2015年9月1日火曜日

サマースクール復習(2015) その2


内容

場の量子論におけるテンソル積変分法

  • Hilbert空間にはテンソル積がある
  • 特異値分解によりユニタリ行列の自由度を除いて複合系の量子状態を部分系の量子状態の直積の和に分解できる
  • 部分系の量子状態の直積に分解できる時がセパラブル状態、そうでない時がエンタングルメント状態
  • エンタングルメント状態をスカラーを非可換に係数拡大する自由度を加えて形式的に直積で表すことが出来、これをMPS(行列積状態)と呼ぶ
  • 係数拡大の行列の(仮想)自由度χはエンタングルメントエントロピーと関係する
  • 近接相互作用の数が増えると行列ではなくテンソルによる自由度が必要になり、TPS(テンソル積状態)、あるいはTNS(テンソル積ネットワーク状態)と呼ばれる
  • 模型が有限系か周期系かで記述に多少の違いはあるが、境界作用素を用いて係数拡大のベクトル空間を記述することが出来る
  • 係数を変分最適化により求めることで波動関数が近似できる
  • さらに、テンソル積を階層化することを考え、TTN(ツリーテンソルネットワーク)と呼ぶ
  • これはホログラフィック繰り込み群と形式的に類似していて、スケールパラメータの次元が階層化の段数に対応する
  • しかし、木構造では相関の取り込みが不十分なので、適度に木の頂点間をユニタリ変換でつなぐ必要があり、これをMERA(マルチスケールエンタングルメント繰り込み群)と呼ぶ
  • つないだユニタリ変換を(dis)entanglerと呼ぶ
  • (enntanngler込みで)木構造の頂点から葉への部分木を因果円錐だと思うと、ブラックホールのイベント・ホライゾンの類似は、1つのMERAを鏡像で接合することに対応する
  • 物理的にはTFD(熱場ダイナミクス)の、Hilbert空間の双対コピーとテンソル積を取ることに対応する
  • 仮想的に自由度を増大させて自由度に繰り込むという意味で座標的Behte仮説法と行列積は同値である
  • Ads/CFT対応における、バルクエッジ対応との類似は、AdS計量を離散化した計量をMERAネットワークに導入したと考えることで得られる
Q: non-archimedian距離で見ると、上半平面は木構造であり、entanglerを入れるということは、special fiberでの(node)退化を導入する、ということに対応する。形式的な類似は本質的類似、という別講義のモットーに則れば、non-archimedianな空間がMERAの背後に隠れているべき、ということになる? 
Q: 深層学習におけるAuto-encoderは入力と出力を鏡像でつなげるというももので、ネットワークとしてはMERAの類似とみなせる。ということは、多層パーセプトロンの性能を、MERAの類似の手法で解析できるのでは?特に、特異構造をentanglerと対応させれば、離散構造との対応がわかりやすくなる 
Q: 宇宙際幾何における、etale構造、Frobenius構造を、Ads/CFTの枠組みで、etale構造がCFTに対応し、Frobenius構造がAdsに対応し、スケール方向の次元がFrobenioidのモノイド構造に対応する、ということになれば意味がわかりやすい。特に、代数曲線上の因子は直線束として加法が乗法へと変換されていて、それがモノイド構造を構成しているので、ある意味、エンタングルメントを見ているとも言える。

Area law - a mathematical and QIT perspective

Written with StackEdit.

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