2015年2月7日土曜日

Hodge構造に関する疑問


Algebraic de Rham cohomology

algebraic de Rham cohomologyは、 
de Rham複体のhyper cohomogyとして定義される。 
従って、cohomological dimensionの2倍の次元まで消えない可能性がある。 
定義から、 
Hodge-de Rham spectral sequence 
が存在するが、(smooth properのもと)複素数体上では
  • Hodge-de Rham spectral sequenceのE1退化
  • betti cohomologyとの係数拡大による同型
  • Serre duality
  • 複素共役(無限素点でのFrobenius作用)によるHodge symmetry
がある。

conjugate spectral sequence

Hodge-de Rham spectral sequenceのE1退化を見る方法として、 
Deligne-Illusieの方法があるが、そこで使用される標数pの議論は、 
Cartier isomorphismを基礎とするものだった。 
E1退化の場合に 
conjugate spectral sequenceと呼ばれるE2退化のspectral sequenceが定まる。([Wed]Cor1.6)

Hodge構造を局所から大局へ

Hodge filtration自体は代数的に定義されるが、 
filtrationの情報を幾何的に理解しようとすると、 
比較同型定理が必要になる。 
そのためには、微分形式を積分することになり、
  • 超越的な周期を扱う良い環構造
  • 局所体上での(何らかの意味での)解析
が必要になる。
複素数体上では、 
複素1次元が実2次元というHodge-filtrationと適合する次元の対応があり、 
実数上でのより柔らかい関数空間の設定で解析を行うことが出来た。 
特に、調和形式による形式性があった。
標数pの剰余体を持つ場合、等標数と混標数とで様子が異なる。 
[Har]1.2 The Two Roles of p 
にあるように、数体上にF1が存在しないために、 
良い積が定義されない、 
ということと関係する(と思う)。
そのため、 
1. 等標数のHodge構造と混標数のHodge構造を結びつける 
2. 局所体上で定義されるHodge構造を大局体の上に拡張する 
という2つのことが、Hodge構造の数論的側面を見るためには必要になる。
1.については、[Sch]でPerfectoidとdiamondの概念により、 
混標数の場合にlocal shtukaを定義している。 
2.については、[Moc1],[Moc2]において、Hodge Arakelov theoryが展開され、
  • 複素数と実数との関係を、(非線形な)crystalで置き換える
  • F1の代わりに楕円曲線の等分点の普遍拡大への持ち上げを利用する
  • 底空間として楕円曲線のmoduliを使用する
  • etale theta functionにより比較同型を行う
という形で、Hodge構造の大局化を試みている。 
(ただし、Gaussian poleの解消のために、底空間はHodge Theaterとして抽象化される必要があり、Hodge構造の大局化はIUTTとして実現(?)される。)
以上のことから、
  • local shtukaに対してperiodに伴うタウ関数を定義できないか?
  • [Moc3]における等標数でのHodge Arakelovの議論をperfectoidで置き換える事ができないか?
  • local shtukaのタウ関数と、標数pでの楕円関数のテータ関数を自然に結びつけることが出来ないか?
  • 混標数におけるHodge Arakelovの議論をdiamondの言葉で置き換えられないか?特に、数論的基本群に対する対応を、torsorとして幾何的基本群への対応に持ちあげられないか?
といった疑問が生じる。
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