2011年1月16日日曜日

直線束の大域切断から得られる確率変数の大偏差原理

LARGE DEVIATIONS OF EMPIRICAL ZERO POINT MEASURES ON RIEMANN SURFACES, I: g = 0
(http://arxiv.org/abs/0904.4271)
Large deviations of empirical measures of zeros on Riemann surfaces
(http://arxiv.org/abs/1101.0417)
に、リーマン面上の直線束をとり、その大域切断から得られる
RandomPolynomial
について、零点の位置からなる測度についての大偏差原理
が示されていた。
種数0の場合は、多項式空間にガウス分布からなる基底を入れて話をすることで、
ほとんどユニタリー群に対するランダム行列の場合の、
n-Fekete setのcounting measureが平衡測度に収束する場合の議論
(ex. Orthogonal Polynomials and Random Matrices(Deift)の6章の議論)
と同様の話を行える。

種数一般の場合は、零点をdiviserに置き換えて、Abel-Jacobiの定理によりリーマン面の対称積上に引き戻した上で、
種数0の場合に座標を用いて書かれていた箇所をPrime formsで書き直すことにより、
大偏差原理のレート関数を書き表すことができる。

Heights and measures on analytic spaces. A survey of recent results, and some remarks
(http://arxiv.org/abs/1001.2517)
では、計量付き直線束の議論をp進体上でも行っているので、
ガウス分布に対応するものが何か?
といった話を考えるのも興味深い。

2011年1月11日火曜日

p進体上の周期と積分

* アーベル多様体上の周期
- PÉRIODES ET REPRÉSENTATIONS GALOISIENNES, NOTES DU COURS DE M2
(http://www.math.jussieu.fr/~colmez/Orsay.pdf)
楕円曲線に限定して、周期の計算を行っている。
とくに、Complex Multiplicationを持つ場合は、
Chowla-Selbergの公式が成り立つ
- Périodes p-adiques des variétés abéliennes , Math. Annalen 292 (1992), 629--644

* Coleman積分
Heidelberg lectures on Coleman integration
(http://www.math.bgu.ac.il/~bessera/Heidelberg-lecture.pdf)
* Coleman積分の超楕円曲線の場合の計算
Explicit Coleman integration for hyperelliptic curves
(http://arxiv.org/abs/1004.4936)

p進体上のp進体値関数

Colmezのページに基本的なことのまとめがおいてあった。

* Fontaineの周期環
INTRODUCTION AUX ANNEAUX DE FONTAINE, NOTES DU COURS DE M2
(http://www.math.jussieu.fr/~colmez/Fontaine.pdf)
複素数体上では、複素平面の極座標分解ができて、
オイラーの公式が、極方向の、一意化座標と割った座標の同一視の仕方を与えている。
Berkovich空間として、p進射影平面をみると、これは木構造の完備化で、実1次元であるから、
オイラーの公式的なものを作ろうとすると、
極方向に次元を増やす必要がある。
空間の次元を増やすことはできないので、
分岐拡大の方向に自由度を増やして、それを完備化することにより、擬似的に次元を増やす、
という方針をとることになる。
そのために、
標数pの世界と標数0の世界をつなぐ道具立て、
- p乗で結ばれる数列
- Witt環
を用意する。
ガロア群の作用が連続になる(p進,付値)の2次元的な位相環が定義され、
これを動径方向、すなわちp進方向に局所化して、極座標方向、すなわち付値方向に完備化することで、Fontaineの周期環が定義される。

* p進体値関数
FONCTIONS D’UNE VARIABLE p-ADIQUE, NOTES DU COURS DE M2
(http://www.math.jussieu.fr/~colmez/Espaces-fonctionnels.pdf)
複素数値関数としてのp進局所体上の連続関数は、局所定数だった。
では、
p進体値関数の場合はどうか、というと、これも、局所体の完全不連結性に起因して、
連続関数のなかで、局所定数関数が密になる。
とくに、連続関数のなす空間のorthonormal basesとして、
2項係数からなる多項式群をとることができる。
ここで、orthonormal basesは、ヒルベルト空間が定義されている訳ではないので、
p進Banach空間を定義して、その中で、基底と、項が無限遠で0になるような数列の空間を用いて、定義される。
次に、局所解析的関数を定義して、そのorthonormal basesが2項係数に収束条件のための定数をつけた形で決定できる。
r級の関数の定義がなされるが、r階微分可能性にさらに、テイラー展開の誤差項の一様連続性を条件に加えている。
これは、Exercice10にあるような例があるため。

局所解析的ならば任意のrでr級になる。
各r級の空間でbasesは、やはり、2項係数に収束条件のための係数がついたものになる。

* 分布、測度
DISTRIBUTIONS ET FONCTIONS ANALYTIQUES, NOTES DU COURS DE M2
(http://www.math.jussieu.fr/~colmez/Distributions.pdf)
関数に加えて、分布、測度が定義される。
Amice変換として、2項係数関数による母関数が定義され、
分布に対して、ベキ級数が対応する。
分布への操作と、Amice変換によるべき級数の対応がリスト化される。