2012年2月24日金曜日

有理整数環上のHall代数

The spherical Hall algebra of Spec(Z)
http://arxiv.org/abs/1202.4073v1
正定値二次形式と格子の組を整数環上のベクトル束と見なして、
その上のHall代数を構成している。
代数曲線の場合にベクトル束のHall代数がshuffle代数で記述できていたので、
同様の記述を試みている。
ただし、無限素点の存在とL関数のmeromorphicな性質により、
実解析的な考察が必要になり、
shuffle代数の記述にPayley-Wiener型の議論が必要になる。
L関数の関数等式は、GL(n,R)の保型形式の関数等式が対応する。

代数曲線の場合と同様、直線束で生成される代数(Spherical Hall algabra)を調べることが、
第一歩となるが、
整数環の場合は、生成元として、Eisenstein-Selberg級数がとれる。
関係式として、2次のものを調べると、Eisenstein級数の関数等式がでてくる。
代数曲線の場合に種数が1以上でH^{1}がnon-trivialの場合、零点に対応して、3次の関係式が現れる。
整数環の場合も2次の関係式で閉じていないが、
3次の場合は、Th7.7で
the space of new cubic relations in SH modulo rescaling is identified with the space spanned by nontrivial zeroes of ζ(s)
と記述されている。


* 多重L関数と、Whittaker模型
Whittaker vectors of the Virasoro algebra in terms of Jack symmetric polynomial
http://arxiv.org/abs/1003.1049v2

Archimedean L-factors and Topological Field Theories I
http://arxiv.org/abs/0906.1065v2

Archimedean L-factors and Topological Field Theories II
http://arxiv.org/abs/0909.2016v2

2012年2月22日水曜日

代数曲線のHall代数

The Hall algebra of a curve
http://arxiv.org/abs/1201.6185v1
有限体上の完備代数曲線Xに対して、その上の連接層のなす圏から、
Hall代数を構成する。
Hall代数の代数的双対には余積が定義できるが、
propernessからHall代数そのものに余積が定義できる。
hereditaryであることと、Cartan形式によりbraided categoryになり、
積と余積が整合的である。
torsion sheavesからできる代数はHecke代数になる。

H:ベクトル束のHall代数
H_{coh}:連接層のHall代数
A:tosion sheavesのHall代数(=Hecke代数)とすると、
H_{coh}はHのAによるcross積になる。
また、Aは各点でのHecke代数A_{x}のテンソル積になり、
Spec(A_{x})=local Witt schemeである。
これは、ring schemeでもある。
よって、Spec(A)は(global)Witt schemeとなる。
Aの指標はL関数を定める。
(global)Witt schemeのring schemeとしての構造は、
L関数の積構造を与えるが、これが、
Rankin-Selberg methodとなる。

Hall代数の元はベクトル束のmoduli上の関数とみなせるので、
Weil起源のmoduliのアデールによる記述から不分岐保型形式と思える。
保型形式の積は、parabolic inductionに対応する。
保型形式がcuspidalということはHall代数の元として、
primitiveであることになる。
Hall代数において、保型形式に対してHecke代数が作用するのは、
元々のHall代数の積構造を通してである。
よって、Hecke eigen cusp formという条件を考えることができる。
Hecke eigen cusp forms全体に対応するWitt schemeの部分schemeをΣ
とすると、
HをΣによるshuffle代数で記述することができる。


STANDARD MODELS FOR FINITE FIELDS
http://www.damtp.cam.ac.uk/user/na/FoCM/FoCM08/Talks/Lenstra.pdf
有限体の拡大に対して、標準的な操作を記述している。


On the arithmetic of the BC-system
http://arxiv.org/abs/1103.4672v1
整数環の上のHall代数は未だに定義できていないが、
BC系と関係はつくのだろうか?


The universal thickening of the field of real numbers
http://arxiv.org/abs/1202.4377v1
p進Hodgeに対応する周期環を実数体に対して、構成している。
ただし、hyperfieldの概念を用いている。
6.3 Table of correspondences with p-adic Hodge theory
をみると、
実数体のWitt環を{0,1,-1}を剰余体とするhyperfieldとしている。
また、p乗の代わりに累乗により射影系を定義している。
また周期環は、有限測度のラプラス変換になる。

2012年2月6日月曜日

結晶基底

量子群の結晶化
http://www.journalarchive.jst.go.jp//jnlpdf.php?cdjournal=sugaku1947&cdvol=44&noissue=4&startpage=330&lang=ja&from=jnlabstract

sl2の場合から初めて、一般の半単純Lie環の場合に説明をしている。

Lectures on canonical and crystal bases of Hall algebrashttp://arxiv.org/abs/0910.4460v2
chapter4 Th4.6
Kashiwara operatorの説明と、どのような場合にcrystalが
表現から来るものの類似になっているかの説明がある。

Tensor product multiplicities, canonical bases and totally positive varieties
http://arxiv.org/abs/math/9912012v1
Littlewood-Richardson ruleの一般化。
polytopeを用いてテンソル積の分解の重複度を表している。
そこで、polytope->Cartan subalgebraというmoment mapもどきが定義され、
そのpush forwardによりDuistermaat-Heckman measureが定義できる。
この測度はLebesgue measureに対して絶対連続で、区分的多項式を密度関数に持つ。

Continuous crystals and Duistermaat-Heckman measure for Coxeter groups
http://arxiv.org/abs/0804.2356v2
Theorem 5.1. The stochastic process Pw0 η is a Brownian motion in V conditioned, in Doob’s sense, to stay in the Weyl chamber C ̄.
とCrystalの時間を無限素点で完備化して、Brown運動として捉えている。

Introduction: Multiple Dirichlet Series
http://sporadic.stanford.edu/bump/multiple.pdf
有限素点においてCrystalによりWhittaker functionを記述している。
さらに、Crystalの組み合わせ的構造から、自然に
6頂点モデル(Ice type model)の分配関数として計算ができることを示唆している。
この元々の動機は、多重Dirichet級数の解析接続とFourier係数の明示式から来ている。そのため、n重被覆も問題にしている。
Crystalの上での和を、有限素点を時間とするBrown運動(局所定数関数)とみなして、実務元素点を時間とする連続Crystalと対比させるのも面白い。
また、多重Dirichlet級数を有限体上のcurveの場合に考えて、Langlands対応の話をCrystalの話に結びつけることも、
必要なことと思われる。