2016年8月31日水曜日

サマースクール復習(2016) その2

[H]の講義では、Lagrangianを用いて、
Non-Linear sigma modelとLandau-Ginzburg modelを導出していた。
Landau-Ginzburg modelにおいてA-twistに対応するtopological string theoryがFJRW theoryである、という記述があった。(2.6)

FJRW(Fan-Jarvis-Ruan-Witten) thoery

[FJ]§1.2にある、CY-LG対応と、CY-Mirror symmetry、LG Mirror symmetryにより、
Calabi-Yau Amodel/B-model
Landau-Ginzburg Amodel/B-model
の間に対応が付くことが予想されている。

FJRW theoryは、

  • LG A-modelに位置するべきCohomological Field theory(§2 Def2.2)
  • 状態空間はrelative cohomologyで定義され,degreeはageによるshiftがある(Def3.10, Def3.11)
  • 状態空間はsectorの直和であり、broad sectorとnarrow sectorに別れる(Rem3.12)
  • pairingが存在する(§3.3)
  • stableW,G-curveのmoduli stack(Def3.21)に対して、evaluation mapとvirtual fundamental classが定義できて、Gromov-Witten theoryの類似のCohFTが定義できる(Th3.27)

ミラー対称性に関わる予想としては、

  • Frobenious多様体の構造が定義されると予想されている(§4.1)
  • Witten予想(=Kontsevichの定理)の類似で、integrable hierarchiesのタウ関数が存在すると予想されている(§4.2)(ADEの場合は、[FJR2]§6)
  • Givental’s I-functionとJ-functionの対応がつくと予想されている(§4.3)

がある。

GLSM

[H]では、としてアーベル群のみが例として挙げられていたが、
任意の簡約群をゲージ群として理論が展開できる。

quasi-homogeneous polinomialに対して、
FJRWではWitten方程式が定義されたが、
GLSMでは、さらにmoment mapの情報を加えた、Gauged Witten方程式が定義される。
virtual-cycleが定義できて、そこから相関関数が定義できる。([FJR]Th1.1.1)

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2016年8月28日日曜日

サマースクール復習(2016) その1

講義内容

ミラー対称性講義

物理の側から見た、ミラー対称性の基礎的部分の解説。
Komaba Lectures on Mirror Symmetry

  • 2d (2,2) Supersyymetric、chiral ringの説明
  • T-dualityの説明
  • Lagrangianを用いたGLSM(Gauged Linear Sigma Models)の説明とclassical vacua、phase、およびQuantum effectsの説明
  • 例を用いたCY/LG対応とOrlovの導来圏の半直交分解の関連の説明

カラビ・ヤウ多様体の幾何学とミラー対称性

90年代における3次元カラビ・ヤウ多様体(3CY)の幾何学の観点からの基礎的部分の解説。

  • トーラスに対して、Fourier変換、Poisson総和公式を用いたT-dualityの解説
  • トーラスに対する、Narainモジュライ空間の説明
  • 3CYに対するBogomolov-Tial-Todorovの定理、複素構造の変形空間の定義
  • 3CYに対する複素化されたケーラー錐、chiral ring の定義、Hard Lefshetz定理
  • anti-chral ring の定義、LCSL(Large complex structure limit)の解説、B-structureの存在の妥当性の説明
  • 古典ミラー対称性予想の説明
  • 周期領域の説明、楕円曲線、K3曲面、3CYにおける周期領域の自然な座標の説明
  • 3CYにおけるミラー対の構成法の説明Determinantal Quintics and Mirror Symmetry of Reye Congruences

超曲面特異点のミラー対称性と関連する話題

可逆多項式に対して、位相的ミラー対称性、ホモロジー的ミラー対称性、環構造の具体的構成の話。

  • コンパクトケーラー多様体と超曲面特異点は似ている
  • 代数的背景を持つ三角圏とシンプレクティック幾何学的背景を持つ三角圏の同値
  • 半直交分解は収縮に対応し、ミラー対称性のもとで変形に対応す、ということからカスプ多項式を導出する
  • Dolgachev数とGabrielov数を入れ替える奇妙な双対性は奇妙ではない
  • 群同変の場合のJacobi環の積構造は、一般論ではなく手で入れる。
  • Hochshild cohomologyの積構造は、canonicalに対応付けられない

Floer Theory and Mirror Symmetry

深谷圏はありまーす、という話。

  • 普遍Novikov環(体)構造の定義
  • 有限次元のMorse理論の場合の境界写像の説明
  • 安定写像のモジュライ空間の説明
  • Weak Maurer-Cartan equation、potential function、obstructionがない場合のFloer cohomologyの説明
  • バルク変形、閉開写像、開閉写像の説明
  • 係数の場合のtorsionの現れ方の説明
  • トーリック(Fano)多様体の場合のポテンシャルの臨界点の計算、射影的トーリック多様体の場合の一般論
  • 深谷圏の定義、Hochshild cohomologyとQuantum cohomology間の標準射の説明、Trace mapの定義
  • Cardy relationに基づくgereration criterionに関する定理の証明の概略の説明

疑問点

  • 感覚的には、Fontaineの周期環とNovikov環は、変形を環の拡大により制御するという意味で似ている。面積と分岐がともに実数で測る量であることも似ている。周期環はHodge-Tate代数をGalois群の作用に対して自然にするために完備化やdivided powerを用いた複数のversionがあるが、Novikov環は、更に何らかの対称性に対してより複雑な環が必要になることはないのか?
  • 一般ルート系に対応する幾何的対象は、講義ではまだ見つかっていない、とのことだったが、Flag varietyやSpringer resolutionのような構成ができないか気になる。また、超曲面特異点の議論を、数論的曲面で、同様に展開できるか?(楕円曲面の場合にはNeronモデルがあった。)もし展開できれば、可逆多項式のパラメータの一つを素数に変えて、変数ごとに還元を考える、ということもできるかも。幾何という点では、ADEの場合には、affine Weyl群、hereditary algebra、重み付き射影曲線、が簡明に関係していたが、Quiverがwildにある場合は表現のmoduliが大きいので、重み付き射影曲線の幾何的情報だけでは対応する情報が少なすぎるはず。

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