
\mathbb{R}^{2}=\mathbb{C}
\]
として、Hの基底を次のように取る。


\[
\phi_{n}(s):=
\begin{cases}
\phi_{0}(s)= s, & \qquad n = 0 \\
\phi_{n}(s)= \frac{1}{2\pi n}(\exp(2\pi \mathrm{i} n s) -1), & \qquad n >= 1
\end{cases}
\]
\[
\psi_{n}(s):=
\frac{1}{2\pi n}(\exp(-2\pi \mathrm{i} n s) -1), \qquad n >= 1
\]

これにより、
\begin{gather*}
H_{+} = < \phi_{n} \vert n \geq 0 >_{\mathbb{C}} \\
H_{ - } = < \psi_{n} \vert n \geq 1 >_{\mathbb{C}} \\
\end{gather*}
\[
H = H_{+}\oplus H_{ - }
\]
と分解する。
Hの部分空間を
\[
H_{n}:= \{f \in H \vert f(\frac{k}{n}) = 0, \qquad k = 0, 1, \cdots, n \}
\]
\[
H_{+n}:= H_{+} \cap H_{n}
\]
とする。
\[
H \supset H_{1} \supset H_{n}
\]
である。

Ito\^ -Nishioの定理により、Hの元をpathと思うと、その係数は、それぞれ独立な2次元正規分布をもつ。\\
\[
[H:H_{n}]=n
\]
であり、ずれは、等分点での値の指定の任意性である。

\begin{thebibliography}{KP}
\bibitem[SW]{SW} G. Segal, G. Wilson, Loop groups and equations of KdV type. Publ. Math., Inst. Hautes Etud. Sci. 61, 5-65 (1985).
\bibitem[Tau]{Tau} Hidemi Aihara, Jiro Akahori, Hiroko Fujii and Yasufumi Nitta, Tau functions of KP solitons realized in Wiener space. http://arxiv.org/abs/1108.0768
\end{thebibliography}

2011年8月15日月曜日

確率面積の元々の計算(tex表示のテストを含む)


平均0、分散1の正規分布の確率変数Xについて、
そのモーメントは、
\begin{eqnarray}
\bf{E}[\rm X^{k}] =\left\{ \begin{array}{ll}

\frac{k!}{2^{\frac{k}{2}}\frac{k}{2}!} & (k:even) \\
0 & (k:odd) \\
\end{array} \right.
\end{eqnarray}
となる。
\[
\xi^{1},\eta^{1},\xi^{2},\eta^{2}
\]
を平均0、分散1の正規分布の独立な確率変数として、
\[
A=\xi^{1}\eta^{2}-\xi^{2}\eta^{1}
\]
\begin{eqnarray}
\bf{E}[\rm A^{k}] =\left\{ \begin{array}{ll}

k! & (k:even) \\
0 & (k:odd) \\
\end{array} \right.
\end{eqnarray}
となる。
よって、
\[
\bf{E}[\rm \exp(\beta A)] =\frac{1}{1-\beta^{2}}
\]
となる。
\[
\{\lambda_{n}\}
\]
が2乗和が収束するものとして、
\[
S:=\sum_{n=1}^{\infty}\lambda_{n}(\xi_{n}^{(1)}\eta_{n}^{(2)}-\xi_{n}^{(2)}\eta_{n}^{(1)})
\]
とおくと、
\[
\bf{E}[\rm \exp( \mathrm{i} \alpha S)] = \prod_{n=1}^{\infty}(1+\alpha^{2}\lambda_{n}^{2})^{-1}
\]
となる。
確率面積の場合の
\[
\{\lambda_{n}\}
\]
を求めることは、
\begin{eqnarray}
H(t) =\left\{ \begin{array}{ll}
1 & (t \geq 0) \\
-1 & (t < 0) \\
\end{array} \right.
\end{eqnarray}
として、畳み込み作用、
\[
Hf(t):=\int_{0}^{1}H(t-s)f(s)ds
\]
の固有値をみることになる。

\[
e_{n+\frac{1}{2}}(t):=exp(2\pi \mathrm{i} ( n+\frac{1}{2} )t)
\]
が固有関数で、
\[
He_{n+\frac{1}{2}}(t) = {- \mathrm{i} \frac{1}{\pi (n+\frac{1}{2}) } } e_{n+\frac{1}{2}}(t)
\]
となる。
ただし、境界条件を指定していないので、固有値の正当性を確かめる必要がある。
(実際には、上記の関数は、二重被覆上の関数。)
きちんと行うには、Cameron-Martin空間上の正規直交基底を作る。

2011年8月8日月曜日

折れ線近似による計算


確率面積を試しに折れ線近似により計算してみる。

各時間$t$において、

¥begin{equation}
z_{t}:=x_{t}+y_{t}i
¥end{equation}
とする。
面積を¥¥
¥[
A(z_{t+1};z_{t}):=
¥begin{pmatrix}
x_{t+1} & y_{t+1} ¥¥
x_{t+1}-x_{t} & y_{t+1}-y_{t}
¥end{pmatrix}
¥]
と定義した行列の行列式として、
¥begin{equation}
a(z_{t+1};z_{t}):=det(A(z_{t+1};z_{t}))
¥end{equation}
とする。¥¥
¥[
¥Delta x_{t}:=x_{t+1}-x_{t}
¥]
¥[
¥Delta y_{t}:=y_{t+1}-y_{t}
¥]
とすると、定義より、
¥begin{equation}
a(z_{t+1};z_{t})=det(
¥begin{pmatrix}
¥sum_{s=0}^{t}¥Delta x_{s}& ¥sum_{s=0}^{t}¥Delta y_{s} ¥¥
¥Delta x_{t} & ¥Delta y_{t}
¥end{pmatrix}
)
=¥¥
¥sum_{s=0}^{t}
det(
¥begin{pmatrix}
¥Delta x_{s} & ¥Delta y_{s} ¥¥
¥Delta x_{t} & ¥Delta y_{t} ¥¥
¥end{pmatrix}
)
¥end{equation}
となる。¥¥
よって、$0$と$z=(x,y)$を時刻Nで結ぶpath
¥[
w=¥{z_{0}=0,z_{1},¥ldots,z_{N}=z¥}
¥]
の面積は、
¥begin{equation}
S(w):=¥sum_{t=0}^{N}a(z_{t+1};z_{t}) ¥¥
=¥sum_{t=0}^{N}¥sum_{s=0}^{t}det(
¥begin{pmatrix}
¥Delta x_{s} & ¥Delta y_{s} ¥¥
¥Delta x_{t} & ¥Delta y_{t} ¥¥
¥end{pmatrix}
)
¥end{equation}
となる。¥¥
ここで、pathの動きを動きの方向によって符号化する。¥¥
¥[
(1,1),(-1,1),(-1,-1),(1,-1)
¥]
をそれぞれ1,2,3,4とラベル付けすると、¥¥
原点を出発するpathは、¥¥
1,2,3,4の組み合わせで符号化される。
¥[
¥epsilon(1,2):=det
¥begin{pmatrix}
1 & 1 ¥¥
-1 & 1 ¥¥
¥end{pmatrix}
=2
¥]
とすると、¥¥
¥[
¥epsilon(1,2)=¥epsilon(2,3)=¥epsilon(3,4)=¥epsilon(4,1)=2
¥]
¥[
¥epsilon(2,1)=¥epsilon(3,2)=¥epsilon(4,3)=¥epsilon(1,4)=-2
¥]
となり、それ以外の組み合わせは0となる。
¥[
w=¥{w_0,w_1,¥ldots,w_{N-1}¥}
¥]
と符号化して、
¥begin{equation}
S(w)
=¥sum_{t=0}^{N-1}¥sum_{s=0}^{t}¥epsilon(w_{s},w_{t})
¥end{equation}
となる。¥¥
ペア
¥[
{1,2},{2,3},{3,4},{4,1}
¥]
について各項を分けて、
¥[
S(w)=S_{12}(w)+S_{23}(w)+S_{34}(w)+S_{41}(w)
¥]
とする。

1,2,3,4のwにおける出現回数を
¥[
N_{1},N_{2},N_{3},N_{4}
¥]
として、
¥[
z=x+yi
¥]
とすると、
¥begin{equation}
N=N_{1}+N_{2}+N_{3}+N_{4}
¥end{equation}
で、
¥[
(x,y)=N_{1}(1,1)+N_{2}(-1,1)+N_{3}(-1,-1)+N_{4}(1,-1)
¥]
より、
¥[
(x,y)=
(N_{1}-N_{2}-N_{3}+N_{4}, N_{1}+N_{2}-N_{3}-N_{4})
¥]
となる。
¥begin{equation}
¥frac{x+y}{2}=N_{1}-N_{3}
¥end{equation}
¥begin{equation}
¥frac{x-y}{2}=-N_{2}+N_{4}
¥end{equation}
であるから、¥¥
$N$および終点$(x,y)$をfixした条件のもと、pathは、
¥[
N_{1},N_{2},N_{3},N_{4}
¥]
の出現回数(これは、$N_{1}$を指定すると他は決まる)を決めて、¥¥
さらに順番を指定したものになる。¥¥

$A=N_{1},B=N_{2}$
を与えて、
$q^{S_{12}(w)}$
の総和を求めてみる。¥¥
それには、{1,2}からなる列
¥[
p=¥{p1,p2,¥ldots,p_{M}¥}
¥]
について、¥¥
縦$A$、横$B$の箱の左下から、¥¥
1が出現したら右へ、2が出現したら上へ進む、¥¥
というルールで線を書くと、¥¥
出現回数が決まっているから、¥¥
箱の右上にたどり着くが、¥¥
その線で分けられた左上の面積-右下の部分の面積 ¥¥
が${S_{12}(p)}$に対応する。¥¥
よって、
¥[
¥sum_{p}q^{S_{12}(p)}
=¥frac{q^{AB+1} - q^{-(AB+1)}}{q-q^{-1}}
¥]
となる。

このことから、
$N$および終点$z=(x,y)$をfixした条件のもと、
¥[
¥bf{E}[¥rm q^{S(w)} | w(N)=z]=¥sum_{w}q^{S(w)}
¥]
は、
¥begin{equation}
¥sum_{w}q^{S(w)}=¥sum_{N_{1},N_{2},N_{3},N_{4}}
¥frac{q^{N_{1}N_{2}+1} - q^{-(N_{1}N_{2}+1)}}{q-q^{-1}}
¥frac{q^{N_{2}N_{3}+1} - q^{-(N_{2}N_{3}+1)}}{q-q^{-1}}
¥frac{q^{N_{3}N_{4}+1} - q^{-(N_{3}N_{4}+1)}}{q-q^{-1}}
¥frac{q^{N_{4}N_{1}+1} - q^{-(N_{4}N_{1}+1)}}{q-q^{-1}}
¥end{equation}
となる。

ここから、無限積による表示にたどり着くには、まだ一工夫必要のようだ。

2011年7月26日火曜日

箱玉系その4

* 周期的箱玉系
BETHE ANSATZ AND INVERSE SCATTERING TRANSFORM IN A PERIODIC BOX-BALL SYSTEM
(http://arxiv.org/abs/math/0602481)
には、周期的箱玉系に関する逆散乱の話がされている。

N-aolitonの場合は、N個の通常2重点を持つ射影直線の
generalizedJacobianの上の運動だった。
周期的KdVは超楕円曲線のJacobianの上の運動で、
両者は分岐点の移動による退化によって結びついていた。

- 箱玉系の場合、通常の箱玉系の運動と周期的箱玉系の運動を結びつける
空間の変形はあるのだろうか?
- 1-ソリトンを特異射影直線の上で見たとき、これをBerkovich空間上の幾何とみると、special fiberには自然に1-loopグラフがでてくる。
このグラフの意味でのJacobianの上で等速直線運動を考えると、
それは箱玉系と関係づけることができるだろうか?

2011年7月24日日曜日

ソリトンの超離散化

箱玉系では、超離散化した後に、ソリトンやタウ関数を考えていた。
では、
先にソリトンを超離散化するとどうなるか?
という疑問がわくが、
[Kdm]KP solitons and total positivity for the Grassmannian
(http://arxiv.org/abs/1106.0023)
では、N-ソリトンのタウ関数(すなわちWronskian)
を超離散化して、組み合わせ論的な対応をみている。
ここでの超離散化は、指数和で書かれているタウ関数についてのもので、
指数の肩の最大値をとる場所を見ている。
そうすると、区分的線形関数が現れ、変化を区切る直線、
すなわちtropical varietyがでてくる。
そのような超離散化をうまく進めるために、total positivityが有効である。
タウ関数をBinet-Cauchyの公式で展開してそれぞれの項をみるので、
そのすべての係数が正、という性質がtotal positivityになり、
有限次元のGrassmannianのtotal positive partへの埋め込み

超離散化の結果の離散構造の対応
ができる。

ただ、
ここででてきた離散構造(generic fiber)
と、
箱玉系における離散構造(special fiber)
との間には、双方でヤング図形が現れるものの意味が異なり、
そのままでは直接的な対応がない。
そもそも、
N-ソリトンではWronskianが定義されるためには、
振幅はすべて異なっているが、
箱玉系では、同じ振幅のソリトンが複数個存在していて、
後者のヤング図形は振幅の個数を表している。
そのため、振幅のクラスタリングを考える必要があるとも思える。

----
ベーテ仮説と組合せ論6.4 超離散広田三輪方程式の証明
の項では、
N-ソリトン解と次のように対比していた。
(型1^L,n=1でA_{1}^{1}の場合のみ見る。)
ソリトンの個数N<->μのヤング図の台の深さをN
時間発展の変数(t1,t3,...)<->{1,...,N}
それぞれのstringをソリトンと見なすので、
(μ_{i},J_{i})(i=1,...,N)に対して
(ソリトンの数理§3.3頂点作用素の記号で)ソリトン解で用いられる(p,q,ξ)を、対応させる。
ただ、[Kdm]では、時間変数として3変数(x,y,t)を取って議論しているので、
組み合わせの対象が異なるのは確か。

2011年7月21日木曜日

箱玉系その3

ベーテ仮説と組合せ論1.3の例で見てみると、確かに等速直線運動をしている。

python soliton_config.py
path [ 20 ]: [1, 1, 1, 2, 2, 2, 1, 1, 1, 1, 2, 1, 2, 2, 1, 1, 1, 2, 2, 1]
type: 20
4 *** 0
6 ** 5
6 ** 4
12 * 7

path [ 21 ]: [1, 1, 1, 1, 1, 1, 2, 2, 2, 1, 1, 2, 1, 1, 2, 2, 1, 1, 1, 2, 2]
type: 21
5 *** 3
7 ** 7
7 ** 6
13 * 8

path [ 23 ]: [1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 2, 2, 1, 2, 2, 1, 1, 2, 2, 1, 1, 1, 2, 2]
type: 23
7 *** 6
9 ** 9
9 ** 8
15 * 9

path [ 25 ]: [1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 2, 1, 1, 2, 2, 1, 1, 2, 2, 2, 1, 1, 2, 2]
type: 25
9 *** 9
11 ** 11
11 ** 10
17 * 10

path [ 28 ]: [1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 2, 1, 1, 1, 2, 2, 1, 1, 1, 2, 2, 1, 1, 2, 2, 2]
type: 28
12 *** 12
14 ** 13
14 ** 12
20 * 11

path [ 31 ]: [1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 2, 1, 1, 1, 1, 2, 2, 1, 1, 1, 2, 2, 1, 1, 1, 2, 2, 2]
type: 31
15 *** 15
17 ** 15
17 ** 14
23 * 12

path [ 34 ]: [1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 2, 1, 1, 1, 1, 1, 2, 2, 1, 1, 1, 2, 2, 1, 1, 1, 1, 2, 2, 2]
type: 34
18 *** 18
20 ** 17
20 ** 16
26 * 13

path [ 37 ]: [1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 2, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 2, 2, 1, 1, 1, 2, 2, 1, 1, 1, 1, 1, 2, 2, 2]
type: 37
21 *** 21
23 ** 19
23 ** 18
29 * 14
#!/usr/bin/python

class YoungDiagram:
    def __init__(self):
        self.shape = []
    def depth(self):
        return len(self.shape)
    def total(self):
        return sum(self.shape)
    def transpose_shape(self):
        list = []
        for i in range(self.shape[0]):
            list.append(len(filter(lambda x: x>i, self.shape)))
        return list
    def first(self):
        if len(self.shape) == 0:
            return 0
        return self.shape[0]
    def m(self,j):
        return len(filter(lambda x: x == j, self.shape))
    def q(self, j):
        if len(self.shape) == 0:
            return 0
        s = 0
        for k in range(self.shape[0]+1):
            s += min(j, k)*self.m(k)
        return s
    def __str__(self):
        for i in self.shape:
            print "\t","*"*i
        return ""

# n=1 type(1^L) only
class Configuration:
    def __init__(self):
        self.type = 0
        self.u1 = YoungDiagram()
        self.update_vacancy()
        self.rigging = []
    def p(self, j):
        return self.type - 2 * self.u1.q(j)
    def update_vacancy(self):
        self.vacancy = []
        list = []
        for j in range(self.u1.first()+1):
            list.append(self.p(j))
        for j in self.u1.shape:
            self.vacancy.append(list[j])
    def sort_rigging(self):
        i = 0
        while i < len(self.u1.shape):
            l = len(filter(lambda x: x == self.u1.shape[i], self.u1.shape))
            self.rigging[i:i+l] = sorted(self.rigging[i:i+l], reverse=True)
            i += l
    def singular_test(self):
        list = []
        for i in range(len(self.vacancy)):
            list.append(self.vacancy[i] == self.rigging[i])
        return list
    def add_1(self):
        self.type += 1
        self.update_vacancy()
    def add_2(self):
        list = self.singular_test()
        try:
            i = list.index(True) # index of a singular string
            self.type += 1
            self.u1.shape[i] += 1 # extend the singular string
            m = map(lambda x: x < self.u1.shape[i] , self.u1.shape)
            try:
                j = m.index(True)
                if j < i:
                    self.u1.shape[i],self.u1.shape[j] =self.u1.shape[j],self.u1.shape[i]
                    self.rigging[i],self.rigging[j] = self.rigging[j],self.rigging[i]
                    i = j
            except ValueError:
                0 #nothing to do
            self.update_vacancy()
            self.rigging[i] = self.vacancy[i]
        except ValueError: # no singular string, add 1-string
            self.type += 1
            self.u1.shape.append(1)
            self.update_vacancy()
            try:
                i = self.u1.shape.index(1)
                self.rigging.insert(i, self.vacancy[-1])
            except ValueError:
                self.rigging.append(self.vacancy[-1])
        self.sort_rigging()
    def add(self, list):
        c = 0
        self.path = list
        for v in list:
            if v == 1:
                self.add_1()
            else:
                self.add_2()
            c+= 1
    def __str__(self):
        print "path [", len(self.path),"]:",self.path
        print "type:",self.type
        for i in range(len(self.vacancy)):
            print "\t",self.vacancy[i], "*"*self.u1.shape[i], self.rigging[i]
        return ""
def move(l, ball):
    while True: 
        try:
            n = l.index(ball)
            l[n] = 'done'
            m = l[n+1:]
            try:
                n2 = m.index(1)
                m[n2] = 'new'
            except ValueError:
                m.append('new')
            l[n+1:] = m
        except ValueError:
            break
    for i in range(len(l)):
        if l[i] == 'new':
            l[i] = ball
        elif l[i] == 'done':
            l[i] = 1        

##test
l=[1,1,1,2,2,2,1,1,1,1,2,1,2,2,1,1,1,2,2,1]

for i in range(8):
    c = Configuration()
    c.add(l)
    print c
    move(l, 2)

2011年7月20日水曜日

箱玉系その2

ベーテ仮説と組合せ論 例5.5(p107)のパスとrigged configuration
の対応をチェックするためのpythonスクリプト

前回のスクリプトと合わせると、
ソリトン->rigged configuration
による時間発展の線形化が確認できるはず。(後日に記載予定)

python soliton_config.py
path [1, 2, 1, 2, 1, 1, 2, 2]
type: 8
0 ** 0
2 * 0
2 * 0

path [1, 2, 1, 1, 2, 1, 2, 2]
type: 8
0 ** 0
2 * 1
2 * 0

path [1, 2, 1, 1, 2, 2, 1, 2]
type: 8
0 ** 0
2 * 2
2 * 0

path [1, 1, 2, 1, 2, 1, 2, 2]
type: 8
0 ** 0
2 * 1
2 * 1

path [1, 1, 2, 1, 2, 2, 1, 2]
type: 8
0 ** 0
2 * 2
2 * 1

path [1, 1, 2, 2, 1, 2, 1, 2]
type: 8
0 ** 0
2 * 2
2 * 2

#!/usr/bin/python

class YoungDiagram:
    def __init__(self):
        self.shape = []
    def __init__(self, shape):
        self.shape = shape
    def depth(self):
        return len(self.shape)
    def total(self):
        return sum(self.shape)
    def transpose_shape(self):
        list = []
        for i in range(self.shape[0]):
            list.append(len(filter(lambda x: x>i, self.shape)))
        return list
    def first(self):
        if len(self.shape) == 0:
            return 0
        return self.shape[0]
    def m(self,j):
        return len(filter(lambda x: x == j, self.shape))
    def q(self, j):
        if len(self.shape) == 0:
            return 0
        s = 0
        for k in range(self.shape[0]+1):
            s += min(j, k)*self.m(k)
        return s
    def __str__(self):
        for i in self.shape:
            print "\t","*"*i
        return ""

# n=1 type(1^L) only
class Configuration:
    def __init__(self, type, shape):
        self.type = type
        self.u1 = YoungDiagram(shape)
        self.update_vacancy()
        self.rigging = []
    def p(self, j):
        return self.type - 2 * self.u1.q(j)
    def update_vacancy(self):
        self.vacancy = []
        list = []
        for j in range(self.u1.first()+1):
            list.append(self.p(j))
        for j in self.u1.shape:
            self.vacancy.append(list[j])
    def singular_test(self):
        list = []
        for i in range(len(self.vacancy)):
            list.append(self.vacancy[i] == self.rigging[i])
        return list
    def add_1(self):
        self.type += 1
        self.update_vacancy()
    def add_2(self):
        list = self.singular_test()
        try:
            i = list.index(True) # index of a singular string
            self.type += 1
            self.u1.shape[i] += 1 # extend the singular string
            self.update_vacancy()
            self.rigging[i] = self.vacancy[i]
        except ValueError: # no singular string, add 1-string
            self.type += 1
            self.u1.shape.append(1)
            self.update_vacancy()
            try:
                i = self.u1.shape.index(1)
                self.rigging.insert(i, self.vacancy[-1])
            except ValueError:
                self.rigging.append(self.vacancy[-1])
    def add(self, list):
        self.path = list
        for v in list:
            if v == 1:
                self.add_1()
            else:
                self.add_2()
    def __str__(self):
        print "path", self.path
        print "type:",self.type
        for i in range(len(self.vacancy)):
            print "\t",self.vacancy[i], "*"*self.u1.shape[i], self.rigging[i]
        return ""
##test
c = Configuration(0, [])
c.add([1,2,1,2,1,1,2,2])
print c
c = Configuration(0, [])
c.add([1,2,1,1,2,1,2,2])
print c
c = Configuration(0, [])
c.add([1,2,1,1,2,2,1,2])
print c
c = Configuration(0, [])
c.add([1,1,2,1,2,1,2,2])
print c
c = Configuration(0, [])
c.add([1,1,2,1,2,2,1,2])
print c
c = Configuration(0, [])
c.add([1,1,2,2,1,2,1,2])
print c

2011年7月15日金曜日

箱玉系

n色の箱玉系の動作確認のためのpythonスクリプト

結果は、ベーテ仮説と組合わせ論p134の例になる
python soliton.py
[2, 2, 2, 1, 1, 1, 1, 2]
[1, 1, 1, 2, 2, 2, 1, 1, 2]
[1, 1, 1, 1, 1, 1, 2, 2, 1, 2, 2]
[1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 2, 1, 1, 2, 2, 2]
[1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 2, 1, 1, 1, 1, 2, 2, 2]
[1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 2, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 2, 2, 2]

2色の例7.4については、
[1, 3, 2, 2, 1, 1, 3, 2]
[1, 1, 1, 1, 3, 2, 2, 1, 3, 2]
[1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 3, 2, 1, 3, 2, 2]
[1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 3, 2, 1, 1, 3, 2, 2]

#!/usr/bin/python

def move(l, ball):
    while True: 
        try:
            n = l.index(ball)
            l[n] = 'done'
            m = l[n+1:]
            try:
                n2 = m.index(1)
                m[n2] = 'new'
            except ValueError:
                m.append('new')
            l[n+1:] = m
        except ValueError:
            break
    for i in range(len(l)):
        if l[i] == 'new':
            l[i] = ball
        elif l[i] == 'done':
            l[i] = 1  
#p134
l = [2,2,2,1,1,1,1,2]
print l
for i in range(5):
    move(l, 2)
    print l
#p137 例7.4
l = [1,3,2,2,1,1,3,2]
print l
for i in range(3):
    move(l, 3)
    move(l, 2)
    print l

2011年6月20日月曜日

トーリック多様体

* トーリック多様体上の直線束の計量
Arithmetic geometry of toric varieties. Metrics, measures and heights
(http://arxiv.org/abs/1105.5584)
に、トーリック多様体上の直線束の計量と、
Legendre変換の話がまとまっている。
とくに有限素点の場合も書かれている。

* トーリック多様体の特異点解消
トーリックの世界
(http://www.math.kyoto-u.ac.jp/~fujino/TW-HP.pdf)
に特異点解消のコンパクトな説明があった。

* 疑問点
- トーリック多様体上のトーラス作用同変なリーマン計量から定まるブラウン運動
、あるいはラプラシアン、を扇の言葉で書くこと。
- 特異点を持つ場合にブラウン運動が定義できるか?
その場合、同変ブローアップ上のブラウン運動との違いはなにか?

- LDPの話をトーリック多様体上で展開できるか?
まずは、random gaussian analytic function
が定義できることをみなくてはならない。
Random zeros on complex manifolds: conditional expectations
(http://arxiv.org/abs/1005.4166)
次に、ケーラー計量、Bergman核について知っていないといけない。
BERGMAN METRICS AND GEODESICS IN THE SPACE OF KA ̈HLER METRICS ON TORIC VARIETIES
(http://mathnt.mat.jhu.edu/zelditch/Preprints/geotoricrevMar1.pdf)

2011年5月23日月曜日

Witt環とBC系

* On the arithmetic of the BC-system
(http://arxiv.org/abs/1103.4672)
では、
BC系の話を、Witt環とからめている。

KMS条件は、C*環でのformulationでは、
実時間での条件になるが、(境界値を与えた正則関数の話)
p進整数環での条件として定式化し直している。

* 連続極限
イジング模型にせよ、ランダムウォークにせよ、
連続極限を取るときは、実素点での距離に関する連続極限を取っている。

KMS条件にでてくるのは、実軸が時間で、虚軸が温度であったが、
それをp進素点に関する距離で考える、というのは、
時間、空間、温度、のどれに関しての話と見なせばいいのだろうか?

Lubin-Tate空間

* Lubin-Tate空間
The Geometry of Lubin-Tate spaces (Weinstein)
(http://www.math.ias.edu/~jaredw/FRGLecture.pdf)
にLubin-Tate空間について簡潔にまとめられていた。
p-divisible groupとDieudonne加群とは、完全体の上では、
圏同値になるが、
とくに、1次元形式群に着目する。
special fiberを固定して、
Witt環上への持ち上げに対する変形のmoduliは、
高さをhとするとき、h-1次元の開球になる。
level構造を込みにして、quasi-isogenyで同一したmoduliは、
開球のetale coveringになる。

B_{cris}^{+}の一部分は、height1の形式群則を固定して、記述することができる。

では、p-divisible groupの次元を上げて、
B_{cris}^{+}の別の部分を記述できないか?
となるが、
これは、
http://www.math.u-psud.fr/~fargues/Courbe.pdf
に記述されている、一般化リーマン球面
の話になる。
(Proposition 7.17., Teoreme 12.7.)

2011年5月9日月曜日

有限空間

* 有限空間
FINITE TOPOLOGICAL SPACES
(http://www.math.uchicago.edu/~may/MISC/FiniteSpaces.pdf)
および
Finite spaceやそれに類する空間
(http://pantodon.shinshu-u.ac.jp/topology/literature/finite_space.html)
では、有限個の点からなる集合に、必ずしもHaussdorfとは限らない位相を入れて、議論をしている。
そこでの観点は、partially orderと対応をつけること、
だった。
ここで気になってくるのは、finite space上の確率測度の集合、
およびその上の大偏差原理、である。
開基についてレート関数の性質をみることになる。
(ex. Dembo-Zeitouni Th4.1.11)
離散位相では、単純に個数次元の実ベクトル空間内の和が1の超平面についての話、
密着位相では、レート関数は恒等的に0
となる。

FINITE GROUPS AND FINITE SPACES
(http://www.math.uchicago.edu/~may/MISC/finitegroups.pdf)
では、有限群について、その部分群全体の集合に包含関係で部分順序を入れて、
群の代数的な性質を、対応する有限空間の幾何学的性質と関係づけようとしている。
とくにQuillen予想、という形で、
正規p-部分群の存在を有限空間の弱可縮性
と関係づけている。

有限群として、局所体上の絶対ガロア群の商群を取ったときに、
有限空間の射影極限から得られる大偏差原理と、
p-部分群の持ち上げの性質について、
何か関係がつくようなうまい確率測度の列が存在しないだろうか?

2011年4月24日日曜日

解析的曲線とトロピカル化

有限語の上の確率測度と大偏差原理は、
レート関数が相対エントロピーという形で奇麗に表される。
有限語を点とみて、語間の遷移確率を指定したマルコフ過程は、
有限グラフの辺に長さの構造が入ったものと見なせる。

有限語に対する重みを与えることを、
重みのパラメータを次元とするトーラス作用を与えることと思うと、
有限グラフとトロイダル多様体との間に何か関係が欲しくなるが、
これをBerkovich空間の言葉で表すことができる。
Berkovichの意味での解析的曲線は、
有限グラフへの変形レトラクトを持ち、
有限グラフと解析的曲線のsemi-stable modelとの関係がつく。


* トーリック多様体とトロピカル埋め込み
Analytification is the limit of all tropicalizations
(http://arxiv.org/abs/0805.1916)

Nonarchimedean geometry, tropicalization, and metrics on curves
(http://arxiv.org/abs/1104.0320)

* log-smooth
Lectures on Logarithmic Algebraic Geometry
(http://math.berkeley.edu/~ogus/preprints/log_book/logbook.pdf)
トロイダル多様体への埋め込みや、semi-stable curveという話を、
制限を付けずに扱うためには、ログ多様体の意味でのsmoothnessとしてあつかった方がよいと思われる。
Berkovich空間のログ多様体としての解釈はどうなるのだろうか?
局所環付き空間なので、定義自体はそのまま移行可能だろう。

2011年4月11日月曜日

有限グラフのゼータ関数

有限グラフのゼータ関数
Number theory of Graphs
(http://math.ucsd.edu/~aterras/2010%20newton.pdf)
または、
Zeta Functions of Graphs

* regular graph
多様体は、局所的にすべてEuclid空間に同型な幾何学的対象である。
有限グラフにおいて、局所的、という概念は、各頂点の近傍に対応する。
その位相的な性質は、頂点においてどれだけ辺がでているか、ということになるから、
多様体と同様に局所的にすべて同型という性質を持たせようとすれば、
頂点から出ている辺の数がすべて等しい、
という性質が要請される。この性質を満たすグラフをregularグラフという。
* Weil予想
有限体上の完備代数曲線について、それがsmoothであれば、
そのFrobenius作用素の固有値の絶対値について、purityが成り立つ、
というのが、Weil予想であった。
有限グラフについて、完備、という性質は、次数1の頂点が存在しない、と読み替え、
smoothをregularと読み替える。
グラフの辺に正、負双方の向き付けを与えて、ラベル付けを行い、グラフに従ってpathの集合を作る。
この集合におけるシフト作用素がFrobenius作用素に対応し、ゼータ関数は、
Iharaのゼータ関数として定式化される。
Weil予想に対応する結果は、隣接行列の固有値の性質に読み替えられるが、
すべてのregularグラフに対して成り立つことは言えず、
Weil予想が成り立つグラフをRamanujanグラフと定義している。

* Riemann面に対応するリボングラフ
Riemann面に対しては、ModuliのCell分割によってリボングラフが対応した。
このリボングラフの辺の長さがすべて等しいとき、そのRiemann面は数体上の代数曲線から来る。
(Berliの定理の言い換え)
すなわち、グラフの長さからなる単体と確率測度を対応させると、確率測度のエントロピーが最大になるときが数体上の代数曲線に対応していた。
そこで、次のような疑問が自然に出る。
- Riemann面に対応するリボングラフを有限グラフと見たとき、regularを満たすRiemann面はどのような性質を持つか?
- RIemann面のリボングラフを有限グラフとみたとき、これは何を表すか?
cell分割が、semi-stableな境界を含んでいて、
semi-stableに対応する双対グラフとして意味を持つか?
- Riemann面が数体上定義されるとき、p進でのBerkovich空間でのレトラクションとして有限グラフが得られる。これがtrivialにならないためには、代数曲線のモデルをとって、特異ファイバーが生じるところでみることになるが、この有限グラフと、もとのリボングラフはどのように対応するか?

SEMI-GRAPHS OF ANABELIOIDS
(http://www.kurims.kyoto-u.ac.jp/~motizuki/Semi-graphs%20of%20Anabelioids.pdf)
A dual point of view on the ribbon graph decomposition of moduli space
(http://arxiv.org/abs/math/0601130)
を読む必要がありそうだ。

* Brown運動とIharaのゼータ関数
regularグラフのIharaのゼータ関数のBassによる表示は、
det(I-uA+u^2Q)
と2次の形になっている。
そこで、Iharaのゼータ関数とBrown運動の生成作用素に対応がつくか?
という疑問が自然に浮かんでくる。
degree1の頂点が存在しないregularグラフのもとで、
境界条件はどうなるか?
下記の三つ組みがIharaのゼータ関数の2次表示と一致するのは、たとえばすべての辺の長さが1など、
具体的に書けるか?
Brownian Motions on Metric Graphs
(http://arxiv.org/abs/1102.4937)
を読む必要がありそうだ。

* 有限グラフのAbel-Jacobi
Riemann-Roch and Abel-Jacobi theory on a finite graph
(http://arxiv.org/abs/math/0608360)
では、対称積からJacobianを定義している。
そこで、Zelditchの大偏差原理の記述に対応するものを有限グラフで探してみたくなる。

* regularityの摂動
ランダムシュレディンガー作用素については、Anderson局在が成り立ち、
ランダムネスが減少するに従って、固有値の性質が絶対連続性を持っていた。
有限グラフにおいて、regularityは極めて強い条件と思われるが、
有限グラフをものすごく大きな次数で被覆して得られる有限グラフを考え、
その極めて小さい部分のみregularityを変更するように辺を挿入すると、
Iharaのゼータ関数は行列の微小摂動であるから、多項式として微小変動する。
この変動について、どのようなことがいえるか?

2011年3月11日金曜日

雑多な話

* Szegö via Jacobi
(http://arxiv.org/abs/math/0604009)
に、Szegoのstrong limit theorem(http://en.wikipedia.org/wiki/Fredholm_determinant)
の証明があった。

* 有限体上の超楕円曲線のFrobenius写像の固有値の分布で、genusに関する極限を取る話
Traces of high powers of the Frobenius class in the hyperelliptic ensemble
(http://arxiv.org/abs/0811.3649)
有限体の位数ではなく、曲線の種数で極限を取る、
という点で、面白い。
これを、数体(標数を固定して局所体で考えれば十分)上のモデルからreductionによって得られるものとしたとき、
dessin d'enfantの系列はどうなるだろうか?

* 代数曲線と非可換代数
Calogero-Moser Spaces over Algebraic Curves
(http://arxiv.org/abs/0809.4521)
射影直線の導来圏はKronecker代数の導来圏と同型だが、
これを逆にみて、代数曲線上の微分作用素のなす代数を
非可換代数上の加群の言葉で書こうという話。

2011年3月8日火曜日

Ribbon graphとRiemann面

* Ribbon Graphとリーマン面の対応
RIBBON GRAPHS, QUADRATIC DIFFERENTIALS ON RIEMANN SURFACES, AND ALGEBRAIC CURVES DEFINED
OVER Q-bar
(http://www.math.ucdavis.edu/~mulase/texfiles/ribbon.pdf)
に、Ribbon graphとRiemann面の対応が紹介されている。

そのもとで、
LECTURES ON THE ASYMPTOTIC EXPANSION OF A HERMITIAN MATRIX INTEGRAL
(http://www.math.ucdavis.edu/~mulase/texfiles/lectures.pdf)
において、行列積分、すなわち、Hermitian matrixのもとでの、
log(E(exp(?)))
の形の式と、Riemann面のモジュライが結びつく。
ここで、E()は上の文脈ではA()と漸近展開の意味であるが、
これを何らかの意味での期待値と見なしたい。

* ラプラス変換とPoincare多項式
TOPOLOGICAL RECURSION FOR THE POINCARE ́ POLYNOMIAL OF THE COMBINATORIAL MODULI SPACE OF CURVES
(http://www.math.ucdavis.edu/~mulase/texfiles/mppoincare2.pdf)
では、上記の行列積分の漸近展開式の各(g,n)に対応する部分について、
Eynard-Orantinの組み合わせ漸化式から漸化式を導出している。

ここで気になってくるのは、
Riemann面をfixしてN点をとったときの、LDPはグリーン関数に基づいた
Rate関数が出てくるが、
複素構造を決めずに、
N点を取ってから、たとえばVoronoi図をとって領域を分割し、
そこからRibbon graphを作って、対応するRiemann面を取る、
という手順にすると、(g,n)をfixしたモジュライの上に確率測度が導出され、
その測度の元でのLDPのRate関数として、上記の行列積分の破片がでてくる、
というようにはならないだろうか?
ということ。
無論、N点をとってRibbon graphの上に長さを定義できるためには、
最初にユークリッド構造を入れておく必要がある。
つまり、universal curve上にGauss-Manin connectionが入って、
connectionと両立する移動のみでモジュライ空間の上をふらつくような、
点過程、
というものが素朴な抽像になる。

Zelditchの論文では、Gaussian random polynomialsを考えていたが、
そこに複素構造の変形までrandomにすることを含めるには、
どのようにすればよいだろうか?

2011年2月28日月曜日

累積分布の逆関数

一様分布の乱数から、確率測度のシミュレーションを行うときに、
自然と累積分布関数の逆関数、という話が出てくる。

ここで、逆関数をみる、ということは、
楕円積分などのアーベル微分と絡んでもよいと思うのだが、
分布関数が種数1以上の代数曲線の周期と結びついた確率測度、
という話をみたことがないので、
面白い分布関数がないものか?
と気になる。

* 代数曲線の種数増大列
Katz-Sarnakのランダム行列の議論では、
有限体上の代数曲線の列で、種数->無限大
となるものを考えて、
そのフロベニウス作用素の1次コホモロジーの固有値
から作られる確率測度のGUEへの収束をみていた。

* ベータ分布
上記の代数曲線の列として、
GUEに収束しないものの例として、
Fermat曲線があげられている。(ただし、次数と標数に制限がつく。)
Fermat曲線は、
射影直線の{0,1,無限大}における分岐
によって得られ、
式の形からも、標数0に持ち上げられ、
整数環上定義されるものである。

複素数体上で、
Fermat曲線のアーベル微分をみると、
その周期は、ベータ関数で表される。
ベータ分布でパラメータが特殊な有理数となっているものの列
が、標数pへのreductionでGUEに収束しない列を与えている。
ベータ分布は、事前分布も事後分布もベータ分布となるような、
尤度関数を持っている。

* そこで、次の疑問がわく。
射影直線の{0,1,無限大}における分岐、
すなわち、dessin d'enfantを考えて、
適当な被覆列をとる。

1. その[0,1]におけるアーベル微分の周期をとって、確率測度とする。
被覆列についてみると、確率測度の列ができるが、
この列を事前分布、事後分布として解釈できるような尤度関数は存在するか?
2. 確率測度の列について、各尤度関数は、その代数曲線のempirical measureのレート関数と、なにか関係がつくか?
3. 適当なパラメータの特殊化を行って、有限標数にreductionを行うと、代数曲線列は、固有値測度がGUEに収束しない列となりうるか?

2011年2月10日木曜日

タウ関数についての妄想

p-adic periods and the derived de Rham cohomology
(http://arxiv.org/abs/1102.1294)
では、
derived algebraic geometryの言葉を用いて、
B^{+}_{dR}をA_{dR}:derived de Rham algebra
のderived p-adic completionとして同一視している。

h-topologyやcotangent complexの枠組みを理解していないので、
詳細はよくわからない。

一方、
$\epsilon$-factors for Gauss-Manin determinants
(http://arxiv.org/abs/math/0111277)
では、
residueによるdualityを利用して、
クリフォード群とハイゼンベルグ群を整理し、
射影加群とdeterminant line bundleの言葉で、
タウ関数のフェルミオン的な立場を代数的に記述している。

上記のp進的な話が、p-adic differential equationあるいは、
ガロア表現を通じて、タウ関数と結びつき、
さらに、
derived algebraic geometryの言葉を通して、
free loop algebraひいては何らかの意味でのWiener空間と自然に結びついてくれるとうれしい。

2011年1月16日日曜日

直線束の大域切断から得られる確率変数の大偏差原理

LARGE DEVIATIONS OF EMPIRICAL ZERO POINT MEASURES ON RIEMANN SURFACES, I: g = 0
(http://arxiv.org/abs/0904.4271)
Large deviations of empirical measures of zeros on Riemann surfaces
(http://arxiv.org/abs/1101.0417)
に、リーマン面上の直線束をとり、その大域切断から得られる
RandomPolynomial
について、零点の位置からなる測度についての大偏差原理
が示されていた。
種数0の場合は、多項式空間にガウス分布からなる基底を入れて話をすることで、
ほとんどユニタリー群に対するランダム行列の場合の、
n-Fekete setのcounting measureが平衡測度に収束する場合の議論
(ex. Orthogonal Polynomials and Random Matrices(Deift)の6章の議論)
と同様の話を行える。

種数一般の場合は、零点をdiviserに置き換えて、Abel-Jacobiの定理によりリーマン面の対称積上に引き戻した上で、
種数0の場合に座標を用いて書かれていた箇所をPrime formsで書き直すことにより、
大偏差原理のレート関数を書き表すことができる。

Heights and measures on analytic spaces. A survey of recent results, and some remarks
(http://arxiv.org/abs/1001.2517)
では、計量付き直線束の議論をp進体上でも行っているので、
ガウス分布に対応するものが何か?
といった話を考えるのも興味深い。

2011年1月11日火曜日

p進体上の周期と積分

* アーベル多様体上の周期
- PÉRIODES ET REPRÉSENTATIONS GALOISIENNES, NOTES DU COURS DE M2
(http://www.math.jussieu.fr/~colmez/Orsay.pdf)
楕円曲線に限定して、周期の計算を行っている。
とくに、Complex Multiplicationを持つ場合は、
Chowla-Selbergの公式が成り立つ
- Périodes p-adiques des variétés abéliennes , Math. Annalen 292 (1992), 629--644

* Coleman積分
Heidelberg lectures on Coleman integration
(http://www.math.bgu.ac.il/~bessera/Heidelberg-lecture.pdf)
* Coleman積分の超楕円曲線の場合の計算
Explicit Coleman integration for hyperelliptic curves
(http://arxiv.org/abs/1004.4936)

p進体上のp進体値関数

Colmezのページに基本的なことのまとめがおいてあった。

* Fontaineの周期環
INTRODUCTION AUX ANNEAUX DE FONTAINE, NOTES DU COURS DE M2
(http://www.math.jussieu.fr/~colmez/Fontaine.pdf)
複素数体上では、複素平面の極座標分解ができて、
オイラーの公式が、極方向の、一意化座標と割った座標の同一視の仕方を与えている。
Berkovich空間として、p進射影平面をみると、これは木構造の完備化で、実1次元であるから、
オイラーの公式的なものを作ろうとすると、
極方向に次元を増やす必要がある。
空間の次元を増やすことはできないので、
分岐拡大の方向に自由度を増やして、それを完備化することにより、擬似的に次元を増やす、
という方針をとることになる。
そのために、
標数pの世界と標数0の世界をつなぐ道具立て、
- p乗で結ばれる数列
- Witt環
を用意する。
ガロア群の作用が連続になる(p進,付値)の2次元的な位相環が定義され、
これを動径方向、すなわちp進方向に局所化して、極座標方向、すなわち付値方向に完備化することで、Fontaineの周期環が定義される。

* p進体値関数
FONCTIONS D’UNE VARIABLE p-ADIQUE, NOTES DU COURS DE M2
(http://www.math.jussieu.fr/~colmez/Espaces-fonctionnels.pdf)
複素数値関数としてのp進局所体上の連続関数は、局所定数だった。
では、
p進体値関数の場合はどうか、というと、これも、局所体の完全不連結性に起因して、
連続関数のなかで、局所定数関数が密になる。
とくに、連続関数のなす空間のorthonormal basesとして、
2項係数からなる多項式群をとることができる。
ここで、orthonormal basesは、ヒルベルト空間が定義されている訳ではないので、
p進Banach空間を定義して、その中で、基底と、項が無限遠で0になるような数列の空間を用いて、定義される。
次に、局所解析的関数を定義して、そのorthonormal basesが2項係数に収束条件のための定数をつけた形で決定できる。
r級の関数の定義がなされるが、r階微分可能性にさらに、テイラー展開の誤差項の一様連続性を条件に加えている。
これは、Exercice10にあるような例があるため。

局所解析的ならば任意のrでr級になる。
各r級の空間でbasesは、やはり、2項係数に収束条件のための係数がついたものになる。

* 分布、測度
DISTRIBUTIONS ET FONCTIONS ANALYTIQUES, NOTES DU COURS DE M2
(http://www.math.jussieu.fr/~colmez/Distributions.pdf)
関数に加えて、分布、測度が定義される。
Amice変換として、2項係数関数による母関数が定義され、
分布に対して、ベキ級数が対応する。
分布への操作と、Amice変換によるべき級数の対応がリスト化される。