2010年1月26日火曜日

Teichmuller curve

Trees and the dynamics of polynomials
http://www.math.harvard.edu/~ctm/papers/home/text/papers/trees/trees.pdf
をみると、
複素解析的にtreeと有理関数から生じる力学系を関連付けることができるようだ。

また、複素解析的には、
Teichmuller curveという概念がある。
リーマン面からリーマン面のmoduliへの写像がlocal isometryという条件によって定義されるが、
Rigidity of Teichm¨uller curves
(http://www.math.harvard.edu/~ctm/papers/home/text/papers/rigidity/rigidity.pdf)
によるとTeichmuller curveは変形を持たず、数体上で定義される。
逆に、
Every curve is a Teichmuller curve
(http://arxiv.org/abs/0909.1851)
によると、
数体上定義される代数曲線は、Teichmuller curveと双有理同値になる。
こちらは、P1-{0,1,∞}上の分岐被覆として実現できるというBelyiの定理を用いている。

数体上の代数曲線、という概念が解析的に特徴付けられたように見えるが、
これは、何らかの変分法として特徴付けられるだろうか?

Teichmuller curveをさらにJacobianをとって、A_gへの写像とみなすと像がどうなるか?
ということに関して、
Variations of Hodge structures of a Teichmuller curve
(http://arxiv.org/abs/math/0401290)
があった。
Higgsバンドルの言葉で特徴付けている。
特徴づけの中にreal multiplicationが現れるので、
志村曲線であるTeichmuller curveはどれだけあるか?
と気になるが、
それは、
Shimura- and Teichmueller curves
(http://arxiv.org/abs/math/0501333)
で極めて少数であることが示されている。

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三角群を絡めたサーベイとして
Teichmuller spaces, triangle groups and Grothendieck dessins
http://www.mth.kcl.ac.uk/staff/wj_harvey/HstrasL.pdf

2010年1月23日土曜日

スペクトル曲線と高さ関数

Canonical height and logarithmic equidistribution on superelliptic curves
http://arxiv.org/abs/0911.1271
では、
hyperelliptic curve(およびその拡張)の場合に、
Theorem A: Neron-Tate heightはGreen関数のlocal積分の和で表せる
Theorem B: Aの積分は、ヤコビアン多様体の等分点での値を用いて、近似できる
ということが示されていた。

TheoremAの根拠となるのは、アラケロフ幾何でのpairingとarithmetic Hodge index theoremで、
Admissible pairing on a curve
(http://www.math.columbia.edu/~szhang/papers/apc.pdf)
が元になっている。

TheoremBは、Krichever mapを使って佐藤グラスマン多様体にヤコビアンを埋め込む手法とほぼ同一の方法で、テータ因子の引き戻しの局所定義イデアルを具体的に書き下し、等分点に関する多項式分の増大度を
打ち消し、
さらに、Faltingsによるdiophantine apploximationを用いて、積分への近似における評価をしている。

TheoremBのほうは、射影直線の分岐被覆として曲線を実現、すなわちスペクトル曲線であれば、
証明が通用すると思われる。

リーマン面上の自由フェルミオン場についてのKNTYの論文では、アラケロフ幾何と自由フェルミオン場の類似が言及されていたが、
Berkovich空間を通して、よりいっそうつながりが認識される。
むしろ、あいまいな疑問として、
- 共形普遍性とは何か?
- 数論性はくりこみの不動点をあたえるのか?
というものが残る。

2010年1月6日水曜日

グラフの退化

曲線のモジュライのコンパクト化に関係して、
- グラフの一つの辺が退化していくことを、Mumford curveの退化として記述できるだろうか?
という疑問がわく。

安直に考えると、
Discrete groups, Mumford curves and Theta functions
(http://archive.numdam.org/ARCHIVE/AFST/AFST_1992_6_1_3/AFST_1992_6_1_3_399_0/AFST_1992_6_1_3_399_0.pdf)
にあるtheta関数をΓから乗法群へのHomをとるだけではなくて、
Γ+から体へ0も許してmonoidのHomをとって、
log構造を考えればよさそうだ、
と想像できる。

では、曲線の退化をlog構造で記述するためのわかりやすい説明はどこかにないだろうか?
まずは、
Logarithmic geometry
(http://folk.uio.no/rognes/yff/ogus.pdf)
で勉強してみることにする。

もしこれができたら、対応してBerkovich空間が構成できるかどうか?という問題が生じる。
また、
curve全体では面倒そうなので、超楕円曲線に限ってモジュライを考えるとすると、
periodの性質を見ないといけない。
"Schottky Groups and Mumford Curves"(Gerritzen & van der Put)p282
にWhittaker groupがtotally split hyper elliptic curveに対応する
という記述があり、
Universal periods of hyperelliptic curves and their applications
(http://www.kurims.kyoto-u.ac.jp/~kyodo/kokyuroku/contents/pdf/1002-9.pdf)
に超楕円曲線の場合の退化が記述されているので、
これをみてみることにする。

また、
Tata lectureⅡ(Mumford)にあるThomae formulaを
EXPLICIT MUMFORD ISOMORPHISM FOR HYPERELLIPTIC. CURVES
(http://www.math.leidenuniv.nl/~rdejong/Mumford2.pdf)
により復習することにする。

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Log smooth deformation and moduli of log smooth curves
http://www.math.kyoto-u.ac.jp/~kato/Data/moduli.pdf
が参考になりそうだ。

Coverings in p-adic analytic geometry and log coverings I: Cospecialization of the (p')-tempered fundamental group for a family of curves
http://arxiv.org/abs/0909.2805
に、log退化を含めた曲線族の話があった。

2010年1月5日火曜日

Mumford curveと力学系

* binary treeに対応するMumford curve
genus2のMumford curve
ということになる。
この場合は、超楕円曲線であり、
- いつ、Mumford curveになるか
- special fibreのdual graphはなにか
については、
"Schottky Groups and Mumford curves"(Gerritzen&van der Put)5.3 p168の表にまとまっている。

* Symbol dynamicsに対応するMumford curve
binary treeに対応するcantor setは、
{0,1}をシンボルとする記号力学系
の軌道とみなせる。
これから、
g個のシンボルによる記号力学系が、c(x,y)によって定まっている、と考えると、
記号力学系のstableな極限がΓ+に対応して、
Mumford curveが対応する。

ここで、重要な点は、Mumford curveが対応すると、
定義体が定まり、有限次拡大の場合のvalue pointsの分岐の様子、
すなわちガロア作用が定まっていることである。

* period
special fibreの各辺の長さは、p冪になっている場合は、C_p上で実現できるが、
そうでない場合は、超越次元の高い体上でのみ、実現できる。
Mumford curveに対するMarcolliらの論文で非可換幾何がでてきたのは、
periodの数論性に関する点を、AF環などをみることにより、気にする必要がなかったからでは?
と推察する。
Tate curveの場合は、periodはj-invariantにより求まるが、
高種数の場合はテータ関数を用いて見ることになる。
- ガロア群のTate moduleへの作用による代数的なテータ関数をみる
- periodの数論性とテータ関数の性質の対応
といった点が気になる。

* 曲線のモジュライのなかでMumford curveが占める部分と一元体
任意のstable graphはMumford curveのspecial fibreとして実現できるので、
曲線のモジュライのなかでMumford curveが占める部分およびそのコンパクト化から、
極限集合の集合への対応が得られる。
このうち、metricに由来するものはpに依存するが、組み合わせ的な部分はp->1として、
一元体に持っていっても変化しないと予想される。
そのため、
一元体上での曲線のモジュライは興味ある対象である。
-Harer-Zagierの公式が一元体上で導けるかどうか?
という点が気になる。

* p進体の力学系との対応に関して
"The Arithmtic of Dynamical Systems"(Silverman)
の5.5にφ(z)=(z^2-z)/pによる力学系がでてきて、
これがQ_p上に制限したとき、{0,1}の記号力学系、すなわちbinary treeに対応する。
0,1が不動点なので、
binary treeに対応するMumford curveが{0,∞},{1,∞}を軸に持つ双曲的元で生成される群に対応する、
ということとmatchする。
この対応を理解すること、
さらに、
- 有理関数のモジュライから曲線のモジュライへの写像が存在するか?
というのは、興味ある問題になる。

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力学系との関係については、
Dynamique p-adique (d'après des exposés de Jean-Christophe Yoccoz)
http://arxiv.org/abs/0912.5413
が図が多く参考になりそう。

有理関数とクライン群については、
複素数体上においては、
Sullivan の辞書, Teichmuller spaces, そして中心予想
http://www.kurims.kyoto-u.ac.jp/~kyodo/kokyuroku/contents/pdf/0959-3.pdf
という形で関係が記述されていた。
PSL2(Q_p)における基本群の表現から、p進Teihimuller空間を作って、
複素数上の類似を考えることはできるだろうか?
あるいは、表現を考えるために、B_dRのようなp進周期環における表現を考える必要があるだろうか?