2012年10月26日金曜日

サマースクール 復習 その20

Tropical geometry and mirror symmetry
http://www.math.ucsd.edu/~mgross/kansas.pdf
toric Fano varietyのB-modelはlangau-Ginzburg modelで、
ここにtwisted de-Rham complexが現れる。

- tropical world
- log world
- classical world
のつなぎ方を説明している。

* 以下極めていい加減な妄想
tropical worldからclassical worldへ行く道とは別に、
tropical worldからBerkovich空間へ行く道もある。
そこで、
Berkovich空間からの写像に持ち上げようとすると、難点が生じる。
すなわち、
Mumford curveのようなtotally degenereteの場合以外は、
そのままでは良い幾何的対象がない、
ということ。
これは、
A-modelの定義で、
stable mapを定義する際に概複素構造を用いて、モジュライ空間をコンパクトにして写像の存在を示す、
ということと同等のことを行う必要がある、
ということになる。

代数曲線に関するGrothendieck予想 --- p進幾何の視点から
http://www.kurims.kyoto-u.ac.jp/~motizuki/Daisuukyokusen%20ni%20kansuru%20Grothendieck%20yosou%20-%20p-shin%20kika%20no%20shiten%20kara%20(Tsudajuku%20genkou%201998-10).pdf
では、
p進Hodge理論を用いて、擬似的に一位化を構成している。
複素構造に対応するものが、Hodge分解であり、p進Hodge理論の使える拡大体の上で、
有理点の収束定理を証明している。(D. 主定理の証明)

SEMI-GRAPHS OF ANABELIOIDS
http://www.kurims.kyoto-u.ac.jp/~motizuki/Semi-graphs%20of%20Anabelioids.pdf
では、
tempered 基本群によるGalois圏を頂点に乗せて、群作用付き(無向)グラフの圏(anabelioid)を構成している。
このanabelioidの言葉を用いて、special fiberのdual graphから圏を構成できる。

Anabelioidの幾何学とp進Teichmuller理論
http://www.kurims.kyoto-u.ac.jp/~motizuki/Anabelioid%20no%20kikagaku%20to%20Teichmuller%20riron%20(Muroran%202002-08).pdf
では、
定理3で、圏同値から元の代数曲線が復元されることをcanonical liftingの言葉で言っている。

Anabelian Geometry in the Hodge-Arakelov Theory of Elliptic Curves
http://www.kurims.kyoto-u.ac.jp/~motizuki/Anabelian%20Geometry%20in%20the%20Hodge-Arakelov%20Theory%20of%20Elliptic%20Curves%20(Kokyuroku%202002).pdf
複素構造の積分可能性に対応する概念は、anabelioidを標識を固定してつないでいく、
ということに対応すると思える。
その標識を作るのに、Tate curveを利用する。

これらから、連想されるのは、IUTとは概複素構造のGalois版、いわば、概Galois構造ともよぶべきものだろう、
というもの。
ここで、代数曲線からの写像ではなく、数体を用いるために、
p進teichmuller空間においてのindigenous bundleの代わりをするのが、1点穴あき楕円曲線になる。


シンプレクティック幾何学の圧縮不能性定理が擬正則曲線の存在によって示される(シンプレクティック幾何学(深谷)定理2.108)
のと同様に、ABC予想が示されるのであれば、まさしく最初の応用、というのに適切なのだろう。


2012年10月21日日曜日

サマースクール 復習 その19

* The Calylay method

"Discriminants, Resultants, and Multidimensional Determinants"(GKZ)において,射影空間内の超平面Xに対して、そのprojective dualの定義方程式が、
X-discriminantΔ_{X}であることを示すのに、
1. Δ_{X}(f)=0が、Koszul complexのexactnessが(degree 0で)破れることと同値であることを示し、
2. そのcomplexをdeterminant complexの計算で置き換える、
という手順を踏む。(Ch2)
1.で使用されるのが、
Cor2.1.5のjet bundleとそのdualによるresolutionであり、
Th2.2.5の両者をつなぐ式だった。
Th2.2.5の根拠は、
incidence variety、およびそのleft resolutionのdual complexの定めるline bundleによる、
Hecke対応の記述だった。
2.で使用されるのが、Th2.5.2における計算だった。

それを利用して、Principal A-Determinantの分解を組み合わせ的に記述する。(Ch10)
V:vector space V^{*}:dual of V
として、
射影的トーリック多様体Xとそのaffine coneYは、
V^{*}-{0}->P(V^{*})というGm作用の軌道を取る写像を
Y-{0}->X
に制限することで得られる。これは、
A: Xを定める有限集合 
S: A*{1}と{0}の和
として、Sの元の重みをAの元の重みを1と定めることに対応する。
また、Sの元はrank kの自由アーベル群を生成するとする。(Aはrank k-1の自由アーベル群を生成する)
YはSpec C[S]の形で表され、トーラス作用としてk次元の開軌道Y0を持つ。
また、Yは唯一の0次元軌道を持つ。(affine空間の{0}に対応)(Prop5.3.5)

Q=convex hull(A)のfaceΓとYのトーラス軌道Y0(Γ)は一対一に対応する。
y∈Y0(Γ)の近傍は、Spec(C[S/Γ])*Y0(Γ)の有限個のbranchの和と局所的に表される。(Th5.3.6)

YのY-Y0に関するlogarithmic de Rham complexは、
1: j:Y0->YをembeddingとしてY0上の定数層のjによるdirect image
2. トーラス軌道の近傍の構造による分解
の2つの記述(modulo quasi-iso)がある。

2.の構造の記述のためにCh9で、
トーラスHに対し、その指標格子の上の離散ベクトル場による微分型式の表現(Prop9.2.2)
affine トーリック多様体に対し、理三ベクトル場によるDanilov i-formsの定義と微分形式の表現(Th9.2.5)
discriminant complexのgraded vector spaceによる置き換え(Th9.2.6)
があり、
これから、Prop10.1.1による記述と、そのprime factorization Cor10.2.5が出る。

Cor10.2.5におけるmultiplicityの計算に、
上記の1.の記述を用いる。
VとV^{*}の直積は、V,V^{*}のcotangent bundleと見なせるので、
トーラス軌道のconormal bundleの閉包はLagrangianになる。
これが、1.のcharacteristic cycleによる分解に現れる。(Th10.2.11)
Th10.2.15でcharacteristic cycleの重複度と上記のprime factorizationの重複度の対応がつく。

* モチーフ
Principal A-Determinantの分解は、

log-differential complexを用いて、
特性多様体の分解とEuler数を計算すること、
を基礎に置いていた。
ここで、Euler数を取る前の特性多様体の情報を保持したままで話を進めようとすると、
モチーフによる記述が妥当と思われる。
モチーフのBetti realizationには重みが存在するから、
重みの情報を用いることにより、Euler数よりも多くの情報を得ることができるはずである。

* 相対化
Q:トーラス退化の場合に、上記の話が相対化できるのか?
tropical vertexと関係はあるのか?
The tropical vertex
http://arxiv.org/abs/0902.0779v2

* crystalline
トーリック多様体は、整数環上でも定義できて、
判別式の部分に整数が出てこない。
Q:整数環上で相対化して退化を記述した場合に、
logarithmic differential formsの記述、
Riemann-Hilbert対応の記述に、
crystalline cohomologyが有効利用できるか?

On the crystalline period map
http://arxiv.org/abs/1111.3316v2

p-adic derived de Rham cohomology
http://arxiv.org/abs/1204.6560v1






2012年10月12日金曜日

サマースクール 復習 その18

*非可換DT
Non-commutative Donaldson-Thomas theory and the conifold
http://arxiv.org/abs/0705.3419v3
Quiver with potentialからJacobi環の表現のmoduli空間を構成したいが、
とくに、cyclic modlueの場合をみる。
- path algebraのレベルでcyclicな場合はmoduliを構成できる(lem1.2.1)
- Jacobi環のframed cyclic moduleのfine moduliを構成できて、path algebraのレベルのmoduli(smooth)に埋め込める
(Prop1.2.2)
- さらにmoduliの各点での接空間をイデアルと加群で記述できる(Cor1.2.3)
- moduliはsymmetric perfect obstruction theoryを持つ(Th1.3.1)
path algebraのレベルのmoduliがsmoothで、
moduliはその中でのexact 1-formのzero locusとして記述できるので、
obsutruction theoryを持つ。

- 3次元Calabi-Yau代数の表現について、
射影加群の有限余次元有限生成部分加群と有限次元cyclic加群
の間に対応がある。(Prop1.4.1)

- 具体的にnon-commutative conifoldの場合を扱う
Q: 2点と4つの辺からなるquiver
W: potential
A: Jacobi環
R=Z(A):Aの中心
とすると、RはGL(2)のdeterminant locusと同型。
Z=Spec(R)はsingularだが、そのcrepant resolutionとして、
X:可換(resolved conifold)
X+:可換(Xのflop)
A:非可換
が存在する。(Figure 8)
- framed cyclic moduleのfine moduliには、2次元トーラスの作用が入る
トーラス作用の重みを固定して、
pyramid partitionとmoduliのトーラス作用の固定点に一対一対応がある(Prop2.5.1)
- DT-invariantの計算に必要になる接空間の次元のparityは、path algebraのレベルのmoduliのpaityと同一
(lem2.5.2)
- Aの非可換分配関数がpyramid partitionを用いて計算できる(Th2.7.1)
さらに無限積展開が具体的に計算できる(Th2.7.2)

2012年10月10日水曜日

サマースクール 復習 その17

Poisson properties of cluster algebras

http://www.math.jussieu.fr/~bbertrand/gtaa/school2012/ParisApril2012-Day3.pdf
extended cluster variablesに対するlog canonicalなPoisson構造の入れ方は、
τ座標を用いることにより、具体的に表すことができる。
cluster variablesとcompatibileな2-formを用いて表すこともできる。
Cluster algebraに対して、それをcoordinate ringとするvarietyと
その良いsub varietyであるCluster manifold(+2-form)を対応させる。
- A-cluster algebraとX-algebraという形で、cluster variablesとτ座標が対応する。
- Grassmann多様体に対して、cluster構造を入れることができる。
G(2,4)の場合は、a,cをcluster variables, b,d,ad-bcをfrozen variablesにして、
{a,b,d,ad-bc}<->{c,b,d,ad-bc}
の2つのclusterになる。
これは、4=3+1でA1型に対応するので、Weyl群がS2であることに対応する。

- cluster manifoldはnonsigular
cluster manifoldは各cluster毎に、
cluster変数から生成されるトーラスと、frozen variablesから生成されるaffine空間、
の直積をcexchange relationsで貼りあわせて得られるvariety。
よって、nonsingular。
さらに、log canonical w.r.t extended cluster variablesとなるPoisson構造が入る。
- local toric action
各cluster毎に、
cluster monomialsに対して、重みを付けてトーラス作用を与えることができる。
全てのclusterに対するトーラス作用がcompatibleで貼り合わせることができるとき、
cluster manifoldにトーラス作用が入り、そのregular locusを定義できる。
- regular locusの連結成分の個数
regular locusはcluster manifoldにおけるPoisoon構造のleavesに分割されるが、
とくに、generic leavesで分割される。
regular locusの連結成分の個数は、cluster algebraを定める反対称行列のmod2作用から
計算できる。

- cluster A-manifold, cluster X-manifold
cluster manifoldに対して、log canonicalなPoisson構造を与え対応する2-formをΩとする。
Ker(Ω)のgeneric filberは次元がrank(B)のsmooth manifoldになり、
Ωのpush forwardによりsymplectic型式が入る。

- cluster algebra with coefficients
tropical semifieldの元を係数に持つcluster algebra。

Cluster algebras and Poisson geometry
http://arxiv.org/abs/math/0208033v2


* Planar network
http://www.math.jussieu.fr/~bbertrand/gtaa/school2012/Paris2012-Day4_no_pause.pdf
- GL(n)にはSklyanin bracketにより標準的なPoisson-Lie構造が入る
- Coxeter Double Bruhat cell
A型の場合、2つのpermutation(u,v)に対して、Sklyanin bracketに対するPoisson manifoldが定まる。
Jacobi行列は、u=v^(-1)が一番長いpermutationの場合。
GL(n)は上三角行列、対角行列、下三角行列に分解でき、
それぞれを更に、Ga,Gmに対応する1-parameter群の元に分解することができる。
とくに、double Bruhat cell G^{u,v}は、
l(u)+l(v)+n次元のベクトル空間と双有理同値で、具体的に記述できる。

- Rn:Q/Pの形の互いに素な多項式からなる分数で、P(0)!=0, deg(Q)Rn
という写像(Moser map)を経由するが、これに対して、
Toda階層に類似の可積分系の存在、
Moser mapの逆写像
が存在するかどうかが問題になる。

G^{u,v}/H->Wn->Rn->(C*)^{2n}->G^{u,v}/H
が恒等写像になるように、
m:G^{u,v}/H->Wn
x:Rn->(C*)^{2n}
ρ:C*)^{2n}->G^{u,v}/H
を定めることができる。({u,v}に依存する。)

- A:cluster algebra
(u,v)に寄らないcluster algebraで、stable(frozen) variablesによる局所化がRnになるもの、
が存在する。
さらに、上の写像xの{u,v}の依存に対する変換は、Aにおけるcluster transformationの積で表される。


Generalized Bäcklund-Darboux transformations for Coxeter-Toda flows from a cluster algebra perspective
http://arxiv.org/abs/0906.1364v4

KP solitons and total positivity for the Grassmannian
http://arxiv.org/abs/1106.0023v1

2012年10月4日木曜日

サマースクール 復習 その16

Poisson properties of cluster algebras

http://www.math.jussieu.fr/~bbertrand/gtaa/school2012/ParisApril2012-Day1.pdf

A型の戸田格子模型は、3重対角行列に対してLax pairを構成することができる。
Hamiltonianと可換な値をrank分取ってくることができ、完全積分可能。
実際に3重対角行列をresolventのTraceからなる値を用いて分解することができる。(20/1)
代数群にPoisson構造が入り、群構造と両立する場合、Poisson-Lie構造と呼ぶ。
SL2のBorel部分群にPoisson-Lie構造を入れることができる。
これは、Gm*Gaとみて入れる。
SL2のGauss分解を用いて、SL2にもPoisson-Lie構造を入れることができる。
さらに、SL(n)へSL(2)の積から写像があるので、それを用いてSL(n)にPoisson-Lie構造を入れることができる。
Poisson-Lie構造はR-matrixからも定義することができる。
http://www.math.jussieu.fr/~bbertrand/gtaa/school2012/ParisApril2012-Day2.pdf
実数値n*n行列の全ての小行列式が正であるとき、Totally positiveと呼ぶ。
実際には、n^2個の小行列式の組が正であれば他の全ての小行列式は正になる。
さらに、異なる組の中に属する小行列式に対して関係式が存在する。
これらを扱うために、Cluster algebra of geometric typeが定義される。
グラフの頂点ごとに、
- frozen variables
- cluster variables
- extended cluster variables
が定まり、frozen variablesは変化せず、
cluster variables, extended cluster variablesはCluster transformationの式を満たして変化する。
そして、初期種子を与えて、cluster variablesで生成される代数をcluster algebraと呼ぶ。
cluster variablesは初期種子のLaurent多項式で表される。
よって、初期種子のPoisson括弧を決めることでCluster algebraにPoisson構造を入れることができる。
特にlog canonicalなPoisson構造を入れることができ、
これはcluster variablesに対して整数値反対称行列を対応させることになる。