2013年1月25日金曜日

特性類

* 特性類
幾何的な対象Xの上部構造に対して、
Xの幾何的な情報を対応させたい。
とくにXに対してコホモロジー群が定義できる場合には、
幾何的な情報としてコホモロジーの元をとることが考えられる。
これは、Xの上部構造に対してベクトル空間の元を対応させることになるが、
それが関手的であることを要請したい。

すなわち、
幾何的な対象からなる圏C
が存在して、Cの対象Xに対してベクトル空間H(X)が関手的に対応する状況で、
X上の圏Vの対象Fに対して、H(X)の元c(F)を対応させる、
という状況。

このような状況として現れるのが、
1.
C:実可微分多様体の圏、X:実可微分多様体
V:X上のベクトル束の圏、E:X上のベクトル束
c:Euler類、Stiefel-Whitney類、Chern類
2.
C:代数多様体の圏、X:代数多様体
V:X上のベクトル束の圏、E:X上のベクトル束
c:Chern類
3.
C:実解析的多様体の圏、X:実解析的多様体
V:X上の可構層の圏、F:X上の可構層
c:特性類、特性Cycle
といった場合がある。

1.については、
公理系として、
- ベクトル束からコホモロジーの元への対応
- 自然性
- 積公式
- 非自明性
- Euler類による最高次数の表示
により、
向き付けを考慮しない場合にStiefel-Whitney類、
複素ベクトル束の場合(向き付け可能)に限定してChern類、
が定まる。
存在には、
ベクトル束の基本コホモロジー類とThom同型、
分類空間の存在とそのコホモロジー環の具体的な表示、
が使用される。

2.については、法束(管状近傍)は部分多様体がなめらかでない場合はそのままでは使用できないので、
normal coneを用いる。
E:X上のベクトル束に対して、自明束との直和の射影化P(E⊕1)は、
P(E)とEの非交和になる。
よって帰納法によりE,P(E)のChow群をXのChow群で表すことができる。

Yの部分多様体Xに対して、
C_{X}(Y): YのXに沿ったblow-upのexceptional divisorに付随するcone
としてnormal coneを定義する。
Y*P^{1}のX*{∞}でのblow-upは、P-{1]へ射影して、
Y*A^{1}と、
Y*{∞}でのfiberの和になる。
fiberは、
P(C⊕1)と
YのXにおけるblow-upのP(C)での貼り合わせになっている。
そこで、
Gysin-mapとexcision exact sequenceにより
specialization mapを構成する。


Topics in algebraic geometry: Introduction to intersection theory in algebraic geometry
http://math.stanford.edu/~vakil/245/

INTRODUCTION TO CHARACTERISTIC CLASSES AND INDEX THEORY
http://www.analg.ulg.ac.be/jps/rec/icc.pdf

3.については、
Sheaves on Manifolds(Kashiwara-Schapira)
で、
normal coneをパラメータを実直線として、さらに正の実数に制限する形で、
任意の部分集合に対して定義している。
(Def4.1.1)
X上の層、もしくは有界複体にquasi-isoな導来圏の対象Fに対して、
Xの部分多様体Mへのspecialization
ν_{M}(F)が定義され、
supp(ν_{M}(F))⊂supp(F)
を満たす。(Th4.2.3)
ν_{M}(F)のFourier-Sato変換として、microlocalization
μ_{M}(F)が定まる。(Def4.3.1)
specialization、microlocalizationは複素多様体のもとでは、
nearby-cycle,vanishing-cycleに対応する。(Prop8.6.3)

Fのmicrosupport SS(F)が定義される。(Def5.1.2)
microsupportを見ることにより、
大域切断の部分多様体への制限での不変性などを議論することができるようになる。(Prop5.2.1)
また、microsupportに対する仮定から、morse理論のような
パラメータに対して不変な性質を定式化できる。(Prop5.4.17)

X上の可構層Fに対して、characterinstic class(Euler類)
C(F)を定義するには、
トレース射と対角線埋め込みを用いる。(Def9.1.2)
写像f:X->Yに対する振る舞いは、
support上properの仮定のもとで順像に関してはTh9.1.7。
C(F)はX上の幾何的な情報だが、
Xの余接束上の幾何的な情報、Lagrangianとして、
characteristic cycle CC(F)が定義される。(Def9.4.1)
support上properの仮定のもとで順像に関してはProp9.4.2、
non-characteristicの仮定のもとで逆像に関してはProp9.4.3
で関手性が示されている。
C(F)とCC(F)の関係は、Prop9.5.1。


では、標数pの場合にはどうなるのだろうか?
Holonomic D-modules and positive characteristic
http://arxiv.org/pdf/1010.2908v1

Wild Ramification and the Cotangent Bundle
http://arxiv.org/abs/1301.4632v1