2016年9月14日水曜日

サマースクール復習(2016) その4

moduliの対応

  • [CK] [Mirror symmetry and algebraic geometry ]

においては、
Hodge構造の退化として、maximally unipotent monodromyを定義し、monodromyがmaximally unipotent となる複素構造のmoduliのコンパクト化の境界点(で整数性条件を満たすもの)を、maximally unipotent boundary pointsとして定義している。(Def5.2.2)
一方で、Kahler構造のmoduliのコンパクト化において、large radius limit pointsを定義している。(Def6.2.2)
古典的ミラー対称性においては、
あるmaximally unipotent boundary pointにおけるPicard-Fuchs方程式の解から、良い座標系を導入することが出来て(6.31)、
large radius limit pointが対応する場合に、Kahler conesの生成元から定まる標準的な座標系との間に対応が付く、
ということがMirror mapの対応だった(6.3)。
しかし、Toric多様体およびそのanti canonical hypersurfaceの場合にconesを用いた例が記載されているものの、
moduliおよび、そのコンパクト化の対応、といった幾何学的側面は、
理論ではなく例証にとどまっているようだ。
その点で、このあたりの対応が理解できていない。

Hesse pencil

Calabi-Yau多様体(ただし単連結性は除く)の最も単純な例は、楕円曲線で、
この場合には、moduliの幾何的な構造はかなり理解されている。
[中村]では、コンパクト化について、具体的な記述がある。
平面3次曲線を射影埋め込みと見た時、埋め込みを与える大尉的切断がテータ関数となるが、これは射影曲面の大域切断から得られる。

[AD]lemma1では平面3次曲線のパラメータは1次元で、楕円曲線のレベル3のmoduli空間に対応することが示されている。また、moduliの具体的な構造は、[AD]Prop5.1。

[Z]において、上記をトーリック多様体のanti-canonical hypersurfaceとみなして、古典的ミラー対称性のMirror mapを具体的に構成することが出来ることがまとめられている。([Z]3.1.2, 3.2.3,4.1)

楕円曲線は、Ising模型と関係が深い。
[R]5 Elliptic Curves in Ising Model、では、
(54)式に現れる-familyが、Ising模型の自由エネルギーの計算に用いられる楕円曲線となっている。(ホロノミック量子場p32(2.40))
Ising模型の場合は、モノドロミー保存変形、タウ関数が導出されているが、
これをミラー対称性の側から見ると、Frobenius多様体のモノドロミー保存変形、タウ関数が対応する(はず)。

楕円曲線の場合のミラー対称性

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