2014年10月28日火曜日

サマースクール復習 その5


p進局所体の絶対Galois群に関する誇大妄想

p進局所体の絶対Galois群は、ある意味で”実解析的”な対象で、 
絶対遠アーベル幾何は、 
その上の双曲的代数曲線によりrigidifyされた”複素構造” 
の抽出を行うものだった。
一方で、
では、 
p進局所体の絶対Galois群を、 
perfectoidとtiltingを経由することにより、 
1点穴あき円盤上の同変エタール層の圏の幾何的基本群として、 
記述している。 
1点穴あき円盤は、Fargues-Fontaine curveによって記述され、 
その上のベクトル束は、Atiyahによる楕円曲線のベクトル束の構造と同様である。
楕円曲線のミラー対称性は、 
ベクトル束の構造を用いて、概正則三角形の数え上げを行うことにより、 
テータ関数の関数等式に帰着されたので、
  • Fontaine-Fargues curveに対して、”シンプレクティック構造”を定めることにより、 
    p進局所体上のTate curveに対するテータ関数を対応させることが出来ないか?
  • p進局所体上のetale theta functionを上記の構成で理解できないか?
  • p進局所体に対するFrobenioidをperfectoidを用いた空間から得られる圏に対して直接定義できないか?
といった疑問が生じる。
さらに、リーマン面上の2次微分からFukaya圏を構成することの類似を 
p進局所体上で行うためには、 
indigenous束から得られるGalois群に対する壁超え 
を理解することが必要と思われる。 
そのために、 
A Theory of Ordinary p-adic Curves
Chapter III: Canonical Modular Frobenius Liftingsの部分を、 
Faltingsの言葉(正直まとまった文献を知らない)ではなく、 
Perfectoidの言葉で書き直したほうが良いような気がする。

2014年10月18日土曜日

サマースクール復習 その4


量子化

実解析的多様体の複素化のミラーをB-modelとしてみることにより、
量子化の状態空間、i.e. Hilbert空間を代数的に導出する、
ということが動機になっている。
ミラー対称性において、
SYZ対応が成り立つ場合には、
Fourier-Mulai変換を通して計算が可能な場合もある。
Q:1次元量子系に対して、リーマン面を対応させた場合、
A-model,B-modelはどのように記述されるのだろうか?

A-model

リーマン面の三角形分割から、自然に3-CY圏が定義される。
Fukaya圏についても、ある程度の記述が出来る。
Q:対応するB-modelはどうなるか?

B-model

Q:B-model側での量子化の導出を、Topological Recursionを用いて行っている。
その際に使用されるのが、Laplace変換であるが、
これは、WKB法におけるBorel総和法ということになるだろうか?
A-model側でMorse理論によりcycleを算出してStokes構造をみる、
という部分を、Borel総和法で代数的に置き換えている、と見ることができるだろうか?

Exact WKB

Q:Belyiの定理により、数体上の代数曲線の三角形分割が定まるが、
Exact WKBにおけるモノドロミー行列は、数論的な情報をどれだけ保持しているのだろうか?
単純に考えると、p進体上で対応する微分方程式から周期環上にGalois表現を構成すると、
そのGalois表現がモノドロミー行列の持ち上げになっている、と思われる。
そして、数体の硬さにより、数体上のGalois表現が各素点の情報から定まる、
ということになるのだろうか?
Mellin変換はLaplace変換の類似だから、ある意味、ミラーを見ている、
と思えるのだろうか?

WCF

可解格子模型

可解格子模型は転送行列の対角化により、分配関数が計算される。
転送行列が楕円曲線上に定義されることの一つの理由として、
[Cos13]Th4.3.3,Th6.0.3が挙げられる。
Written with StackEdit.

2014年10月10日金曜日

サマースクール復習 その3


固体物理

固体の物理的性質は、 
固体中の電子の量子力学的振る舞いにより理解される。 
固体中の原子は原子核と電子から構成されるが、 
電子は多数存在し、電子及び固体中の原子と電磁気学的に相互作用する。 
厳密に量子多体系を解くことは出来ないため、 
説明したい物理的現象に応じて、 
相互作用を一部無視した近似を行うことが必要になる。
注目するべき物理量は、
  • 量子力学から導かれる位置、運動量、スピンなどの物理量
  • 統計力学から導かれる揺らぎに関する物理量
になる。

近似

  • 古典力学からの金属電子論(Drude-Lorentz)
  • 平均場近似(Hartree近似)
  • 自由電子模型
  • Nearly Free Electron近似
  • Tight Binding近似
  • Coulomb相互作用を考慮に入れた近似
といった種類がある。

古典力学からの金属電子論(Drude-Lorentz)

金属を結晶中の原子の持つ球形のイオンと伝導電子からなる、として、 
古典的に理解しようとすると、
  • n:
  • e:
  • m:
  • c:1
  • τ:
として、 
- 電気伝導度σ=ne2τm 
- 熱伝導度κ=2nc2Tτ3m
が導出される。 
Wiedelmann-Franzの法則は、温度Tの下で 
κσTが物質に依存しないことを主張する。
古典論では、
  • 電子の平均自由行程は電気伝導度の実験値を満たす値よりずっと小さい
  • 金属分子の比熱は気体分子の比熱よりずっと小さい
  • 電子の回転モデルはエネルギーの放出による崩壊の困難がある
という問題があった。

量子論

  • Heisenbergの不確定性原理により振動子の基底状態のエネルギーは0でない
  • 低温では粒子はほとんどすべて基底状態にある
  • Fermi粒子はPauliの排他律に従い、状態を一つしか取らない
  • 電子はFermi粒子であり、軌道状態とスピンによって状態が定まる

平均場近似

多電子原子を原子核のポテンシャルと他の電子の平均のポテンシャルで近似することを、 
平均場近似という。

自由電子模型(理想気体)

金属中の伝導電子を相互作用を無視して箱の中の理想気体とみなすと、 
境界条件と電子のフェルミオンの性質から、
  • 波数ベクトルkk=(kx,ky,kz)
  • スピン
の状態を持ち、Pauliの排他律により、 
基底状態では、それぞれの状態に一つづつ電子が存在する。 
有限温度では熱揺らぎによりFermi分布に従い存在する。

固体の結晶構造

固体は結晶を構成する。 
従って、平行移動に対する対称性を持つ。 
(Q:もし、単位円盤にポアンカレ計量をいれて、そこで適当なFuchs群に対する対称性を持つ結晶があったとしたら、そこでのBlochの定理はどのように書けるのだろうか?もし、Fuchs群が算術群の場合には、保型形式とHecke環を用いて波動関数の対称性が記述できるのだろうか?)

固体電子のバンド構造

金属中の伝導電子に対して、結晶中の原子核に存在するイオンとの相互作用を考慮すると、 
周期ポテンシャルを持つ場における電子の運動を記述することになる。 
量子多体系の近似として、
  • 電子が固体中を遍歴する、という近似(Nearly Free Electron近似)
  • 電子が固体中の各原子に局在する、という近似(Tight Binding近似)
がある。 
実際にはこの近似の中間に物質のエネルギーバンド構造が存在する。
Written with StackEdit.