2009年12月29日火曜日

binary treeに対応するcantor setの対応

[1]Dirichlet forms and associated heat kernels on the Cantor set induced by random walks on trees
(http://www-an.acs.i.kyoto-u.ac.jp/~kigami/tree0.pdf)
[2]An introduction to Berkovich analytic spaces andnon-archimedean potential theory on curves
(http://math.arizona.edu/~swc/aws/07/BakerNotesMarch21.pdf)
について、関連することを記述する。
図を参照するために、
[3]Modular Index Invariants of Mumford Curves
(http://arxiv.org/abs/0905.3157)
も引用する。

[1]で記述されているCantor setをMartin boundaryにもつtree、
は、Mumford curveにおけるtreeとして解釈される。
K:p-adic field
P1:project line
Γ:g個の元γ_i(i=1,.,g)で生成されるShottky group
Γ+:γ_i(i=1,.,g)で生成されるモノイド
P1において、{0,1,∞}を固定する。
(reference pointΦを指定することに対応)

Λ_Γ:Γの極限集合⊆P1(K)
Λ_Γ+:Γ+の極限集合⊆P1(O_K)
ただし、γ_iは双曲元として、∞とP1(O_K)の元を固定点に持つようにとる。

[1]におけるΣがΛ_Γ+に対応するもので、
ΦのΓ+による軌道を結んで得られるtreeが[1]におけるTとなる。

Ω_Γ=P1-Λ_Γ,
X=Ω_Γ/Γ:Mumford curve coresponding to Γ
はP1のmetric d(x,y)からinduceされるmetric d(x,y)を持つ。
ri = d(Φ, γ_i(Φ))とすると、
これはspecial fibreの逆像がB(0,1)にどのように入るかを示す量であり、
0< ri <1となる。

例として[1]8.3-8.8におけるself-similar binary treeをとる。
[3]Figure7.におけるtreeのうち、a,bが正の方向を向いているものを取り出したものが、
対応する。
0< ri <1(i=1,2)より、[1]Th8.7の仮定は満たされている。
C(x,y)はMumford curveのmetricの逆を取ることに対応する。

* Dirichlet form
P1において、Berkovich空間として、
Laplacianが定義され、それに基づいて、Dirichlet formが定義できる。
(ただし、[2]におけるCPAもしくはBVDと関数空間はかなり狭く設定しておく。)
Laplacianは方向微分に対応しているから、d(x,y)=c(x,y)^(-1)と解釈して、
Tが正の方向のみを取り出していることに注意すると、
[1]p.3 Ε_w(f,f)の式が対応する。
また[1]におけるresistance metric R*はBerkovich空間としてのmetric dに対応し、
g_*(x,y)は、
[2](1.6.5) fundamental potential kernel relative to zに(第2,3項の補正がつくが)
対応する。
ここで、後者が3項からなるのは、P1におけるrational functionのdegreeが0でなければならないため、
Δ(f) = δ_y - δ_zと湧き出しと吸い込みを定式化に必要としているためである。
(Mumford curveXにおいては、automorphic functionがテータ関数を用いて具体的に構成できるために、直接g(y) = g_*(x,y)を構成できる、と思う)

* [1]におけるmeasure νの構成について
Λ_Γ+の位相の開基が、
Tの辺eに対してV(e)={eを通って極限に行く点}
により定まるため、積分は[3](7.33)と同様にして定義される。

2009年12月22日火曜日

乗法モノイド

* Witt環
個人的にWitt環について解りやすい説明は、
ChaiのCartier-Dieudonne theoryのnoteで、
その中では、
universal Witt vectorsのなすgroupはGmのformal completionにおけるformal curves全体、
という視点で説明がされている。
w(1-aT)+w(1-bT)=w((1-aT)(1-bT))
w(1-aT)*w(1-bT)=w(1-a*bT)
を満たすような環構造を求めると、(少々複雑な)積の定義式が出てきて、
p-partをみると、よく知られたWitt環の定義式となる。

* adele class group
QのBost-Connes systemは、Q/Zをmonoid Nで割る、という形で導出される。
adeleの言葉に直すと、adele環を(Q-{0})*unitで割る、という形になる。
idele群を割ればclass groupが出てくるが、adele環を割っているので、
幾何的にはnon-Hausdorfな状況となる。
嫌な点は0であって、これが特異点となっている。

* 乗法モノイド
Characteristic one, entropy and the absolute point
(http://arxiv.org/abs/0911.3537)
では、乗法モノイドを用いて、Mo-schemeを定義している。
また一元体上のWitt環をmax plus代数を用いて定義している。

* tropical幾何
tropical幾何を一元体上のWitt環の上の幾何、とみなすことにより、
有限グラフの幾何をspecial fibreとして、
tropical curveを一元体上のgeneric fibreと解釈できるはず。
ここで、Crystalline的な話ができると面白い。
また、cantor集合を一元体上の幾何に埋め込んで解釈できれば面白い。

2009年12月7日月曜日

振り返りその3

来年に向けて行って行きたい作業

* 志村曲線
Mumford曲線の具体例として、志村曲線がある。
志村曲線の利点は、
- 離散群が具体的にわかる
- ヘッケ環の作用がある
- 極限集合がわかりやすい
- 粗moduli空間としての解釈がある

そこで、
1. Consani-MarcolliのSpectral triplesとして、志村曲線を適用して具体例を見てみる
2. special fiberの双対グラフ構造からBakerの手法で定まるラプラシアンと、Berkovich解析空間としての志村曲線に対して、カントール集合で用いられた手法が適用可能かどうか見てみる
3. Bost-Connes系のGL(2)の場合の拡張として、志村曲線の場合のBost-Connes系の計算を見てみる
という方向で進めて行きたい。

志村曲線の上に、ランダムウォークとラプラシアンが定まり、それがヘッケ環の固有値と関係してくれると非常に嬉しい。
また、志村曲線の上のQFTが、その上のランダムウォークを用いて定式化できるようであれば、
なお嬉しい。

* Berkovich空間
- Berkovich空間は、標語的には、
stable objectにはnorm
semi-stable objectにはsemi-norm
が付加され、semi-normsの同値類の中にはmultiplicativeなものが入る。
そのため、空間を捉えるには、
bounded multiplicative semi-normsの全体を持ってくればよい、
というものだった。
完全不連結な空間から局所弧状連結なハウスドルフ空間を作る、
という点で、
スキームだけではなく、
カントール集合やそのほかのフラクタル集合に対して、
それをdenseに含む空間を構成できないだろうか?

- Berkovich空間における積分
GL(2)におけるp進上半平面では、ポアソン積分とヒルベルト変換の類似があり、
Morita dualityやBreil dualityによる超関数の記述が可能だった。
ところが、Berkovich空間における積分は、ちょっと厄介である。
原因の一つは、semi-normの値域が超越的な元を含みえて、次元が不連続に変動する。
この辺りの現象をBerkovichの本によって理解してみたい。

* p進微分方程式
CFTででてくる微分方程式や、イジング模型の等モノドロミー変形
などをp進で考えたい。
そのために、p進での微分方程式を理解する必要がある。
とくに、モノドロミーについて感覚をつかみたい。

振り返りその2

理解が足りていない部分

* 共形場理論
- GawedzkiのLectures on Conformal Field Theoryの内容を理解できていない
-- Feynman-Kacの公式に定式化
-- 摂動
- Renormalization Group flow
-- とくにtoy modelとしてConnes-Krimerの方法が適用できる部分があるかどうか

* SLE
- 離散リーマン面
- 有限要素法によるラプラシアンの固有値の計算方法と誤差評価
- CLE

* C*環
- Cuntz環、AF環の具体例

* 非可換幾何
- K群、特性類の概念把握
- local index formura

* Berkovich空間
- not goodなanalytic spaceの例

振り返り

今年勉強した内容を振り返る。

項目としては、以下の通り。

* 共形場理論
- bc系
- ボゾン-フェルミオン対応
- KNTYによるリーマン面上のフェルミオン場の幾何学的構成
- Virasoro代数の表現とミニマル模型

* 可積分系
- 佐藤グラスマン多様体
- Kricheverマップ
- KP階層
- Mumfordによる超楕円曲線のヤコビアン多様体の構成
- 戸田模型とGriffithsによる代数幾何的取り扱い
- Eynard-Orintin

- DubrovinのFrobenius構造
- Riemann-Hilbert対応
- 特殊な場合のSchlessinger方程式におけるテータ関数を用いた具体的な解の表示

* SLE
- Friedrichの総説
- 普遍タイヒミュラー空間から佐藤グラスマン多様体への写像
- univalent関数とWitt代数の関係

* Bost-Connes系
- Qの場合にアデールクラス群としてのBost-Connes系の理解
- Qの場合のKMS-state

* グラフ
- グラフから定義されるCuntz-Krieger環とそのK群
- グラフの伊原ゼータ関数の定義

* Berkovich空間
- bounded multipricative semi-normによる空間の構成
- 有理整数環Zに対するBerkovich空間
- 射影直線およびp進上半平面の木構造によるreduction
- Bakerによるmetrized graphにおけるラプラシアンの定義
- Mumford curveにおけるSpectral tripleの構成
- カントール集合と木の対応

* p進
- Witt環のfunctorとしての定義とCartier duality
- p進周期環 B_dR
- Tate curveの周期