2014年3月26日水曜日

Deligne-Illusie


metricとFrobenius

[Mzk96]のIntroductionで、 
“Kahler metrics in the complex case correspond to Frobenius actions in the p-adic case.” 
という記述がある。
Riemann面においてPoisson方程式を解く問題は、 
計量を与えると、Green関数が局所的に具体的に記述でき、 
それを用いて解を構成することが出来る。 
[Mzk96]Ch4 Def4.18でadmissible Frobenius liftingをp進Green関数として定義している。 
この定義は直後のRemarkにあるように、 
Bruhat-Tits treeとしてp進上半平面を見た場合と、 
楕円曲線のmoduliの点としての距離がcyclic isogenyで測ることが出来ることに対応した名称。
(Q:計量からブラウン運動が定義され、Poisson方程式の解がその期待値として記述できる。 
そのp進類似として、Frobenius liftingを期待値として表すような概念は存在するだろうか? 
もし存在すれば、(ブラウン運動は直接現れないものの)Riemann面上の共形場理論としての自由fermion場の場合の類似として、 
それを用いて、自由場の量子化に対応するものの記述ができるだろうか?)
(Q:さらに計量とFrobenius作用の対応の類似として、 
トロピカル幾何に縮小する部分とFrobenius作用素で不変な部分が対応する、 
と捉えられるだろうか? )

W2(k)への持ち上げとHodge-de Rham degeneration

複素多様体のHodge理論において、Kahler性からHodge-de Rham degenerationが出るが、 
その証明の一つとして、 
Kahler計量から定まるL2の範囲での調和形式の分解により出す方法がある。 
しかし、計量の代わりにFrobenius作用素を用いて、Hodge-de Rham degenerationを導出する、 
Deligne-Illusieの方法がある。 
([BDLP]のFrobenius and Hodge Degeneration)
そこではFrobenius作用素を用いて、 
formalなcomplexに話を移すことが重要だった。 
そして、標数pが次元より大きい、という仮定から、 
実質的にdivided powerを用いることなく、 
標数0での1-jetからのAtiyah classの構成と同様の構成を行うことが出来た。

Azumaya schemeを用いた言い換え

そこで、formalityをより幾何的な言葉に翻訳できれば嬉しい。 
[ACH13]では、Azumaya spaceを経由して、 
derived intersectionのformalityと1次の無限小持ち上げの同値性を示している。

2014年3月11日火曜日

PGL(2)-oper


AGT的な妄想

数体は3次元的で、局所体は2次元的、局所体上の曲線は4次元的、 
と解釈すると、 
6=4+2=3+3の分解から、 
数体を与えると、そこから何らかの形で6次元的な対応物が構成でき、 
局所体上の構造と局所体上1次元の代数構造に何らかの関係が付く、 
という形での妄想が欲しくなる。 
有限体上の曲線と曲面、という形だと、複素数体上の類似から、
  • 頂点代数
  • W代数
  • Yangian
  • クラスター代数
  • 標準座標
に対応するものがあるのか? 
ということが真っ先に疑問になる。

PGL(2)-oper

[F2007]の3.5.7では、C上の形式的円盤における 
Projective connectionおよびSchwarz微分が定義されていた。
4.1では、 
Projective structuresとProjective connectionの対応(Prop4.1.1) 
が記述されている。 
さらに4.1.3で、 
flat-PGL2(C)束かつ、 
同伴するP1束が局所的に良いパラメータがとれて微分が消えない性質を持つもの、 
すなわち、PGL(2)-operの定義があり、 
Borel部分群への還元、 
還元とP1上の零切断の対応、 
Projective connectionとの対応、が説明されている。

Virasoro代数とmoduli

[F2000]Th3.3で単純Lie代数からBRST構成によりW代数が導出される。 
4.3で共形頂点代数の形式的円盤上の座標の依存性がProjective connectionとなることが記述されている。 
6.1でHarish-Chandra pairを用いた局所化、 
6.2でそれを用いて代数曲線のmoduliにおける局所化が記述されている。 
6.4では、曲線の変形、直線束の変形、の局所変形空間の頂点代数による記述があり、 
6.5 Th6.3でcentral chargeがcritical levelの場合に、 
頂点代数の中心がoper上の関数環と対応することが記述されている。 
(ただし、これらの記述は、代数的で、 
演算子積展開のように積分を実行する箇所以外は、 
表面上は複素数体の性質は殆ど何も用いていない。 
特に実構造が効いている箇所は殆ど無い。 
これは共形場理論が正則と反正則に分けて議論が出来る場合には、 
実構造を意識しなくてすむため、と思われる。)

crystal, p-curvature

[Oss]では、§2でGrothendieck流のconnectionの説明、 
§3でp-curvatureの説明をしている。

p進Teichmuller空間

[Mzk96]では、 
双曲構造を持つRiemann面のp進類似の議論をしている。
  • Frobenius作用における不変部分と整構造の交わりが複素数体上では1点になる
  • それが標準的なsl(2)-operあるいはindigenous bundleになる
  • 対応するRiemann面の基本群のPGL2(R)における表現に対応する
という形で議論を整理し、 
- 標数pの体上でindigenous bundleの局所理論と存在条件 
- 標数0への持ち上げの議論 
- ordinary locusの場合の標準持ち上げの理論 
を展開している。 
複素数体上との相違点は、Prop3.13におけるuniformization numberが1より大きいという部分。