2009年8月30日日曜日

SLEとCLE

SLEについて、現行のformulationをみると、

- 等角写像を擬等角写像に変えてみる
という点が思い当たる。
Cauchy-Riemann方程式が成り立つ、ということと質量が0が対応するから、
擬等角写像を考えるということは、質量が正の場合に迂回する、ということに対応するだろう。
また、擬等角写像によりHausdorff次元は変化するので、
SLEのパラメータκに対応するものも、擬等角写像を許すと一定ではない。

また、
- 連続性が真に必要になる部分はどこか?
という問題意識がある。
これについては、
DISCRETE COMPLEX ANALYSIS ON ISORADIAL GRAPHS
http://arxiv.org/abs/0810.2188
がある。

いずれにせよ、
SLEそのままのformulationではCFTを再構築する上で制限が在りすぎる。
- 共形次元が任意に取れない。したがって、minimal modelですら相関関数を計算できない
という点がもっとも気になる点で、
共形次元の計算はマルチンゲール性を満たすSLE測度ということでなされるので、
単連結領域内の一つの曲線、というモデルだけでは足りない。

Conformal loop ensembles and the stress-energy tensor. I. Fundamental notions of CLE
http://arxiv.org/abs/0903.0372
Conformal loop ensembles and the stress-energy tensor. II. Construction of the stress-energy tensor
http://arxiv.org/abs/0908.1511
において、
minimal modelを含めたlocal fieldを構築しようとしている。

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三角格子において、気になるのは、
http://www.unige.ch/~smirnov/papers/percras-j.pdf
のlemma1。
ここで、120度の角をなす方向微分の値が等しいことから正則性を導く議論があるが、
もし、非ユークリッド幾何における双曲三角形で格子を作っても同様の議論が成り立つだろうか?
成り立つのであれば、双曲6角形、すなわち3重連結領域における細分を考えることができる。

2009年8月18日火曜日

calogero-sutherland系

量子可積分系入門(白石)
のなかで、
シューア多項式、ジャック多項式、マクドナルド多項式
といった直交多項式系が定義され、
calogero-sutherland系のハミルトニアン、Virasoro代数の特異ベクトル
等と関係付けられていた。

シューア多項式がchern類のような代数的K群に値をとる多項式として幾何学的に解釈されえるから、
ジャック多項式なども似たような解釈がないものだろうか?
とみてみると、
Quantum cohomology of the Hilbert scheme of points in the plane
http://arxiv.org/abs/math/0411210
The quantum differential equation of the Hilbert scheme of points in the plane
http://arxiv.org/abs/0906.3587
でヒルベルトスキームを用いて解釈ができる、との記述があった。
http://physics.berkeley.edu/events/mm/Slides/Okounkov.pdf
にスライド。

2009年8月8日土曜日

サマースクール予習(SLE)

[1] Stochastic geometry of critical curves, Schramm-Loewner evolutions, and conformal field theory(http://arxiv1.library.cornell.edu/abs/math-ph/0607046v2)
[2] The Global Geometry of Stochastic Lœwner Evolutions(http://arxiv.org/abs/0906.5328)
[3] Loewner equations, Hirota equations and reductions of universal Whitham hierarchy(http://arxiv.org/abs/0808.1444)

興味の対象はSLEが可積分系と関わる部分。
[2]ではまだRiemann面上のKrichever mapときちんと対応付けられてはいないようだが、
univalent関数との関係が気になる。
[3]においては、遅いパラメータによって変調を可視化するWhithamの手法とLoewner方程式とを関連付けていた。[2]と[3]とがどう対応するのか理解したい。

2009年8月5日水曜日

サマースクール予習(量子確率論とグラフのスペクトル解析)

[1]量子確率論とグラフのスペクトル解析(http://www.math.is.tohoku.ac.jp/~obata/presentation/Hokudai-200902.pdf)

- 個人的にグラフとして興味があるのは、群が作用するグラフ。
ex. 鏡映群が作用する空間からグラフを作って、そのグラフに関する代数と空間の乱歩を対応付ける。
Bruhat-Tits building(http://arxiv.org/abs/0903.1245)
- 状態、として、グラフの構造を反映したいい関数が現れるか?代数に作用する代数があるか?
ex. 保型形式、ヘッケ環
- 乱歩は離散的には群の積とみなせる。そこから自然に非可換代数とpathが対応し、経路積分のtoy modelが作られる。
Noncommutative geometry and path integrals(http://arxiv.org/abs/math/0612411)
とくに一次元方向の乱歩に限ってみる。
まずは有限体上の経路積分を定式化して、Z^と対応付けたい。
次に局所類体論を局所体上の経路積分として捉えたい。Formal groupおよびその等分点の自然な解釈ができるはず。
Tate's thesisではadele上のFourier変換によりゼータ関数の関数等式を出していた。
非可換幾何におけるFourier変換により何が出てくるのだろう?