2009年10月20日火曜日

繰りこみ群とガロア群

2点を一つの辺で結んだグラフCを考える。
Cをdual graphとするspecial fiberをもつMumford curveを考え、その定義体をkとする。
kはすべての1の冪根を含むとしておく。
kの分岐拡大とCのsubdivisionが対応するので、
Cを区間と見てその上の反射ランダムウォークに関する繰りこみ群と、
kの素元に関する冪をとったアーベル拡大とが対応する、と思える。

同様に考えると、
genusがgのグラフCに対して、それをdual graphとするspecial fiberをもつsemistable curve
に関して、
定義体kの分岐拡大とC上のランダムウォークに関する繰りこみ群を関係付けることができないだろうか?

また、
Mumford curveXについてXのn-infinitesimal value-point X(O_k/m^n)
をとって、対応するfinite graphの列C_nを考えると、
これは有限グラフの拡大列となっている。
XのKodaira-Spencer mapを代数的に見ると、Eichlerの記述からΓに関する群コホモロジー
と対応がつくと思われるが、
逆に有限グラフについて、変形理論ができるような有限グラフの拡大はどのようなものになるだろうか?
有限グラフの圏については、Consani-MarcolliのSpectral triples from Mumford curveにおけるdirected graphの定式化が見やすい。
この圏において、グラフの変形を特徴付けることができるだろうか?

さらに、
special fiberにおける退化という枠組みを、Connes-Krimer代数の観点でみると、
上記のグラフ上のランダムウォークとrough pathを関係付けることができないだろうか?

Period mappings and differential equations. From $\bf C$ to $\bf C_p$
http://arxiv.org/abs/math/0203194
template fundamental groupという概念が参考になるだろうか?
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Tempered fundamental group and metric graph of a Mumford curve
http://arxiv.org/abs/0811.3169
単に有限グラフというだけではなくて、その上のmetricの情報込みで、
数論的に定義される基本群の情報から回復できる、ということが書いてあった。

Grotherdieckのdessins d'enfants は数体上定義された代数曲線が、
その数論的基本群から回復できる、というものであり、
そこでは、2部グラフが利用されていた。
ex. http://math.arizona.edu/~swc/aws/05/05Notes.html

また、
Universal periods of hyperelliptic curves and their applications
http://www.kurims.kyoto-u.ac.jp/~kyodo/kokyuroku/contents/pdf/1002-9.pdf
をみると、Tate-curve上などで、p進解析的テータ関数を用いて、タウ関数を記述しているので、
共形場理論における共形次元1/2の場合の相関関数の記述ができると期待したくなる。
すなわち、
Geometric realization of conformal field theory on Riemann surfaces
http://www.springerlink.com/content/p143873t3734u772/
における、Ward恒等式がp進解析的にも意味を持つのではないか?と勘繰りたくなる。

そして、
1. dessins d'enfantsにより定まる2部グラフの列
2. 1の2部グラフから定まるisoradial-graphの収束先によって指定される共形場理論
3. 1のdessins d'enfantsの元となる数体上の曲線をp進で考えてのMumford curve(totally degenerateが必要だが)
4. 3のMumford curveから定まる有限グラフの列上のランダムウォーク
が互いに関連しあっている、
と想定される。(どう関連するのか記述できないので数学になっていないが。)

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2009年10月16日金曜日

Berkovich空間とグラフのC*環

Mumford curveにまつわるC*環については、
Spectral triples from Mumford curves
http://arxiv.org/abs/math/0210435
Noncommutative geometry on trees and buildings
http://arxiv.org/abs/math/0604114

がある。
Spectral tripleの中ででてくる空間は、Berkovich空間として解釈できないだろうか?
というのが疑問。
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ディラック作用素は、infinitesimalなグラフの拡大から生じるフィルター付空間において、
固有値を指定することで与えられている。
special fiberにおけるディラック作用素は、元のグラフのラプラシアンから誘導されるディラック作用素と、どう関係してくるのだろうか?
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Modular Index Invariants of Mumford Curves
http://arxiv.org/abs/0905.3157
では、テータ関数とグラフの重みの関係が記述されている。
複素関数としてのテータ関数は、いわば熱核だから、
グラフ->テータ関数->熱核
という形で理解できるのだろうか?

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この論文中では、Mumford curve上のテータ関数は離散群Γの作用を持つ正則関数、
となっている。そのため、素朴な形では熱核とは結びつかない。
代数的テータ関数と熱核を結び付けるには、どう見るのがよいのだろうか?
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On the K-theory of graph C*-algebras
http://arxiv.org/abs/math/0606582
有限グラフについて、Cuntz-Krieger環のK群が決定されている。
これと有限グラフのヤコビアン多様体の関係を見てみたいところだ。
C*環のK群を代数的K群の0次と1次が周期的に並んでいるもの、と理解すると、
K1は類体論からアーベル拡大に関する記述を含んでいるはず。

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この論文においては、有限グラフのうちの辺を一つ選んで退化させる、
という方法でK群を計算している。
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Cuntz-Krieger algebras and wavelets on fractals
http://arxiv.org/abs/0908.0596
有限とは限らないグラフに対応するCuntz-Krieger環について、
カントール集合などと対応付けている。

Witt環W(R)はp進展開を記述するが、それと、上記のカントール集合とは、
素朴に実数上のp進展開の素元を変形させたときに出てくるずれをみている、
と捉えられるだろう。
そう考えると、Fontaineのp-adic period ringはカントール集合をgrにもつfilter付けされた空間と対応するのだろうか?

2009年10月8日木曜日

有限グラフとリーマン面

Riemann-Roch and Abel-Jacobi theory on a finite graph
http://arxiv.org/abs/math/0608360
Specialization of linear systems from curves to graphs
http://arxiv.org/abs/math/0701075

metrized graphにも、
リーマンロッホの定理やヤコビアン多様体が定義できて、しかるべき性質を持つらしい。

そうすると、気になるのは、リーマン面のヤコビアン多様体が佐藤グラスマンに埋め込めたように、
metrized graphのヤコビアン多様体が埋め込める離散佐藤グラスマンがあるのではないか?
とかんぐりたくなる。

そのためには、
metrized graphをスペクトル曲線(?)にもつ可積分系、
あるいは広田の双線形法に対応する留数定理
といったものが必要になる。

Discrete Riemann Surfaces andDiscrete Integrable Systems
http://www.newton.ac.uk/programmes/DIS/seminars/042914001.pdf
にリーマン面の中にcycleとしてfinite graphを埋め込む様子が描かれていた。

- finite graphのラプラシアンとIhara zeta関数の関係
- Riemann-Rochの定理ででているオイラー数とラプラシアンの固有関数の次元との関係
- finite graphのクラスター展開におけるアーセル関数の表示とラプラシアンの関係
- finite graphの上のブラウン運動を用いて、finite graphの上の可積分系を作れないか?
- 一つの辺が長さ0に退化していくとき、混合構造のようなものは存在するか?
といった辺りが、疑問点となる。

さらに、応用として、
- スペクトラルクラスタリング
http://nlp.dse.ibaraki.ac.jp/~shinnou/zemi2008/Rclustering/r-motegi-0624.pdf
といったあたりと関係付けることはできないだろうか?

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ZETA FUNCTIONS OF WEIGHTED GRAPHS AND COVERING GRAPHS
http://www.newton.ac.uk/preprints/NI07064.pdf
にはfinte graphのcoveringの話が出ていた。
基本文献として、
M. Kotani and T. Sunada, Zeta functions of nite graphs, J. Math. Sci. Univ. Tokyo, 7 (2000), 7-25.
http://journal.ms.u-tokyo.ac.jp/pdf/jms070102.pdf
を読む必要がありそうだ。