2010年11月30日火曜日

カンファレンス復習

http://math.mit.edu/~kedlaya/conference2010/schedule.html
における興味深かった講義内容。

*p-adic Hodge theory
http://www.math.u-psud.fr/~fargues/Courbe.pdf
に記述されている、generalized Riemann sphereを用いた、
weakly admissible representationがadmissibleであることの証明。

射影直線の連接層のなす導来圏には、t構造として、クロネッカー代数の表現が入る。
それを少し複雑にして、Harder-Narasimhan filtrationとして、
各有理数に対して、rankとdegreeが対応するベクトル束が存在するような
"曲線"を構築している。
この場合、Witt vectorが自然に絡んできて、基礎体について、仮定が必要になる。

* Analytic spaces over F_1
http://www.diffusion.ens.fr/index.php?res=conf&idconf=2843#
の講義の内容を前提としての話。
F1代数の上で、スキーム論と解析空間論を平行に話をしていた。
代数的な話は、Spec,Zariski Specを定義し、
アファイン空間を定義していた。
局所化や、貼り合わせの話はよく掴めなかった。
解析的な話は、rational domainやWeierstrass domainを定義して、
解析空間の定義をしていた。

* The arithmetic curve, Witt vectors and zeta
http://math.mit.edu/~kedlaya/conference2010/slidesnagoyacolloq.pdf
BCシステムとWitt環の関係を述べている。
アデールクラスをmonoidとして、幾何学的にとらえて、
跡公式を通してゼータ関数と関係づけようという話。
(http://www.alainconnes.org/docs/HyperJ.pdf)
Witt環を無限素点上でも定義できるようにしようとすると、
フロベニウス作用素を拡大解釈する必要があるが、
hyper fieldおよびsemi fieldを考えることで、
拡張ができる、ということが示されている。
(http://www.alainconnes.org/docs/henri65.pdf)

* Foliated spaces
(http://math.mit.edu/~kedlaya/conference2010/slidesnagoyafoliation.pdf)
アデールクラスに値をとる射影直線をF1上に定義しようとして、
そのために非可換幾何の枠組みを使用している。
同値類とleavesを対応させているため、
葉層構造上の不変測度の存在を測るGodbillon-Vey類が重要。

* 感想
上記、p進表現もアデールクラスも、射影直線に話を帰着させて計算を行っている点が興味深い。

2010年10月29日金曜日

サマースクール復習その12

* Shottky double
実直線に含まれる有限個の閉区間の和集合Eに対して、
Ω=C∪{∞}-E
とする。
Ωを二つ(Ω1,Ω2)用意して、境界で張り合わせることにより、
(Shottky double)
リーマン面Rを作ることができる。

Rには、
Shottky doubleから定まるinvolution

実構造から定まるinvolution
の二つの作用がある。

ここで、疑問になるのは、
H(Ω):Ωに対するハーディ空間(p=2としておく)

RのKrichever mapによる佐藤グラスマン多様体における像、
との関係。

* 多重連結領域のτ関数
Integrable Structure of the Dirichlet Boundary Problem in Multiply-Connected Domains
(http://arxiv.org/abs/hep-th/0309010)
には、
多重連結領域に対して、τ関数が定義されていて、
そのlogをとったものをFとおいている。
この記号はpre potentialを想定していて、
Fを用いて、(3.45),(3.46),(3.47)
多重連結領域のグリーン関数、
調和関数、
Rの周期行列
と対応がつく。

この論文では、境界がsmooth Jordan curveとしているが、
上の閉区間の場合に、そのまま適用することは可能だろうか?

少なくとも単連結の場合、
Blashcke積とグリーン関数の関係は、単位円盤への等角写像を用いて
グリーン関数を表すことではっきりする。
多重連結の場合もフックス一意化により、
Finite Gap Jacobi Matrices, I. The Isospectral Torus
(http://arxiv.org/abs/0810.3273)
における
Blashcke積とグリーン関数の関係もわかりやすい。

まずは、おもちゃバージョンのE=[-2,2]の場合から手をつける必要がある。

* Jacobi行列の周期と摂動
Rを二つ用意して、これを2点でnodeとしてくっつけることにより、
特異点を持つリーマン面:R'ができる。
これを摂動して特異点を持たないリーマン面R2をつくると、
R2の種数g2は、Rの種数gを用いて、2*g+1=g2となる。
すなわち、
g2;1=2*(g+1)であり、
これはR,R2をスペクトル曲線に持つJacobi行列、
J,J2の周期の関係である。
そこで、
周期g+1のJacobi行列Jを周期2*(g+1)と思って、
それを摂動することにより、(適当な)J2を得たい。

一番簡単な場合は、2点を伸ばして2つの閉区間にする場合、
すなわち、有理曲線から楕円曲線へ、modulus 1->kとする場合
である。

2010年10月25日月曜日

サマースクール復習その11

* 超楕円曲線上の有理微分形式
-a) Algebro-Geometric Quasi-Periodic Finite-Gap Solutions of the Toda and Kac-van Moerbeke Hierarchies
(http://arxiv.org/abs/solv-int/9705019)
のAppendix A,B,C
-b) Algebro-Geometric Constraints on Solitons with Respect to Quasi-Periodic Backgrounds
(http://arxiv.org/abs/nlin/0606062)
-c) リーマン面上のハーディ族(荷見)
を参照。
一般論として、リーマン面上の1次有理微分形式を、
1st:正則微分形式
2nd:留数が全て零の有理微分形式
3rd:1st,2nd以外
と分類したとき、
1stは、Dirichlet問題を解いて得られる調和関数から、作ることができる。
1次ホモロジー群の標準的な基底(A,B)={A1,..Ag,B1,..Bg}を固定することにより、
A周期に関して正則化することができ、B周期行列が考えられる。

3rdは、2点p,qにおいて、留数がそれぞれ1,-1であるような有理微分形式を作ることができれば、それらの線形和を取ることで留数を消すことができる。
これは、(potential theoretic)Green関数の性質を利用して、log||を引くことによって、2点で、正、負の対数的極を持つ調和関数を作ることができるから、
それから、有理関数を作ることができる。これから3rd微分を構成できる。
2ndは、3rdで構成した微分の正の点に関して偏微分することで、極の位数を上げることにより、構成できる。

超楕円曲線の場合は、a) Appendix Aに具体的に記述がある。

ここで、気になるのは、
1stおよび無限遠点でのみ極を持つ2ndについては、
超楕円曲線の場合、平衡測度dρとして、x^kdρの形、
すなわち、直交多項式の形になっている、ということ。
これから、
Krichever対応を直交多項式の言葉で翻訳できないか?
という疑問がでる。

* Jacobiの楕円関数
楕円関数入門(戸田盛和)参照

2010年10月12日火曜日

サマースクール復習その10

* equilibrium measure
[317] Equilibrium measures and capacities in spectral theory
(http://www.math.caltech.edu/papers/bsimon/p317.pdf)
の、Appendix Aの内容
μ:コンパクトサポート正測度
に対して、
Φ(μ):ポテンシャル
および
ε(μ):Coulombエネルギー
が定義される。

E:複素平面内のコンパクト集合
に対して、
C(E):対数容量
および、
ρ(E):平衡測度
が定義される。
対数容量はBorel集合に対して定義が拡張される。

PropA1:ポテンシャルΦ(μ)はC-supp(μ)で調和
Cで優調和で、下半連続
PropA3:Φ(μ)|supp(μ)が連続ならば、Cで連続
PropA4:C(X)>0ならばX内にサポートを持つ測度でそのポテンシャルがC上連続なものが存在する
CorA5:任意の測度について、ポテンシャルの値が∞の集合は容量0
PropA6:ε(μ)<∞の測度について、C(X)=0ならばμ(X)=0

容量0⇒ハウスドルフ次元0⇒ルベーグ測度0
という関係が成り立つ。
ThA7:共通のコンパクト集合にサポートが含まれる有限測度の弱収束について、
ポテンシャルのlimit infは収束先のポテンシャル以上で、容量0を除き統合が成り立つ
ThA8:Coulombエネルギーはweakly lower semi continuous
ThA9:容量正のコンパクト集合に対して、平衡測度は唯一つ存在し、
ε(ρ(E))=log(1/C(E))
が成り立つ

ThA10:容量正のコンパクト集合Eについて、Ω:(C-E)の∞を含む連結成分
(a)x∈Cについて、Φ(ρ(E))(x)<=log(1/C(E))
(b)x∈Eについて、容量0を除き等号が成り立つ
(c)x∈Ωについて、不等号が成り立つ
(d)supp(ρ(E))⊂∂Ω
(e)Φ(ρ(E))のCでの連続性はsupp(ρ(E))で常に等号が成り立つことと同値
(f)I=(a,b)⊂E⊂Rのとき、ρ(E)|Iはルベーグ測度に関して絶対連続で導関数は実解析的
ThA12:容量正のコンパクト集合Eについて
次数nの多項式の絶対値はΩにおいて、ポテンシャルを用いて上から評価できる

ThA13:E=∪[a_{j},b_{j}] 重ならない実閉区間の有限和のとき、
平衡測度は、超楕円積分になる。
ただし、その際にパラメータが測度のボレル変換の境界条件により定まる。

G(E)(x):Eに対するGreen関数を
G(E)(z):=-Φ(ρ(E))(z)+log(1/C(E))
で定める。
(a) C-Eで調和関数
(b) G(E)(z)-log|z|は∞で調和関数
(c) G(E)|∂Eは容量0を除き0
(d) G(E)(z)>=0 z∈C

E:単位円周のとき、平衡測度はルベーグ測度
G(E)(z)=log|z|
になる。

E=[-2,2]のとき、x(z)=z+1/zとすると、
単位円周上のルベーグ測度は、
(4-x^2)^(-1/2)dx
に移るが、これが平衡測度(定数倍を除く)

そこで、
E=[-1,-k]∪[k,1]
として、これを単位円周からの射影とみなす。
k->0のとき、Eは[-1,1]になる。
k->1のとき、Eは{-1}∪{1}になる。
対応する平衡測度を楕円積分を通して理解しようとすると
Jacobiの楕円関数がでてくる。

2010年10月5日火曜日

サマースクール復習その9

* x(z)=z+(1/z)による引き戻し
I=I_{1}∪I_{2}と二つの閉区間の和の場合に、
平行移動とスケーリングを施して、
I_{1}=[a1=-2,b1=2cos(θ1)], I_{2}=[a2=2cos(θ2),2]
となっている場合を考える。
さらに簡単のために、a2+b1=0の場合、すなわち、θ1+θ2=π
とする。
この場合、x(z)によるIの持ち上げは、
単位円周∂D上を、e(z)=exp(2πi(z))として、
A1_{+}=e([0, θ2])

C1=e([θ2,θ1])

A2_{+}=e([θ1, π])
A2_{-}=e([π, π+θ2])

C2=e([π+θ2,π+θ1])

A1_{-}=e([2π-θ2, 2π])

と分割する。
B1,B2をそれぞれC1,C2の端点を通って、∂Dと直交するD内の円弧、
R=[-1,1]
とする。
円弧四辺形A1_{+},B1,A2_{+},R
で囲まれた部分は、適当な等角変形により、長方形に移る。
円弧四辺形A1_{-},B2,A2_{-},R
も同様である。

区間Iに対する、スペクトル曲線の半分部分のフックス群一意化は、
上記の円弧四辺形で得られる。
だから、実際には、{i,-i}を不動点に持つ、Schottky一意化になる。

円弧四辺形のユークリッド座標系のとり方は、{i-i}にそれぞれ、
電荷1,-1をおいたときの複素ポテンシャルをみて、
等ポテンシャルと流線をみる、
ということに対応する。
実際、円弧四辺形を長方形に移す等角写像は、
U={z|0 < Im(z)<π}
H:上半平面
exp:U->H
w(z)=(z-i)/(z+i):H->D
として、w(exp(z)):U->D
の逆写像を考えればよい。
すなわち、主値を決めて、
p(z)=log((1/i)(z+1)/(z-1)):D->U
によって、写像を定める。
p(0)=(π/2)i
p(-i)=log((1/i)i)=0
p(i)=log((1/i)(-i))=log(-1)=πi
となる。
p(x+yi)=log{(-2y+(x^2+y^2 -1)i)/((x-1)^2+y^2)}
であり、
単位円上の円弧は直線に移る。
円弧B1は、
(x^2+y^2 -1)/2y=constを解いて得られる円周上にあるので、
直線に移る。

2010年9月27日月曜日

サマースクール復習その8

* inner function, outer function
Banach Spaces Of Analytic Functions
(http://www.archive.org/details/banachspacesofan032699mbp)
のChapter 5にinner function, outer functionによる、
bounded holomorphic function on D(unit disc)の分解が説明されている。

A={f|D上hoomorphic, ∂D上連続}
とすると、f->f|∂D, μ->ポアソン核との畳み込み
により、
Aと{∂D上の連続関数で正のフーリエ係数が消える}
が対応する。
連続性を緩めて、
H^{p}={∂D上のL^{p}関数で正のフーリエ係数が消える}
とする。
f∈H^{1}のとき、
F(z)=exp{1/(2π)∫{-\pi}^{\pi}(e^iθ+z)/(e^iθ-z) log(|f(e^iθ)|)dθ}
とすると、FはD上の正則関数でとくにH^1に入る。

inner function: D上正則 |値|<=1 |境界での値|=1
outer function: k(θ)(∂D上の可積分関数)を用いてF(z)=const * exp{1/(2π)∫{-\pi}^{\pi}(e^iθ+z)/(e^iθ-z) k(θ) dθ}
とすると、
H^1の関数はinner functionとouter functionの積で書ける。
さらに、
inner functionはBlaschke積とsingular function(原点で正,Dで零点を持たない)の積で書ける。(p67)

* Jacobi行列のHerglotz関数の分解
A canonical factorization for meromorphic Herglotz functions on the unit disk and sum rules for Jacobi matrices
(http://www.math.caltech.edu/papers/bsimon/p288.pdf)
では、
Meromophic Herglotz functionについて、
Blaschke積とouter functionに分解されることを示している。

そこで、問題になるのは、J:Jacobi行列、J1:Jの第一行、第一列を取り除いた行列
について、それぞれのm-functionの関係であるが、
z->(z+1/z)により、引き戻したM-functionをみると、
(1.31)のような関係がある。

* OPUCの場合のm-functionの類似
Analogs of the m-function in the theory of orthogonal polynomials on the unit circle
(http://www.math.caltech.edu/papers/bsimon/xlii.pdf)
の§6に、
- Caratheodry function
- Schur function
と、それが何の類似かがまとめられている。

* 疑問
小谷さんの予稿集では、
q:ポテンシャル
->
σ:スペクトル測度
->
m-function
->
W
と対応させていた。
J->J1とすると、m,m1が対応するが、
さらに、W,W1とGr_{res}(2)内の空間が動く。
finite gapの場合、これはisospectral torus内の移動を引き起こすが、
ちゃんとそれを書き下してみること。

とくに、q=-m(m+1)p (pはWeirestrassのペー関数)
というLame型のポテンシャルのとき、
モノドロミー群はSchwarz triangleとして書き下せる。
この場合、きちんと書き下せるだろうか?

2010年9月20日月曜日

サマースクール復習その7

* Segal-Wilsonから
- Scaling operator on H
R_{λ}f(z)=f(z/λ) λ∈C-{0}
-- λ->0とした極限は、z^iの形の式で生成される空間になる。
-- Prop2.8 R_{λ}Wはreal analytic loopからなる空間。
- τ関数の定義とdeterminant bundle
-- Prop3.3 (3.5) 具体的にτ関数を行列式で表す式
-- m-solitonに対応するτ関数の計算
2つの射影直線を2重点で貼り合わせている特異有理曲線をみている。
- 擬微分作用素による固有関数の表示
-- Prop4.7 Lψ=z^nψをformal Baker functionとして表す。
- Baker関数ψ_{W}(g,z)
- formal Poincare bundleにおけるτ関数の値
-- lem5.15
(z,ζ)において、δ関数と定数関数を入れ替える操作を行うのがq_{ζ}(z)
すなわち、Fourier向井変換を行っている、とみなせる。
- Krichever map
-- Prop6.2 (X,L,x∞,z,φ)とWとの対応
-- Remark6.7 n=2の場合 Xは超楕円曲線でx∞はWeierstrass pointになる。
- Burchnall-Chaundy
-- Prop6.11 [P,L]=0ならF∈C[ξ,η]が存在し、F(P,L)=0
L,Pの同時固有関数について、固有値はほとんどFの定める曲線上にある。
さらにL,Pのformal Baker functionを用いて同時固有関数を表現できる。
- Plucker座標とSchur関数
-- Prop8.2 H_{S}に対応するτ関数はSchur関数を用いて表現できる
-- Prop8.3 transversalなWのτ関数はPlucker座標とSchur関数を用いて表現できる

サマースクール復習その6

* right limit
Natural Boundaries and Spectral Theory
(http://arxiv.org/abs/1002.0823)

単位円D上のL^2正則関数fからDおよび∞を中心とする円D'上のL^2正則関数(f+,f-)
を作る操作として、right limitがある。
すなわち、
f=Σa_{n}z^nにたいして、|a_{n}|は有界であることから、
部分列n_{j}をとって、b_{n}:=lim {n->∞}{a_{n+n_{j}}}と定める。
f+(z)がDを超えて解析接続できる部分を見ると、
f+(z)+f-(z) = 0が成り立つ。
すなわち、reflectionless potentialの類似が成り立つ。
これは、(f+,f-)が表す∂D上の佐藤超関数のマイクロ関数の意味での特異スペクトルが、reflectionlessでない点、と言い換えられることを意味する。

有界Jacobi行列についても、{a_{n},b_{n}}から、同様にright limitをとることにより、a.c.スペクトルを見ることができる。
right limitのとり方はn_{j}の任意性から一意ではないが、
元のJacobi行列のa.c.スペクトルはright limitのa.c.スペクトルに含まれる。

2010年9月5日日曜日

サマースクール復習その5

* エルゴード性を持つ場合
Lyapunov Exponents and Spectral Analysis of Ergodic Schrodinger Operators: A Survey of Kotani Theory and its Applications
(http://arxiv.org/abs/math-ph/0605054)

Holder continuity of absolutely continuous spectral measures for one-frequency Schrodinger operators
(http://arxiv.org/abs/0912.3246)


* 絶対連続スペクトル
The absolutely continuous spectrum of Jacobi matrices
(http://arxiv.org/abs/0706.1101)
The absolutely continuous spectrum of one-dimensional Schr"odinger operators
(http://arxiv.org/abs/0710.4128)

Uniqueness of reflectionless Jacobi matrices and the Denisov-Rakhmanov Theorem
(http://arxiv.org/abs/1006.2780)

On the Measure of the Absolultely Continuous Spectrum for Jacobi Matrices
(http://arxiv.org/abs/1007.5033)

[169] (with P. Deift) Almost periodic Schrodinger operators, III. The absolutely continuous spectrum in one dimension, Commun. Math. Phys. 90 (1983), 389-411
(http://www.math.caltech.edu/SimonPapers/169.pdf)

* homogenius set
Cantor集合のような集合の補集合について、
普遍被覆面と保型形式をみている。

Asymptotic behavior of polynomials orthonormal on a homogeneous set
(http://arxiv.org/abs/math/0205332)

Remark on the paper "Asymptotic behavior of polynomials orthonormal on a homogeneous set"
(http://arxiv.org/abs/math/0611856)

* Killip-Simon theory

Sum Rules for Jacobi Matrices and Their Applications to Spectral Theory
(http://arxiv.org/abs/math-ph/0112008)
J0をChebyshev多項式に対応するJacobi行列として、
いつ、J-J0がHilbert-Schmidtになるか?
ということを問題にしている。

Sum rules and spectral measures of Schrodinger operators with L^2 potentials
(http://arxiv.org/abs/math/0608767)

サマースクール復習その4

* 半直線上のシュレーディンガー作用素の場合のポテンシャルとWeyl関数の対応

A new approach to inverse spectral theory, I. Fundamental formalism
(http://arxiv.org/abs/math/9906118)

A new approach to inverse spectral theory, II. General real potentials and the connection to the spectral measure
(http://arxiv.org/abs/math/9809182)

A-functionを間におくことで、逆スペクトル問題を解いている。

Connectedness of the Isospectral Manifold for One-Dimensional Half-Line Schrodinger Operators
(http://arxiv.org/abs/math/0307007)

この辺りのreviewは、
Inverse spectral theory as influenced by Barry Simon
(http://arxiv.org/abs/1002.0388)
にまとめられている。

サマースクール復習その3

* Chebyshev多項式
I=[-2,2]の場合、Dを単位円盤として、被覆写像
x:D->C∪{∞}-I
は、x(z)=z+z^(-1)
で与えられる。
境界での写像は、x(exp(iθ))=2cos(θ)となる。
鏡像の原理により、D'={z||z|>1}として、
xをx:D∪D'∪∂D=P^1->P^1
と拡張する。
これは、x:Gm->A^1
(Gm=C-{0} 乗法群において、元と逆元を同一視)
とも見ることができるから、
Gmの群構造と可換な多項式が存在すると思われる。
T_{d}(x(z))=x(z^d)
なる多項式が実際存在して、Chebyshev多項式と呼ばれる。

Chebyshev多項式が基本的なのは、
対角成分が0で、1こずれた成分がすべて1のJacobi行列J0
に対応している、
という点。
(ex. Silverman The Arithmetic of Dynamical systems Chapter6)
Gmではなく楕円曲線に対応するLattes mapでは、
似たような話はない。
これは、
Chebyshev多項式から生成される力学系のJulia集合が、I=[-2,2]
であること、
Lattes mapのJulia集合がP1全体になること、
が関係していると思われる。

I=2つの閉区間の和
をスペクトルにもつJacobi行列について、
そのisospectral torusとLattes mapに
なにかnon-tribialな関係があるか、
興味がでてくる。

サマースクール復習その2

* 簡単な場合の説明
シュレーディンガー作用素の離散版が、Jacobi行列。
さらに、(-∞,0]∪[0,∞)という時間の分解に対応して、
a)有限行列、
b)行列を正の添え字のみ考える半無限行列、
c)正負両方の添え字を考える両無限行列、
がある。

a)
Jacobi行列のスペクトル測度について、
essential supportが有限集合であることと、
Jacobi行列が有限行列であること、
は同値。
(ex. Deift Orthogonal Polynomial and Random Matrices 2.5)

b)
半無限Jacobi行列は、連分数と関係する。
(ex. Deift Orthogonal Polynomial and Random Matrices 4.3)
この連分数との関係は、
いわゆるm-functionをみることで具体的になる。

Jacobi行列のスペクトル測度の絶対連続部分のsupportが、
区間の有限和になる場合をみる。

区間の有限和をIとする。
C-Iは単位円を普遍被覆面に持つので、話を単位円上に引き戻して考えるのが効果的。

この方針で話を進めているのが、
Finite Gap Jacobi Matrices, I. The Isospectral Torus
(http://arxiv.org/abs/0810.3273)
で、m-functionを、被覆群に付随するテータ関数で具体的に書き表している。
この辺りの議論は、Gerritzen van der Putの本の議論とも類似していて、
Berkovich上半平面で同等の議論をしたくなる。
無論、そのためには、
- スペクトル測度
- Blashcke積
といった辺りをきちんと見る必要がある。

サマースクール復習その1

小谷さんのサマースクール講義の復習
(ただし、一番重要な3日目の講義を寝倒したため、
講演者の意図とずれた形で理解している箇所が多々あるはず)

* 参考
1次元シュレーディンガー作用素における無反射性に関連する話
(http://www.eonet.ne.jp/~kotani/kennkyuu.files/touhokuseminar.pdf)

* 問題
1次元シュレーディンガー作用素において、
スペクトルが絶対連続スペクトルのみの場合、
ポテンシャルは概周期関数であるか?

* 問題の根拠
- ポテンシャルqを与えたとき、
qが簡単な形の場合には、
qは概周期関数になる。

既存の例でわかっているのは、
- n-KdV(nodeを特異点として無限個許す有理曲線)
- 周期関数(無限種数も含む超楕円曲線)


* 根拠の佐藤理論による言い換え
- Segal-Wilson型の佐藤理論の一般論(記号はSWを流用)
W∈Gr(H)のΓ軌道をみる。
軌道が有限次元のとき、代数曲線Cが存在し、
一般化されたヤコビアンJac(C)について、
ΓW->Jac(C)という全射が存在する。
Wに付随するτ関数τ_{W}(g)はJac(C)上の概周期関数である、
テータ関数として実現される。

- シュレーディンガー作用素の場合の制限
1. ポテンシャルは実数値関数である
リーマン面が対応するとすれば、
それは実構造をもっている。
2. 作用素の主要項が-(d/dx)^2を持つ
したがって、リーマン面が対応するとすれば、
それは、射影直線への2重被覆となっている。
また、固有値の形はλ=-z^2。

- シュレーディンガー作用素の場合の制限から来るWの条件
1. Wは実構造と両立する必要がある
2. W∈Gr(2) i.e. z^2W⊂W

2010年8月26日木曜日

トポロジーからのループ群

* 無限対称積と中心極限定理
中心極限定理は、平均0、有限分散の独立同分布の和の極限分布の弱収束を主張する。
一方、Dold-Thomの定理は、
空間のホモロジーが無限対称積のホモトピー群で表せることを主張する。
Symmetric products of surfaces; a unifying theme for topology and physics
(http://arxiv.org/abs/math/0408417)

リーマン面の構造は、
基本的に一次の(コ)ホモロジー群のカップ積、
あるいは周期により統制されるので、
ガウス分布とリーマン面は類似のもの、とおもいたくなる。

また、
n-simplexは[0,1]のn次対称積なので、
∞-simplexを[0,1]の無限対称積と見ることは、
path空間を考える上で興味深いと思われる。

* Witt vector
WITT VECTORS OF NON-COMMUTATIVE RINGS AND TOPOLOGICAL CYCLIC HOMOLOGY
(http://www.math.nagoya-u.ac.jp/~larsh/papers/006/)
では、非可換な場合のWitt vector(この場合は環にはならない)を構成していた。
Frobenius写像、Verschiebung写像も定義される。


* ホッジ構造
Hodge to deRham スペクトル系列のE1退化について、
代数多様体の場合には、超越的な方法とは別に、
標数pを経由して、Cartier写像を見ることで示す方法がある。
ex. de Rham complex の分解について:Deligne - Illusieの結果の紹介(Frobenius写像の可換環論への応用)
(http://repository.kulib.kyoto-u.ac.jp/dspace/handle/2433/101722)

この方法は、
Non-commutative Hodge-to-de Rham degeneration via the method of Deligne-Illusie
(http://arxiv.org/abs/math/0611623)
により、
Hochshild cohomologyとCyclic cohomologyの関係
ついて、拡張された。

* 複素コボルティズム
Complex cobordism and algebraic topology
(http://arxiv.org/abs/0707.3216)
をみると、
1次元formal group lawと乗法的コホモロジーとが結びつき、
乗法的コホモロジーの親玉として、
複素コボルティズムが現れる。
formal groupの自己同型群Γは、
Aut(R((z)))の形をしている。
ここから自然にWitt環と結びつく。

1次元formal group lawのstackは、
elliptic curveの原点から作られるものを
含むため、
それに対応するコホモロジー理論
が気になってくる。

* 楕円コホモロジー
A Survey of Elliptic Cohomology
http://www-math.mit.edu/~lurie/papers/survey.pdf
では、
楕円曲線に対応するコホモロジー理論
についてのsurvey。
Derived algebraic geometryの言葉を用いている。

スキームがnon-reducedを含むことにより、近傍や交わり、特異点
の記述を透明にしたように、
higher homotopyを無限小近傍とみなすことで、
物事を透明にするようだ。

とくに5.2 Loop group representation
にある、elliptic curveが退化していく場合の扱い、
G-同変楕円コホモロジーがG-同変K理論に退化していく場合に、
Gの表現とLGの表現が結びつく、
という話が興味深い。

What precisely are $E_{\infty}$ ring spaces and $E_{\infty}$ ring spectra?
(http://arxiv.org/abs/0903.2813)
に、基本となる$E_{\infty}$ ringの解説がある。

* Topological Modular Form
Topological modular forms (aftern Hopkins, Miller, and Lurie)
(http://arxiv.org/abs/0910.5130)

楕円曲線のmoduliの大域切断が保型形式だったので、
Derived stackとしての楕円曲線のmoduliの大域切断
が何なのか気になってくるが、
それをTopological modular formと定義して、
Witten genus等との関係を説明している。

保型形式をp-adicに調べる際には
楕円曲線に付随する、p-divisible groupが役に立った。

Topological modular formの整数環上の基底や、
ヘッケ環との関係、Galois群との関係、
など、気になる。

また、楕円曲線がでてきたのは、
1次元formal group lawということからだったが、
高種数の曲線のヤコビアンからできるformal group lawと、
なんらかのコホモロジー理論を対応させて、
Derived Teichimuller空間なんていうものができると、
とっても楽しい。


* Witten genus
The Witten genus and vertex algebras
(http://arxiv.org/abs/0811.1418)

QUOTIENT OF A LOOP GROUP AND WITTEN GENUS
(http://adsabs.harvard.edu/abs/2001JMP....42.1364L)


LOG THH AND TC
(http://folk.uio.no/rognes/yff/rognes.pdf)

2010年8月17日火曜日

雑多な疑問

1. S^1^->S^3->S^2
KdVをループ空間からみると、meromorphic solutions of KdVは、
ΩU(2)->ΩS^2でパラメトライズされる。(Segal Integrable systems and inverse scattering p113)
これは、Derived alagebraic geometryの言葉でHopf fibrationとして表されるのだろうか?
ex. Loop Spaces and Connections(http://arxiv.org/abs/1002.3636)

2. elliptic KdVに対応するprobablity measureの具体形は何か?
refrectionless potentialに対応するprobablity measureとして、
n-solitonの場合は対応するOU processが具体的に構築されている。
n-solitonはcurveとしては、n点を単純特異点として張り合わせた有理曲線で、
一般ヤコビアンは(C*)^nであって、軌道の表現とグラスマン内の閉空間の表現が簡単にできた。
なので、それを変形してみたくなる。
そのままでは駄目なので、周期ポテンシャルとして変形をする必要がある。

ポテンシャルのほうで見れば、有限バンドが一つあって、一点が閉区間に伸びる変形であって、
curveは楕円曲線になる。
ポテンシャルの具体形は、当然ペー関数を極を持たないようにずらした形でかかれている。
実数上定義されているということから係数およびJ-invariantも制限されているはずで、
対応するWeyl関数と、それをHerglotz関数としてパラメトライズする測度を具体的に書き下す必要がある。
(やればできるはずなので、多分どこかですでに計算されていると思われる。)
Lyapunov spectrum of square-tiled cyclic covers
(http://arxiv.org/abs/1007.5330)
と何か関係付けられないか?

3. pathの持ち上げとガロア群の持ち上げの類似
不分岐拡大において、係数体のガロア群の作用を持ち上げることができる。
これと、1-variation pathの持ち上げを類似のものと見ると、
Lyons-liftは分岐拡大の類似とみなせる。
B_dRは、p冪で射影極限を作っていたが、p冪を積分に置き換えると、
Lyons-liftは、反復積分で射影極限を作って(非可換)環を作り、その代数を見ている、
ということになる。
p進Hodgeと類似の構成を辿って、Witt環に対応するもの、商体に対応するもの、
が存在するかどうか?が気になる。

2010年6月26日土曜日

topological recursion

複素平面内の(実一次元)analytic curveからτ関数が作られるが、
これは、τ=exp(F)なるいわゆるプレポテンシャルを与えていることになる。
疑問として、
F_{g}なる高次の量が定義できるかどうか?
というものがでてくる。
まずは、コンパクトリーマン面の場合についてみる必要がある。

Geometrical interpretation of the topological recursion, and integrable string theories
(http://arxiv.org/abs/0911.5096)
において、コンパクトリーマン面の場合では、
スペクトル曲線Sと{F_{g}}
から、Jacobian内に値を持つ写像を数え上げる対応を作っている。

CFT and topological recursion
(http://arxiv.org/abs/1006.2028)
においては、
CFTの側からLarge N展開をみている。

2010年6月13日日曜日

未読ながら興味を持った文書へのリンク

以下、未読ながら興味を持った文書へのリンク。

Random matrices and asymptotic harmonic analysis (Jacques Faraut):
(http://www.math.uni.wroc.pl/tok/lectures.php?action=5#pok_5)

Infinite Dimensional Harmonic Analysis and Probability
(http://people.math.jussieu.fr/~preprints/pdf/356.pdf)

DIRICHLET FORMS ON LOOP SPACE
(http://math.northwestern.edu/~getzler/Papers/dirichlet.pdf)

Structures of boson and fermion Fock spaces in the space of symmetric functions
(http://arxiv.org/abs/math-ph/0306077)

Mixed Hodge polynomials of character varieties
(http://arxiv.org/abs/math/0612668)

Feynman Diagrams and Lax Pair Equations
(http://arxiv.org/abs/0905.2271)

Choix des signes pour la formalité de M. Kontsevich
(http://math.univ-bpclermont.fr/~manchon/biblio/amm2000.pdf)

Exponential renormalization
(http://fr.arxiv.org/abs/1003.1679)

C*-algebras associated with integral domains and crossed products by actions on adele spaces
(http://arxiv.org/abs/0906.4903)

The Theorem of Jentzsch--Szego on an analytic curve. Application to the irreducibility of truncations of power series
(http://arxiv.org/abs/1004.3813)
Soliton equations, vertex operators, and simple singularities
(http://arxiv.org/abs/0909.4032)
Total positivity and cluster algebras
(http://arxiv.org/abs/1005.1086)

From Random Matrices to Quasiperiodic Jacobi Matrices via Orthogonal Polynomials
(http://arxiv.org/abs/math-ph/0509029)
An L2 theory for differential forms on path spaces I
(http://arxiv.org/abs/math/0612416)

A Note on Gaps of Hill’s Equation
(http://www.poschel.de/pbl/gaps-1.pdf)

Geometric Weil representation: local field case
(http://arxiv.org/abs/0705.4213)

Weil representation, Howe duality, and the theta correspondence
(http://www.math.tifr.res.in/~dprasad/)

Infinite-dimensional vector bundles in algebraic geometry
(http://www.math.uchicago.edu/~mitya/langlands.html)

Convolution symmetries of integrable hierarchies, matrix models and $\tau$-functions
(http://arxiv.org/abs/0901.0323)
* Paugam lecture
http://www.math.jussieu.fr/~fpaugam/documents/enseignement/master-mathematical-physics.pdf

* Dubrovin lectures
- http://www.math.tu-berlin.de/geometrie/GI08/slides/Mertens.pdf
- Integrable Systems and Riemann Surfaces
http://people.sissa.it/~dubrovin/rsnleq_web.pdf
- 2D Topological Field Theory and Integrable Systems
http://www.lpta.univ-montp2.fr/users/terras/EUCLIDschool/lecture1.pdf
and
- Workshop on Geometry and Physics of the Landau-Ginzburg model
http://www-fourier.ujf-grenoble.fr/~chiodo/abstracts.htm

2010年6月7日月曜日

analytic curveのtau関数

$\tau$-function for analytic curves
(http://arxiv.org/abs/hep-th/0005259)
には、C-単連結領域のグリーン関数の展開から初めて、analytic curveに付随するτ関数と、
Schwarz関数、Symplectic構造が記述されていた。

Free bosons and tau-functions for compact Riemann surfaces and closed smooth Jordan curves I. Current correlation functions
(http://arxiv.org/abs/math/0102164)
では、上記のτ関数を、KNTYのτ関数と比較して、CFTの立場から系統的に記述している。
この論文のIntroductionの内容は、
(代数的整数論からリーマン面、代数曲線という順序で学習した個人的な経緯からも)
しっくりくる内容。
経路積分で記述した内容と、それと等価であるが数学的にきちんと定義した内容が、
併記されている点に、
Diracのδ関数を自由に使えなかった時代と同等のもどかしさ、が現れている。

さらに、C1級のJordan曲線に対して、同様のτ関数を定義しているのが、
Conformal Mappings and Dispersionless Toda hierarchy
(http://arxiv.org/abs/0905.3599)
になる。
2次元戸田場、に制約条件がついたもの、として捉える必要があるようだ。

以上のことから、次のような夢想をして見る。
Higgs束のmoduliはrelative Grassmannianに埋め込むことができ、
KP-flowをこの部分に制限すると、Hitchin-integrable systemになる。
(Hitchin integrable systems, deformations of spectral curves, and KP-type equations(http://arxiv.org/abs/0801.0015))
だから、安直には、universal teichmuller空間におけるKP-flowは、
無限種数のRiemann面のHitchin integrable flowを定める、と思いたく、
そうすると、軌道はJacobian、すなわち、Hilbert空間をlatticeで割ったもの、
ということになるから、これをWiener空間のCameron-Martin空間からの商空間、とみなしたくなる。
すなわち、抽象Wiener空間の族があって、Cameron-Martin空間の入り方が佐藤グラスマン内の超平面の入り方と対応するような状況があってほしい。

--

Whittaker-Hill equation and semifinite-gap Schroedinger operators
(http://arxiv.org/abs/0906.1697)
にsemifinite-gapのHill方程式の計算例があった。
肩のこらない計算で、楽しい。

2010年5月24日月曜日

Wiener空間とHitchinハミルトニアン

Geometry of Differential Space
(http://projecteuclid.org/DPubS?service=UI&version=1.0&verb=Display&handle=euclid.aop/1176996973)
では、
S^n(n^(1/2)):半径n^(1/2)のn次元球面、
でn->∞とすると、Wiener空間と同一視できる、
という記述があった。

ThetaⅡ(Mumford)
もしくは、
Spectral curves, algebraically completely integrable Hamiltonian systems, and moduli of bundles
(http://arxiv4.library.cornell.edu/abs/alg-geom/9507017)
の3.3,3.4,4.3において、
n:有限の段階では、
TS^nをハミルトニアンが与えられたシンプレクティック空間
とみていた。
そこでは、周期スペクトルを与えるごとに、補助スペクトルが定まって、スペクトル曲線が決まり、
そのJacobian-Θ因子がflowとして与えられる。

n->∞として、MTの状況とすると、これは、Wiener空間の接空間にハミルトニアンが与えられた状況と思える。
そこで、抽象Wiener空間上のハミルトニアンを、直交基底に対して、
収束条件をつけた無限和で与えたとき、
有限の話がどこまで拡張できるか?
という問題意識がある。

2010年5月17日月曜日

2+1

Nag-Sullivanには、
unramified coveringの射影極限をとることで
Cantor集合をfiberに持つRiemann面、
という記述があった。

(正当化されない)思考実験をしてみると、

S^1のp冪被覆によって、Z_{p}をfiberにもつS^1ができるが、
これを(fiber側を何らかの形で二つくっつけて)P_1(Q_p)をfiberに持つ、P_1(R)とみなす。
これを、∂H(Qp)をfiberに持つ、∂Hとみなすと、
ある3次元位相空間Yが存在して、∂Yがfiberを∂H(Qp)にもつ∂H上の空間、になる、
と思いたい。
Yが∞-adicとp-adicをつなぐ空間になっている、とみなす。
∞-adicをbaseとみると、fiberはp冪被覆であって、
p-adicからみると、fiberは実多様体になっている。

以上の妄想からはなにもでてきそうにないが、
2+1=3次元というものが、pと∞の間の2点相関関数というべきものを計算するときに必要そうだ、
という気がしてくる。

no wandering theorem

no wandering theoremは、
- 広義一様収束についての完備性
- 適当な部分集合について、擬等角写像からの全射がある
- 与えられた性質を満たす擬等角写像の空間は有限次元
を示して、
wandering domainを持つとすると、無限次元の集合が作られて矛盾、
という論法を取る。

擬等角写像に対応するnon archimedianのオブジェクトが、
special fibreを固定した変形、すなわちガロア表現の変形、と解釈すると、
Benedettoのnon archimedianの場合のno wandering diskに関する定理
(ex. The Arithmetic of Dynamical Systems(Silverman) Th5.55)
を見通しよくできないだろうか?

2010年5月16日日曜日

Liouville方程式

Cauchy-Riemann方程式を変形した、
w=zの共役として、φ(z,w)に関する方程式、
exp(φ)=∂_{z}∂_{w}φ
をLiouville方程式と呼ぶ、と、共形場理論(山田)7.8に記述があった。
一般解は、
正則関数f(z)と反正則関数g~(w)を用いて、
exp(φ)=2*f'(z)*g~'(w)/((1-f(z)g~(w))^2)
と記述されるが、
これはg(w)=1/g~(w)として書き直すと、
exp(φ)=2*f'(z)*g'(w)/((f(z)-g(w))^2)
となるので、
(f,g)をconformal weldingにもつT(1)の点において定義された、
K3(z,w) (TT0406408v1 p19)と思える。

φ(z)=φ(z,w)(wはzの共役)からMiura変換により、
u(z) = 1/2φ'(z)^2-φ''(z)
とすると、u(z)=-S(f)であり、正則関数となる。共形場理論(7.168)

τ=f(z)を座標系として、|dτ|^2をRiemann計量としたいが、
exp(φ)|dz|^2とのずれが与えられている、と解釈すればよいのだろうか?

このLiouville方程式をA1型のルート系に付随する戸田格子模型、とみなして、
Cartan部分代数に値を持つ多項式関数上にPoisson代数の構造をいれて、
そのIntegrals of motionを計算しているのが、
Integrals of Motion and Quantum Groups
(http://arxiv.org/abs/hep-th/9310022)
で、結果はVirasoro代数が出てくる。

Q:CFTを摂動により変形した際、保存量が無限個存在したまま変形をすることが可能なのだろうか?
くりこみ群の構造とT(1)における作用素と何らかの対応がつくか?

2010年5月12日水曜日

theta関数

theta関数は、
1. 周期
周期行列を分散に持つガウス分布の、A-トーラスへのPushForward
2. ボゾン
自己双対位相アーベル群のLatticeを固定して、Heisenberg群のユニタリ表現
3. フェルミオン
admissible basisを固定して、グラスマン多様体上の双対Determinant束の大域切断
の見方ができる。

* MTでは、1の見方で、Hill's surfaceのtheta関数を定めている。
- 周期ポテンシャル<->周期スペクトル+補助スペクトル
周期ポテンシャルは周期1の周期関数qを用いた極限点型の自己共役作用素、
L=-(d/dx^2)+qの端点(-∞,∞)に対するスペクトルで、
Lax形式で定義されるKdV-flowで不変である。
一方、補助スペクトルは端点0,1でのDirichlet条件に対するスペクトルで、
これらはKdV-flowで不変でない。
周期スペクトルは基本解の周期1に対するモノドロミー行列の判別式Δの解であり、
周期スペクトルを与えるとΔが定まる。
補助スペクトルを与えると基本解のうちの一方の1での値が定まる。
- 正準共役変数
周期的戸田格子では、非線形格子力学(戸田)の5章にあるように、
Floquet指数を用いると、これらは、
補助スペクトルに対する正準共役になる。
Q:これはMTでは書かれていないが成り立つのか?
- KdV-flow
周期ポテンシャルは、周期スペクトルを指定すると、KdV-flowにより、transitiveに移る。
これは、ヤコビアン多様体の実トーラスに一致する。
ヤコビアン多様体を定義するためにLattice構造は周期ポテンシャルを用いて収束条件により規定される。
- 周期ポテンシャルの微分条件
微分方程式と固有値展開(小谷)定理4.15(Marchenko-Ostrovsky)では、
周期ポテンシャルの微分可能性と周期スペクトルの和の収束条件の対応、
が記述されていた。(この定理がどこで証明されているのか記載がないので、ずっと気になっている。)
SWProp2.8では、real analytic loopが主な対象である旨の記述がある。
Q:finite gapでない場合の周期ポテンシャルの軌道が張る閉空間はどのようなloopに対応するのか?


* NSによる、H=H^1/2をシンプレクティック空間とみなす方針では、
MTのポアソン構造から定数部分をはずしているが、これは自然。
HはHeisenberg群に拡張される。
Hの基底{z^k}を用いて値の積によりformalには環の構造を入れることができる。
Q:真空期待値をとることでCFTでは収束の議論を無視できるが、今の場合はSchwarzの不等式により収束が言えるか?
Q:2の方針でtheta関数を定義するためには、HにおけるLattice構造として、何をとればよいのか?


* TTによる、周期写像の埋め込みでは、
3による定義ができることを示している。
Q:SWの§9のtheta関数とτ関数の対応の証明の議論がどこまで適用可能か?

MT:McKean-troubowitz
NS:Nag-Sullivan
SW:Segal-Wilson
TT:Teo-Takhtajan

2010年4月26日月曜日

無限種数のリーマン面

Hill作用素では、自然に無限種数のリーマン面が必要となり、

HILL'S SURFACES AND THEIR THETA FUNCTIONS
(http://www.ams.org/journals/bull/1978-84-06/S0002-9904-1978-14542-X/S0002-9904-1978-14542-X.pdf)
で、テータ関数が定義され、ヤコビ多様体とAJmapが定義されていた。

一方、
ポテンシャルの周期を1次元ではなく2次元として、実代数曲線の直積を得ようとすると、
E^{3}$ にはめこまれたトーラス上のDirac 作用素およびその複素Fermi 曲線
(http://www.kurims.kyoto-u.ac.jp/~kyodo/kokyuroku/contents/pdf/1527-6.pdf)
WILLMORE CONJECTURE AND INTEGRABLE SYSTEMS
(http://math01.sci.osaka-cu.ac.jp/~ohnita/paper/RIMS07(Kokyuroku).pdf)
という話が出てきて、
リーマン球面上のHiggs束のモジュライが関係してくる。

リーマン面について

Riemann面上のベクトル束に対し、その上の接続全体の空間を考え、シンプレクティック構造をいれる、
という話がある。
運動量写像は、曲率で与えられるので(シンプレクティック幾何学例3.11)、平坦接続のモジュライ、
すなわち基本群の表現のモジュライという有限次元の空間が現れる。

複素代数曲線として、モジュライのコホモロジーの計算について書かれているのが、
Yang-Mills theory and Tamagawa numbers
(http://arxiv.org/abs/0801.4733)
で、代数群の玉河数がどう関連しているのか興味があるところ。

一方、素朴な疑問として、
基本群の表現というのは、非常に基礎体に依存している。
これが、p進であれば、topologicalな基本群とetale基本群の間にあるtempered基本群について、
モジュライを見るべきなのだろうが、
そうすると、接続、すなわちCrystalについて、モジュライを見る必要がある。
そもそも、シンプレクティック簡約の技法がp進で存在するとも思えないので、
平坦接続のモジュライ、とは何を指すのだろうか?
p進でYang-Millsのような構成は存在するのだろうか?

また、
複素数体Cにおいては、Rがガロア不変な部分体として入るが、
これはP1(C)⊃P1(R)とも思える。
一変数佐藤超関数は、
A-module: 関数の層
B-module: 相対コホモロジーとして定義される超関数の層
C-module: マイクロ関数の層
として、正則関数の言葉で定義された。(佐藤超関数論入門(森本))

p進体上で、同様の話をするのに必要な関数解析は、
Nonarchimedean Functional Analysis
(http://www.math.mcgill.ca/bcais/Berkovich/Schneider-Nonarchimedean_functional_analysis.pdf)
で準備されている。
http://swc.math.arizona.edu/aws/07/DasguptaTeitelbaumNotesMar10.pdf
に、
A-module, B-moduleに相当する
Morita dality
が記述されている。
これは、de-ShalitのreviewでColeman積分とみることができ、Berkovich空間上の積分とみなせるから、
では、C-moduleはどうなるの?
という疑問がわく。

2010年4月8日木曜日

Ahlfors-Weillの定理

* Ahlfors-Weillの定理(タイヒミュラー空間論 第6章定理6.9)
では、
与えられた正則2次微分φに対して、
シュワルツ微分{f,z}=φ(z)を満たすfを構成するのに、
-φ/2をポテンシャルとするSturm-Liouville作用素
L=-∂^2+u , u=-φ/2
を用いている。

Lη=0
の独立な解η1,η2より、f=η2/η1
とおけば、{f,z}=φを満たす。

"Geometry of 2d topological field theories"
(http://arxiv.org/abs/hep-th/9407018)
AppendixC remarkC.1にあるように、
1次元複素多様体上で、
正則アファイン接続から曲率をとることにより射影接続への写像が存在し、
(いわゆるMiura変換)
コンパクト双曲型リーマン面の一意化問題の場合は、
flatな座標<->一意化の座標であって、それをzとすると、
u(z)が、射影接続f(z)に対応する曲率となり、
これが正則2次微分に対応する。
また、射影接続f(z)の
PGL(2)におけるモノドロミー表現が元のリーマン面の基本群に対応する。


* sl(2)-oper
"opers"
(http://arxiv.org/abs/math/0501398)
では、
sl(2)-operを用いて上記の話を解釈している。
2.6,2.7。

* higher Teichmuller theory
"Moduli spaces of local systems and higher Teichmuller theory"
(http://arxiv.org/abs/math/0311149)
においては、
G=PGL(2)をより一般化して、centerがtrivialな半単純代数群Gに対して、
基本群のGへの(positive)表現のmoduliによりhigher Teichmuller space
を定義している。

* 固有束(indigenous bundle)
"通常p 進曲線の理論について"
(http://www.kurims.kyoto-u.ac.jp/~motizuki/Tsuujou%20p-shin%20kyokusen%20no%20riron%20(1997nen%20izen).pdf)
をみると、
p進体上の代数曲線の"一意化"を射影接続に付随するP1バンドル、
固有束の話に置き換えて議論している。
固有束は代数的に定義できてしまうため、複素数体上であった擬等角写像の話がでてこない。

* p進周期
"Period mappings and differential equations. From $\bf C$ to $\bf C_p$"
(http://arxiv.org/abs/math/0203194)
では、p進一意化を持つMumford curveの場合に
ⅢProp4.3.3(複素数体上),Prop4.6.3(p進体上)
で一意化に対応する微分方程式を与えている。
いずれにせよ、複素数体上と異なる点は、
周期を扱うためには、周期環を持ち出さないと足りない、
ということ。Ⅰ4.2-4.5。

2010年3月23日火曜日

プリム形式とGrunsky作用素

Nag-sullivanのK(x,y)のTTにおけるGrunsky operatorによる解釈を見ると、
次の疑問がわく。

KNTYにおいて、リーマン面上の自由フェルミオン場を作るために必要な道具は、
- 正則1形式
- 第2種微分の母関数であるプリム形式
- 局所座標
- Abel-Jacobi map
- スピン構造
であり、
H^1/2において、
正則1形式は、対応する調和微分、
プリム形式はK(x,y)、
局所座標は単位円盤の座標
を対応させることができる。
では、
1. 普遍タイヒミュラー空間上に自由フェルミオン場を構成することができるだろうか?
その際、タウ関数、すなわちテータ関数は(Banach多様体上の正則関数として)意味のあるものとなるだろうか?

2. 1がokであったとすると、
A Brownian Motion on the Group of Diffeomorphisms of the Circle
(http://arxiv.org/abs/0909.3881)
にあるブラウン運動のグリーン関数とテータ関数はラプラス変換などで対応するようにできるだろうか?

3. 具体的に相関関数を計算することができるか?

2010年3月8日月曜日

ちょっとした疑問

単連結領域Xに離散群Γが不連続に作用しているとして、
F=X/Γの基本領域内に、点pを固定し、
各点q∈Fに対してpとqを結ぶF内の可縮なpath γ(q)を用意する。

(X/Γ,p)に対してブラウン運動B_tが定義できるとすると、
ω(t)をγ(w(t))で結んでできるclosed pathのホモトピー類をとることにより、
X/Γの基本群(i.e.Γ)の上にμ_t:確率測度の族
が定義される。(基本領域の境界についてはとりあえず無視)

* 単純にΓの基本生成元の集合に確率測度をいれて乱歩をおこなうと、
時間が小さいとき原点から離れていることはないが、
ブラウン運動から来る場合は、微小時間でも遠くにいる場合がある。
この違いは、中心極限定理の形で理解できるのだろうか?

* ドリフト項を持つ伊藤拡散過程で同様のことを行うと、
離散群上にドリフト項を持つ拡散過程が定義できることになるのか?
* そのさい、ギルサノフの定理のような変換は離散群上でもおこなえるのか?

上記の対応を、
たとえばBerkovich空間の数論的基本群の上で展開できたとすると、
空間の基本群上の測度で割ることによりガロア群上の拡散過程が定義できないか?
というのが疑問。
そもそも数論的基本群にどう拡散過程を定義するか?が問題なので、そのままでは数学になっていない。

変形ベッセル関数

"Brownian Motion and Stochastic Calculus 2nd edition"(Karatzas & Shreve)
の4.4 The formulas of Feynman and Kac
に、Δu=0の解から、(Δ-α)u=0の解(αは定数)をラプラス変換を使用して形式的に求めるやり方が載っていた。(αが定数でなく非負値関数の場合は、5.7.10にあるkillingの考え方が必要になる。)

実2次元Euclid平面の場合、Δu=0は、変数分離をして、極座標(r,θ)に直してみると、
D=r*d/drとして、各νごとに、D^2f(r) = ν^2 * f(r) を解くことになる。
すなわち、r^(ν),r^(-ν) (ν != 0) 1,log(r) (ν=0)
により解の基底が定まるので、この組み合わせを係数に持つθに関するFourier級数が解になる。

Δu=m^2*u(m>0は定数)について同様の事を行うと、
D^2f(r) = (ν^2 + (m*r)^2)* f(r)を解くことになり、
これは、
D{r^(ν)*exp(m*r)}=(ν+m*r)*r^(ν)*exp(m*r)
D{r^(ν)*exp(-m*r)}=(ν-m*r)*r^(ν)*exp(-m*r)
D{r^(-ν)*exp(m*r)}=(-ν+m*r)*r^(-ν)*exp(m*r)
D{r^(-ν)*exp(-m*r)}=(-ν-m*r)*r^(-ν)*exp(-m*r)
を組み合わせることになる。
でてくるのは、変形ベッセル関数になるのだけれど、
mによる変形が、r^(ν)をr^(ν)*exp(m*r)に移すことに対応する。

ホロノミック量子場(4章)に、Dirac方程式としてνがZ+1/2の場合に解を求めているが、
そのからくりが少し理解できた気がする。

さて、
ホロノミック量子場で、mがでてくるのは、
m=0がCritical、すなわちイジング模型の格子が退化して有理曲線になっている場合、
m>0がイジング模型の格子が楕円曲線になっている場合
であって、
閉リーマン面の変形を
a)擬等角写像によるsmoothな変形
b)退化
に分けると、b)に対応している。

2010年3月1日月曜日

universal Teichmuller空間のperiod mapping

Teichmüller Theory and the Universal Period Mapping via Quantum Calculus and the $H^{1/2}$ Space on the Circle
(http://arxiv.org/abs/alg-geom/9310005)
では、
円周上の関数で平均0、1/2階微分が2乗可積分なもののなすヒルベルト空間として、H=H^(1/2)をとりあげ、
-内積と適合する複素構造としてヒルベルト変換J、シンプレクティックフォームSが定まる
-Diff(S^1)の作用を、QS(S^1)の作用に拡張できる
(ポアソン積分によりP:H->D(単位円盤上の調和関数で原点で0、Dirichletエネルギー有限な関数のなす空間)なるisometryが定まるが、この同一視とDicichletの原理による調和関数のDirichletエネルギーを用いた特徴づけにより、Dirichletエネルギーの評価と擬等角写像の定義を結びつける)
-QS(S^1)の作用はシンプレクティックフォームを保つ
ということを示し、これらを用いて、
Hをuniversal Riemann surfaceの1次元コホモロジー群とみなして、そのホッジ分解を明示していた。
また、universal Teichmuller空間T(1)のperiod mappingを、Sp(H)/Uを行き先として定義し、
それが単射であることを示していた。

この話について、次のような点に興味を持った。
-境界を持つRiemann面も含んでいること
-genusを固定していないこと
-関数環としての代数構造が強く効いていて、メビウス変換に対する不変性からシンプレクティック形式を保つことが出ること
-ダグラス積分が、核関数として微分ではなく差分を要請していること

genusを固定していない、と言う点は、
一つにはリーマン面の退化の間に成り立つ漸化式が綺麗にかけること
(ex. Polynomial recursion formula for linear Hodge integrals)
を思わせるし、
genusをp進補間して増大させていく極限というものを考えることができるのでは?
とも思わせる。

p進の場合にどう考えるべきかの辞書として、
Conformal and quasiconformal categorical representation of hyperbolic Riemann surfaces
(http://projecteuclid.org/DPubS?service=UI&version=1.0&verb=Display&handle=euclid.hmj/1171377082)
をみてみる。

2010年2月18日木曜日

Coleman積分とグラフ上の調和関数

The Frobenius and monodromy operators for curves and abelian varieties
(http://arxiv.org/abs/math/9701229)
に基づいて、
Coleman Integration Versus Schneider Integration on Semistable Curves
(http://www.ma.huji.ac.il/~deshalit/new_site/files/Coates.psをhttp://www.ps2pdf.com/convert.htmで変換)
に、semi-stable reductionをもつcurveのHodge decompositionの様子が記述されていた。
Mumford-curveの場合は、degeneration graphのgenusとcurveのgenusが一致するので、
簡潔になり、
グラフ上の調和関数、すなわちresidueを用いた計算により、第2種微分(modulo exact)が記述できる。

Berkovich空間としての積分は、
Integration of One-forms on P-adic Analytic Space(http://www.wisdom.weizmann.ac.il/~vova/)
Th4.3.1およびCor 4.3.5
に記載されている。
(ただ、この記述では、Frobenius作用、モノドロミー作用はでてきていない。)

2010年2月16日火曜日

正則写像の極限としてのR-tree

* 射影直線のBerkovich空間を有限R-treeの帰納的極限としての上半平面と
その境界として捉えて、
この中に、
有限安定グラフの普遍被覆として生じる有限R-treeを考え、
その(無限)(分岐)被覆R-tree T
を対象としたい。
-Tが存在できるためにはどのような条件が必要か?
-Tはどのような力学系に対応するか?
というのが素朴な疑問となる。

-Tにおける被覆の様子と基本群の作用は両立している必要があるから、もとの有限安定グラフを特殊ファイバーの双対グラフとして持つMumford曲線の基本群とどう対応するか?
という疑問もある。

* 複素領域において、平面に埋め込まれたsimplicial R-treeの固定点を持つ(無限分岐)被覆について、
Ribbon R-trees and holomorphic dynamics on the unit disk
(http://www.math.harvard.edu/~ctm/papers/home/text/papers/rtrees/rtrees.pdf)
では、以下のようなことが述べられていた。
- Ribbon R-treeの被覆f(T,p)->(T,p)ではSchwarz lemmaが成り立つ。すなわち被覆写像は距離を増大させない。
- Tがminimality条件を満たすとき、Tはcoreから復元できる。
ただし、coreとは、pとpost-critical setのconeのfによる逆像。
つまり、Tを制御する情報はcritical points。
- 単位円盤に双曲距離を入れて正則写像としてのBlaschke積をみると、リスケーリングによって、
post-critical setsたちの距離を無限大に近づけていくことで、双曲多角形がR-treeにGromov-Hausdorff収束する。すなわち、正則写像の幾何的極限としてR-treeの被覆が得られる。
- 一方、Blaschke積の零点を絶対値1に近づけると次数が下がる。その意味で代数的な極限が存在する。
- 代数的極限における次数の退化は、境界である単位円周上の正因子によって補完される。
代数的極限が幾何的極限と対応する十分条件が、次数2の場合に述べられている。

p進では、当然そのままでは何も移行できないが、
複素数では、上半平面と単位円盤が対応して、Blashchke積は、ガロア作用である複素共役を用いて定まった。
p進において、単位円盤もどきは存在しないが、ガロア作用を用いてBlaschke積に対応するよい写像を作れないか?
リスケーリングによって境界上の点の距離を無限大に持っていく、という操作を作ることができないか?
というものが気になる。

2010年1月26日火曜日

Teichmuller curve

Trees and the dynamics of polynomials
http://www.math.harvard.edu/~ctm/papers/home/text/papers/trees/trees.pdf
をみると、
複素解析的にtreeと有理関数から生じる力学系を関連付けることができるようだ。

また、複素解析的には、
Teichmuller curveという概念がある。
リーマン面からリーマン面のmoduliへの写像がlocal isometryという条件によって定義されるが、
Rigidity of Teichm¨uller curves
(http://www.math.harvard.edu/~ctm/papers/home/text/papers/rigidity/rigidity.pdf)
によるとTeichmuller curveは変形を持たず、数体上で定義される。
逆に、
Every curve is a Teichmuller curve
(http://arxiv.org/abs/0909.1851)
によると、
数体上定義される代数曲線は、Teichmuller curveと双有理同値になる。
こちらは、P1-{0,1,∞}上の分岐被覆として実現できるというBelyiの定理を用いている。

数体上の代数曲線、という概念が解析的に特徴付けられたように見えるが、
これは、何らかの変分法として特徴付けられるだろうか?

Teichmuller curveをさらにJacobianをとって、A_gへの写像とみなすと像がどうなるか?
ということに関して、
Variations of Hodge structures of a Teichmuller curve
(http://arxiv.org/abs/math/0401290)
があった。
Higgsバンドルの言葉で特徴付けている。
特徴づけの中にreal multiplicationが現れるので、
志村曲線であるTeichmuller curveはどれだけあるか?
と気になるが、
それは、
Shimura- and Teichmueller curves
(http://arxiv.org/abs/math/0501333)
で極めて少数であることが示されている。

---
三角群を絡めたサーベイとして
Teichmuller spaces, triangle groups and Grothendieck dessins
http://www.mth.kcl.ac.uk/staff/wj_harvey/HstrasL.pdf

2010年1月23日土曜日

スペクトル曲線と高さ関数

Canonical height and logarithmic equidistribution on superelliptic curves
http://arxiv.org/abs/0911.1271
では、
hyperelliptic curve(およびその拡張)の場合に、
Theorem A: Neron-Tate heightはGreen関数のlocal積分の和で表せる
Theorem B: Aの積分は、ヤコビアン多様体の等分点での値を用いて、近似できる
ということが示されていた。

TheoremAの根拠となるのは、アラケロフ幾何でのpairingとarithmetic Hodge index theoremで、
Admissible pairing on a curve
(http://www.math.columbia.edu/~szhang/papers/apc.pdf)
が元になっている。

TheoremBは、Krichever mapを使って佐藤グラスマン多様体にヤコビアンを埋め込む手法とほぼ同一の方法で、テータ因子の引き戻しの局所定義イデアルを具体的に書き下し、等分点に関する多項式分の増大度を
打ち消し、
さらに、Faltingsによるdiophantine apploximationを用いて、積分への近似における評価をしている。

TheoremBのほうは、射影直線の分岐被覆として曲線を実現、すなわちスペクトル曲線であれば、
証明が通用すると思われる。

リーマン面上の自由フェルミオン場についてのKNTYの論文では、アラケロフ幾何と自由フェルミオン場の類似が言及されていたが、
Berkovich空間を通して、よりいっそうつながりが認識される。
むしろ、あいまいな疑問として、
- 共形普遍性とは何か?
- 数論性はくりこみの不動点をあたえるのか?
というものが残る。

2010年1月6日水曜日

グラフの退化

曲線のモジュライのコンパクト化に関係して、
- グラフの一つの辺が退化していくことを、Mumford curveの退化として記述できるだろうか?
という疑問がわく。

安直に考えると、
Discrete groups, Mumford curves and Theta functions
(http://archive.numdam.org/ARCHIVE/AFST/AFST_1992_6_1_3/AFST_1992_6_1_3_399_0/AFST_1992_6_1_3_399_0.pdf)
にあるtheta関数をΓから乗法群へのHomをとるだけではなくて、
Γ+から体へ0も許してmonoidのHomをとって、
log構造を考えればよさそうだ、
と想像できる。

では、曲線の退化をlog構造で記述するためのわかりやすい説明はどこかにないだろうか?
まずは、
Logarithmic geometry
(http://folk.uio.no/rognes/yff/ogus.pdf)
で勉強してみることにする。

もしこれができたら、対応してBerkovich空間が構成できるかどうか?という問題が生じる。
また、
curve全体では面倒そうなので、超楕円曲線に限ってモジュライを考えるとすると、
periodの性質を見ないといけない。
"Schottky Groups and Mumford Curves"(Gerritzen & van der Put)p282
にWhittaker groupがtotally split hyper elliptic curveに対応する
という記述があり、
Universal periods of hyperelliptic curves and their applications
(http://www.kurims.kyoto-u.ac.jp/~kyodo/kokyuroku/contents/pdf/1002-9.pdf)
に超楕円曲線の場合の退化が記述されているので、
これをみてみることにする。

また、
Tata lectureⅡ(Mumford)にあるThomae formulaを
EXPLICIT MUMFORD ISOMORPHISM FOR HYPERELLIPTIC. CURVES
(http://www.math.leidenuniv.nl/~rdejong/Mumford2.pdf)
により復習することにする。

-----------------------------------------------------
Log smooth deformation and moduli of log smooth curves
http://www.math.kyoto-u.ac.jp/~kato/Data/moduli.pdf
が参考になりそうだ。

Coverings in p-adic analytic geometry and log coverings I: Cospecialization of the (p')-tempered fundamental group for a family of curves
http://arxiv.org/abs/0909.2805
に、log退化を含めた曲線族の話があった。

2010年1月5日火曜日

Mumford curveと力学系

* binary treeに対応するMumford curve
genus2のMumford curve
ということになる。
この場合は、超楕円曲線であり、
- いつ、Mumford curveになるか
- special fibreのdual graphはなにか
については、
"Schottky Groups and Mumford curves"(Gerritzen&van der Put)5.3 p168の表にまとまっている。

* Symbol dynamicsに対応するMumford curve
binary treeに対応するcantor setは、
{0,1}をシンボルとする記号力学系
の軌道とみなせる。
これから、
g個のシンボルによる記号力学系が、c(x,y)によって定まっている、と考えると、
記号力学系のstableな極限がΓ+に対応して、
Mumford curveが対応する。

ここで、重要な点は、Mumford curveが対応すると、
定義体が定まり、有限次拡大の場合のvalue pointsの分岐の様子、
すなわちガロア作用が定まっていることである。

* period
special fibreの各辺の長さは、p冪になっている場合は、C_p上で実現できるが、
そうでない場合は、超越次元の高い体上でのみ、実現できる。
Mumford curveに対するMarcolliらの論文で非可換幾何がでてきたのは、
periodの数論性に関する点を、AF環などをみることにより、気にする必要がなかったからでは?
と推察する。
Tate curveの場合は、periodはj-invariantにより求まるが、
高種数の場合はテータ関数を用いて見ることになる。
- ガロア群のTate moduleへの作用による代数的なテータ関数をみる
- periodの数論性とテータ関数の性質の対応
といった点が気になる。

* 曲線のモジュライのなかでMumford curveが占める部分と一元体
任意のstable graphはMumford curveのspecial fibreとして実現できるので、
曲線のモジュライのなかでMumford curveが占める部分およびそのコンパクト化から、
極限集合の集合への対応が得られる。
このうち、metricに由来するものはpに依存するが、組み合わせ的な部分はp->1として、
一元体に持っていっても変化しないと予想される。
そのため、
一元体上での曲線のモジュライは興味ある対象である。
-Harer-Zagierの公式が一元体上で導けるかどうか?
という点が気になる。

* p進体の力学系との対応に関して
"The Arithmtic of Dynamical Systems"(Silverman)
の5.5にφ(z)=(z^2-z)/pによる力学系がでてきて、
これがQ_p上に制限したとき、{0,1}の記号力学系、すなわちbinary treeに対応する。
0,1が不動点なので、
binary treeに対応するMumford curveが{0,∞},{1,∞}を軸に持つ双曲的元で生成される群に対応する、
ということとmatchする。
この対応を理解すること、
さらに、
- 有理関数のモジュライから曲線のモジュライへの写像が存在するか?
というのは、興味ある問題になる。

----------------------------------------
力学系との関係については、
Dynamique p-adique (d'après des exposés de Jean-Christophe Yoccoz)
http://arxiv.org/abs/0912.5413
が図が多く参考になりそう。

有理関数とクライン群については、
複素数体上においては、
Sullivan の辞書, Teichmuller spaces, そして中心予想
http://www.kurims.kyoto-u.ac.jp/~kyodo/kokyuroku/contents/pdf/0959-3.pdf
という形で関係が記述されていた。
PSL2(Q_p)における基本群の表現から、p進Teihimuller空間を作って、
複素数上の類似を考えることはできるだろうか?
あるいは、表現を考えるために、B_dRのようなp進周期環における表現を考える必要があるだろうか?