2010年2月18日木曜日

Coleman積分とグラフ上の調和関数

The Frobenius and monodromy operators for curves and abelian varieties
(http://arxiv.org/abs/math/9701229)
に基づいて、
Coleman Integration Versus Schneider Integration on Semistable Curves
(http://www.ma.huji.ac.il/~deshalit/new_site/files/Coates.psをhttp://www.ps2pdf.com/convert.htmで変換)
に、semi-stable reductionをもつcurveのHodge decompositionの様子が記述されていた。
Mumford-curveの場合は、degeneration graphのgenusとcurveのgenusが一致するので、
簡潔になり、
グラフ上の調和関数、すなわちresidueを用いた計算により、第2種微分(modulo exact)が記述できる。

Berkovich空間としての積分は、
Integration of One-forms on P-adic Analytic Space(http://www.wisdom.weizmann.ac.il/~vova/)
Th4.3.1およびCor 4.3.5
に記載されている。
(ただ、この記述では、Frobenius作用、モノドロミー作用はでてきていない。)

2010年2月16日火曜日

正則写像の極限としてのR-tree

* 射影直線のBerkovich空間を有限R-treeの帰納的極限としての上半平面と
その境界として捉えて、
この中に、
有限安定グラフの普遍被覆として生じる有限R-treeを考え、
その(無限)(分岐)被覆R-tree T
を対象としたい。
-Tが存在できるためにはどのような条件が必要か?
-Tはどのような力学系に対応するか?
というのが素朴な疑問となる。

-Tにおける被覆の様子と基本群の作用は両立している必要があるから、もとの有限安定グラフを特殊ファイバーの双対グラフとして持つMumford曲線の基本群とどう対応するか?
という疑問もある。

* 複素領域において、平面に埋め込まれたsimplicial R-treeの固定点を持つ(無限分岐)被覆について、
Ribbon R-trees and holomorphic dynamics on the unit disk
(http://www.math.harvard.edu/~ctm/papers/home/text/papers/rtrees/rtrees.pdf)
では、以下のようなことが述べられていた。
- Ribbon R-treeの被覆f(T,p)->(T,p)ではSchwarz lemmaが成り立つ。すなわち被覆写像は距離を増大させない。
- Tがminimality条件を満たすとき、Tはcoreから復元できる。
ただし、coreとは、pとpost-critical setのconeのfによる逆像。
つまり、Tを制御する情報はcritical points。
- 単位円盤に双曲距離を入れて正則写像としてのBlaschke積をみると、リスケーリングによって、
post-critical setsたちの距離を無限大に近づけていくことで、双曲多角形がR-treeにGromov-Hausdorff収束する。すなわち、正則写像の幾何的極限としてR-treeの被覆が得られる。
- 一方、Blaschke積の零点を絶対値1に近づけると次数が下がる。その意味で代数的な極限が存在する。
- 代数的極限における次数の退化は、境界である単位円周上の正因子によって補完される。
代数的極限が幾何的極限と対応する十分条件が、次数2の場合に述べられている。

p進では、当然そのままでは何も移行できないが、
複素数では、上半平面と単位円盤が対応して、Blashchke積は、ガロア作用である複素共役を用いて定まった。
p進において、単位円盤もどきは存在しないが、ガロア作用を用いてBlaschke積に対応するよい写像を作れないか?
リスケーリングによって境界上の点の距離を無限大に持っていく、という操作を作ることができないか?
というものが気になる。