2011年9月19日月曜日

サマースクール復習その4

* 幾何学的Langlands対応とゲージ理論
Gauge Theory and Langlands Duality
http://arxiv.org/abs/0906.2747
では、幾何学的Langlands対応でLanglands dualが現れる状況、
すなわち、G^{L}-局所系(Lは左側につく)の導来圏とG-束のmoduli上のD-加群の導来圏
の対応、
の状況と、
4次元ゲージ理論の第一近似として、4次元空間が\sigma*Xと二つのRiemann面の積で書ける場合の、
S-dualityをSYZ対応によるT-dualityへの還元、
の状況、
が類似であることを説明している。
これらは不分岐表現についてであるが、分岐についても考慮すると、
自然にendoscopyがでてくる。

Global topology of the Hitchin system
http://arxiv.org/abs/1102.1717
は、Hitchin fibrationとして現れる空間のcohomologyのサーベイ。

* curveの量子化
Quantization via Mirror Symmetry
http://arxiv.org/abs/1011.2218
では、ミラー対称性を通して、
量子化をB-model側の代数的にわかり易い言葉で記述しようとしている。
A-polynomial, B-model, and Quantization
http://arxiv.org/abs/1108.0002
では、
curve(trigonometric多項式で定義される代数曲線)の量子化を定義し、
その分配関数を行列積分の言葉(1.12)で書き下そうとしている。
興味深いのは、このsettingで量子化可能かどうかが、
(2.51)において、
その代数曲線の代数関数体について、
最初のA-polynomialの座標のペアが、
MilnorのK2群の元に移してtorsionであるかどうか?
というかたちで判定がされている点。
代数関数体のMilnorのK2の再考にも繋がるだろうし、
トロピカル曲線に落としての判定も面白そうだ。

* affine Crystalの幾何的実現
UHLENBECK SPACES VIA AFFINE LIE ALGEBRAS
http://arxiv.org/pdf/math/0301176
では、instantonのmoduliのコンパクト化の代数化として、
Uhlenbeck spaceを定義し、
その性質を利用して、Kashiwara crystalを
Crystals via quasi-maps’ spaces
で定義している。
quasi-mapの概念は、bundle mapを連接層のmapに緩めて、
cokernelにfinite lengthの層を許す、
というもの。

INSTANTON COUNTING VIA AFFINE LIE ALGEBRAS II: FROM WHITTAKER VECTORS TO THE SEIBERG-WITTEN PREPOTENTIAL
http://arxiv.org/abs/math/0409441
でprepotentialのinstanton partを計算している。

2011年9月12日月曜日

サマースクール復習その3

* Riemann面上のスピン構造
指数定理(古田)の§4.2,4.3ではRiemann面上のスピン構造を指数の局所化の例として導いている。
指数と結びつけている原論文は、
Riemann surfaces and spin structures
http://archive.numdam.org/ARCHIVE/ASENS/ASENS_1971_4_4_1/ASENS_1971_4_4_1_47_0/ASENS_1971_4_4_1_47_0.pdf
そこで、グラフに落とした骨格においてスピン構造がどうなるか?
ということが気になるが、それについて
Dimers on surface graphs and spin structures. I
http://arxiv.org/abs/math-ph/0608070
Dimers on surface graphs and spin structures. II
http://arxiv.org/abs/0704.0273
がある。
Surface graphsをdessin d'enfantからくるものとして数体上の代数曲線をとり、
その(semi)stable modelの退化をみる、という観点で眺めたい。
気になるのは、このdimer graphの上に構成されたQFTであるが、
自由フェルミオン場としてみたとき、指数定理の背後にある超対称性を取り出して局所化できるだろうか?

* アファイン量子群と楕円曲線
GEOMETRY OF THE ANALYTIC LOOP GROUP
http://arxiv.org/abs/0812.3540
では1の冪根に特化した量子群の表現と楕円曲線上のバンドルを関連づけている。
このあたりの背後にあるのは、もともと、量子群の結晶基底をRingel代数と関連づけて表そうとした時に、
代数曲線の連接層の導来圏から適当なt構造の元でアーベル圏を取り出す、その仕方から三角構造がでてくる、
というものがある。
Eisenstein series and quantum affine algebras
(http://arxiv.org/abs/alg-geom/9604018)
上記論文では例として射影直線とsl2^を関連づけているが、
これはKronecker moduleのアーベル圏と射影直線の連接層のなすアーベル圏は、
導来圏が同値という性質を持つ、
ということから説明される。
そこで、話をA_{n}^{1}型に拡張するのはweighted projective lineをとることになるが、
一方で、話がうまく行く理由は、次元が1で双対性を持つ、
ということであるから、(双対性はSerre dualityまたはAuslander Reitenの意味でのalmost split sequenceをみる)
楕円曲線の連接層で話をみたくなる。
すでに、Atiyahによって楕円曲線上の(安定)ベクトル束は分類され、moduliも比較的用意に記述できるので、
Ringel代数の生成元と関係式は記述できる。
そのDrinfeld doubleを取ってどのような代数があり、その上の表現がどう応用できるか?
ということが興味の主眼になる。
Heisenberg doubles and derived categories
http://arxiv.org/abs/q-alg/9701009
にdoubleの取り方が記述されていて、
楕円曲線の場合は、
The elliptic Hall algebra, Cherednick Hecke algebras and Macdonald polynomials
http://arxiv.org/abs/0802.4001
に代数の記述があり、sub-algebraとしてCherednick代数を含んでいることが示されている。
さらに重要なこととして、
The elliptic Hall algebra and the equivariant K-theory of the Hilbert scheme of $\mathbb{A}^2$
http://arxiv.org/abs/0905.2555
でアファイン平面のHilbert schemeと関係がつけられている。