2010年4月26日月曜日

無限種数のリーマン面

Hill作用素では、自然に無限種数のリーマン面が必要となり、

HILL'S SURFACES AND THEIR THETA FUNCTIONS
(http://www.ams.org/journals/bull/1978-84-06/S0002-9904-1978-14542-X/S0002-9904-1978-14542-X.pdf)
で、テータ関数が定義され、ヤコビ多様体とAJmapが定義されていた。

一方、
ポテンシャルの周期を1次元ではなく2次元として、実代数曲線の直積を得ようとすると、
E^{3}$ にはめこまれたトーラス上のDirac 作用素およびその複素Fermi 曲線
(http://www.kurims.kyoto-u.ac.jp/~kyodo/kokyuroku/contents/pdf/1527-6.pdf)
WILLMORE CONJECTURE AND INTEGRABLE SYSTEMS
(http://math01.sci.osaka-cu.ac.jp/~ohnita/paper/RIMS07(Kokyuroku).pdf)
という話が出てきて、
リーマン球面上のHiggs束のモジュライが関係してくる。

リーマン面について

Riemann面上のベクトル束に対し、その上の接続全体の空間を考え、シンプレクティック構造をいれる、
という話がある。
運動量写像は、曲率で与えられるので(シンプレクティック幾何学例3.11)、平坦接続のモジュライ、
すなわち基本群の表現のモジュライという有限次元の空間が現れる。

複素代数曲線として、モジュライのコホモロジーの計算について書かれているのが、
Yang-Mills theory and Tamagawa numbers
(http://arxiv.org/abs/0801.4733)
で、代数群の玉河数がどう関連しているのか興味があるところ。

一方、素朴な疑問として、
基本群の表現というのは、非常に基礎体に依存している。
これが、p進であれば、topologicalな基本群とetale基本群の間にあるtempered基本群について、
モジュライを見るべきなのだろうが、
そうすると、接続、すなわちCrystalについて、モジュライを見る必要がある。
そもそも、シンプレクティック簡約の技法がp進で存在するとも思えないので、
平坦接続のモジュライ、とは何を指すのだろうか?
p進でYang-Millsのような構成は存在するのだろうか?

また、
複素数体Cにおいては、Rがガロア不変な部分体として入るが、
これはP1(C)⊃P1(R)とも思える。
一変数佐藤超関数は、
A-module: 関数の層
B-module: 相対コホモロジーとして定義される超関数の層
C-module: マイクロ関数の層
として、正則関数の言葉で定義された。(佐藤超関数論入門(森本))

p進体上で、同様の話をするのに必要な関数解析は、
Nonarchimedean Functional Analysis
(http://www.math.mcgill.ca/bcais/Berkovich/Schneider-Nonarchimedean_functional_analysis.pdf)
で準備されている。
http://swc.math.arizona.edu/aws/07/DasguptaTeitelbaumNotesMar10.pdf
に、
A-module, B-moduleに相当する
Morita dality
が記述されている。
これは、de-ShalitのreviewでColeman積分とみることができ、Berkovich空間上の積分とみなせるから、
では、C-moduleはどうなるの?
という疑問がわく。

2010年4月8日木曜日

Ahlfors-Weillの定理

* Ahlfors-Weillの定理(タイヒミュラー空間論 第6章定理6.9)
では、
与えられた正則2次微分φに対して、
シュワルツ微分{f,z}=φ(z)を満たすfを構成するのに、
-φ/2をポテンシャルとするSturm-Liouville作用素
L=-∂^2+u , u=-φ/2
を用いている。

Lη=0
の独立な解η1,η2より、f=η2/η1
とおけば、{f,z}=φを満たす。

"Geometry of 2d topological field theories"
(http://arxiv.org/abs/hep-th/9407018)
AppendixC remarkC.1にあるように、
1次元複素多様体上で、
正則アファイン接続から曲率をとることにより射影接続への写像が存在し、
(いわゆるMiura変換)
コンパクト双曲型リーマン面の一意化問題の場合は、
flatな座標<->一意化の座標であって、それをzとすると、
u(z)が、射影接続f(z)に対応する曲率となり、
これが正則2次微分に対応する。
また、射影接続f(z)の
PGL(2)におけるモノドロミー表現が元のリーマン面の基本群に対応する。


* sl(2)-oper
"opers"
(http://arxiv.org/abs/math/0501398)
では、
sl(2)-operを用いて上記の話を解釈している。
2.6,2.7。

* higher Teichmuller theory
"Moduli spaces of local systems and higher Teichmuller theory"
(http://arxiv.org/abs/math/0311149)
においては、
G=PGL(2)をより一般化して、centerがtrivialな半単純代数群Gに対して、
基本群のGへの(positive)表現のmoduliによりhigher Teichmuller space
を定義している。

* 固有束(indigenous bundle)
"通常p 進曲線の理論について"
(http://www.kurims.kyoto-u.ac.jp/~motizuki/Tsuujou%20p-shin%20kyokusen%20no%20riron%20(1997nen%20izen).pdf)
をみると、
p進体上の代数曲線の"一意化"を射影接続に付随するP1バンドル、
固有束の話に置き換えて議論している。
固有束は代数的に定義できてしまうため、複素数体上であった擬等角写像の話がでてこない。

* p進周期
"Period mappings and differential equations. From $\bf C$ to $\bf C_p$"
(http://arxiv.org/abs/math/0203194)
では、p進一意化を持つMumford curveの場合に
ⅢProp4.3.3(複素数体上),Prop4.6.3(p進体上)
で一意化に対応する微分方程式を与えている。
いずれにせよ、複素数体上と異なる点は、
周期を扱うためには、周期環を持ち出さないと足りない、
ということ。Ⅰ4.2-4.5。