2011年2月28日月曜日

累積分布の逆関数

一様分布の乱数から、確率測度のシミュレーションを行うときに、
自然と累積分布関数の逆関数、という話が出てくる。

ここで、逆関数をみる、ということは、
楕円積分などのアーベル微分と絡んでもよいと思うのだが、
分布関数が種数1以上の代数曲線の周期と結びついた確率測度、
という話をみたことがないので、
面白い分布関数がないものか?
と気になる。

* 代数曲線の種数増大列
Katz-Sarnakのランダム行列の議論では、
有限体上の代数曲線の列で、種数->無限大
となるものを考えて、
そのフロベニウス作用素の1次コホモロジーの固有値
から作られる確率測度のGUEへの収束をみていた。

* ベータ分布
上記の代数曲線の列として、
GUEに収束しないものの例として、
Fermat曲線があげられている。(ただし、次数と標数に制限がつく。)
Fermat曲線は、
射影直線の{0,1,無限大}における分岐
によって得られ、
式の形からも、標数0に持ち上げられ、
整数環上定義されるものである。

複素数体上で、
Fermat曲線のアーベル微分をみると、
その周期は、ベータ関数で表される。
ベータ分布でパラメータが特殊な有理数となっているものの列
が、標数pへのreductionでGUEに収束しない列を与えている。
ベータ分布は、事前分布も事後分布もベータ分布となるような、
尤度関数を持っている。

* そこで、次の疑問がわく。
射影直線の{0,1,無限大}における分岐、
すなわち、dessin d'enfantを考えて、
適当な被覆列をとる。

1. その[0,1]におけるアーベル微分の周期をとって、確率測度とする。
被覆列についてみると、確率測度の列ができるが、
この列を事前分布、事後分布として解釈できるような尤度関数は存在するか?
2. 確率測度の列について、各尤度関数は、その代数曲線のempirical measureのレート関数と、なにか関係がつくか?
3. 適当なパラメータの特殊化を行って、有限標数にreductionを行うと、代数曲線列は、固有値測度がGUEに収束しない列となりうるか?

2011年2月10日木曜日

タウ関数についての妄想

p-adic periods and the derived de Rham cohomology
(http://arxiv.org/abs/1102.1294)
では、
derived algebraic geometryの言葉を用いて、
B^{+}_{dR}をA_{dR}:derived de Rham algebra
のderived p-adic completionとして同一視している。

h-topologyやcotangent complexの枠組みを理解していないので、
詳細はよくわからない。

一方、
$\epsilon$-factors for Gauss-Manin determinants
(http://arxiv.org/abs/math/0111277)
では、
residueによるdualityを利用して、
クリフォード群とハイゼンベルグ群を整理し、
射影加群とdeterminant line bundleの言葉で、
タウ関数のフェルミオン的な立場を代数的に記述している。

上記のp進的な話が、p-adic differential equationあるいは、
ガロア表現を通じて、タウ関数と結びつき、
さらに、
derived algebraic geometryの言葉を通して、
free loop algebraひいては何らかの意味でのWiener空間と自然に結びついてくれるとうれしい。