2015年6月17日水曜日

局所体のGalois群間写像のgeometricity

局所体の絶対Galois群

[Weinstein]では、局所体の絶対Galois群を、ある幾何的対象の幾何学的基本群と見なせることを示している。 
(この幾何的対象は、Fargues-Fontaine曲線となる。) 
幾何学的基本群であるから、base pointをひとつ決める必要があるが、 
その決め方は、局所体の代数的閉包に依存している。 
局所体E/Qpに対して、
  • 代数的閉包を取る。そのp進完備化をCとする。
  • OEの素元πを取り、対応するLubin-Tate拡大Eを取る。この時点で、GalE/EO×Eが定まる。(local class field theory)
  • SpfOE上のformal group、Lubin-Tate formalOE-moduleH=HEを定める。
  • SpfOE上のformal schemeHに対して、そのπの乗法に関するinverse limitとしてのuniversal coverH~E=limπHESpfOE上のformal schemeにおけるE-vector space objectとして定める。
  • OCに引き戻しadic generic fiberをとり、perfectoid space(Prop3.2.2) H~adE,Cを定める。
すると、H~adE,C{0}上のE×-equivariant finite etale coversとfinite etale E-algebrasが対応する。(Th4.0.10)
  • πに対する依存性は途中のFrobenius作用素への分解で吸収される。
  • tiltingはperfectionなので、canonical。πに対する依存性は消える。
  • perfectoidにおいてFrobenius作用素はisomorphism。(lem4.0.9)
なので、open unit discをEに依らない普遍的な対象と思うと、
  • open unit discH~adCSpfOE上のE-vector spaceの構造を定める
  • E上のmodelH~adEを定める(Prop4.2.1)
を前提として、 
上の手順は、
  • E×-equivariant finite etale coversの圏を定める
という部分と、
  • GalE/EO×Eという同型をひとつ定める
という部分に分解される。 
E× 作用とGalois群のO×Eを通しての作用に整合性がある、ということが、最初に代数閉体を固定し手順を進めることに対応する。 
この整合性は、Galois群の同型からgeometricityを導く条件と同等になる、 
という意味で、局所体の絶対Galois群に対する正則構造を定めている、 
と思える。

geometricity

局所体の1次元Galois表現、すなわち指標について、
  • inertially equivalentの定義
  • 円分指標の定義
  • 体の埋め込みσ:Ekに対して、Okの素元πを取り、対応するLubin-Tate拡大kに対応する指標をNorm mapで落とすことにより、χσ,π:GkE×が定まる。
  • 指標がof qLT-typeという定義
  • 指標がof 01-typeという定義
がある。([TopⅠ]Def3.1)
α:GEの位相群としての自己同型について、下記は同値([absLoc]Cor3.4)
名前定義引用
HT-preservingHodge-Tate表現の引き戻しがHodge-Tate[absLoc]Def1.3
of HT-qLT-type拡大体に対応する開部分群の引き戻しがLT指標を保つ[absLoc]Def1.3
geometric同型が体の同型から得られる[TopⅠ]Def3.1
of qLT-typeof qLT-typeの指標の引き戻しがof qLT-type[TopⅠ]Def3.1
of 01-qLT-typeof qLT-typeの指標の引き戻しがof 01-type[TopⅠ]Def3.1
of HT-type代数閉体のp進完備化への群作用のHodge-Tateを保つ[TopⅠ]Def3.1
of CHT-typeof HT=typeかつ円分指標を保つ[TopⅠ]Def3.1
RF-preserving上付き分岐群を保つ[TopⅠ]Def3.6
uniformly toraltoral portionのp進logでの位置がp進付値内で一様に有限の誤差となる[TopⅠ]Def3.6
使用される性質は、
  • 有限次元ベクトル空間では開部分空間=全体([pLoc]lem4.1)
  • Hodge-Tate表現か否かおよびその重みは群論的に導出できる
  • inertially compatible([absLoc]Def3.1)な体の同型は同じ([absLoc]lem3.2)

疑問

  • p進局所体におけるFrobenioidは、Fargues-Fontaine曲線を幾何学的実現として持つ、と理解することができるか?
  • そうであれば、大域化して、局所体上の双曲的曲線におけるFrobenioidの幾何学的実現を定義できるか?
  • Lubin-Tate拡大をnon-abelian Lubin-Tate拡大に一般化して、正則構造の一般化(あるいは、hyper-Kahler構造)を定義できるか?
  • 複素数体上では、AnguloidにおけるS1作用と複素数体内のS1との整合性が対応すると思える。そうすると、複素数体上でのFargues-Fontaine曲線の対応物が存在するような気がしてくる。頂点作用素代数を作用素環的に見る見方とAngurloidの関係はあるのか?