2016年1月21日木曜日

filtered vector space

曲率とFrobenius写像

リーマン面上のベクトル束のmoduliでは、 
安定性の概念が重要な役割を果たした。 
moduli空間のbetti数の計算では、 
Morse理論と有限体上での数え上げの2つの方法があった。 
両方の結果が一致するのは、 
Frobenius作用素による不動点の個数を用いて、cohomologyの次元が計算ができる、というWeil予想(の易しい部分)による。 
Morse理論側では、接続の曲率をモーメント写像として、同変cohomology 
を計算していたから、 
Frobenius写像をモーメント写像と直接みなす枠組みがあれば嬉しい。

period domains

[DOR]では、 
Period domainsについて基本的な事項をまとめている。

filtered vector space

体kと拡大体K/kを固定して、FilKkが定まる。 
filtrationとdegree, rankの概念が定義され、半安定性の概念が定義される。 
半安定性では、K上のベクトル空間内のk-rationalな部分(もしくは商)空間、を見ることになる。
K/kが分離拡大の場合、テンソル積で半安定性が保たれることが、 
[T]Th1, Cor2の議論を用いて、 
[DOR]Th1.2.1で示されている。 
非分離拡大では、反例があることが、[Pink]Ex5.16にある。

Harder-Narasimhan filtration

半安定性の概念があると、Harder-Narasimhan filtration(HN-filtration)が定義できる。

GIT

[DOR]Th2.2.3では、上記の半安定性の概念が、 
Hilbert-Mumford criterionと一致することが示されている。

representability

FilKkにおける半安定対象のmoduliをが表現可能かどうかを問うとき、関手としては、schemeは少し弱い。 
離散的なデータにより部分的に分けても、 
kが有限体でない場合には、半安定性対象を取る際に、 
無限個の対象を除外する必要が出てくるので、 
そのままではschemeとして表現することが出来ない場合が多い。 
そこで、 
加算無限の情報の操作で構成される幾何学的対象が必要になるが、 
それが、rigid analytic space、Berkovich space、adic space 
といった、解析的な幾何学的対象である。 
(さらに、profinite groupで割ることを可能にする枠組みとして、 
Scholzeのdiamondがある。これをGITの見方で捉えられないか?)

Hodge-Pink構造

[DOR]では、 
上記の半安定性の議論を、 
淡中圏上のfiber関手に対するfiltrationとして一般化している。
さらに、標数p上の体を標数0に持ち上げて、 
p進体上のfiltered isocrystalについても、半安定性の概念(Def8.1.5, Def9.2.14)とperiod domainsを定義し(Prop8.2.1, Prop9.5.3)、GITとの関係(Th8.4.1, Th9.7.3) 
テンソル積で半安定性(weak admissibility)が保たれる(Th8.1.9)を示している。
p進体ではなく、標数pの局所体上では、対応する概念はHodge-Pink構造になる。
Hodge-Pink構造とp進Hodge構造とを整合して扱う枠組みとして、 
diamondを用いたMixed characteristic shtukaの概念がある。

疑問

  • filtered vector spacesの圏はquasi-abelian圏であるが、これをエントロピーの枠組みで捉えられないか?