2014年2月14日金曜日

楕円曲線のミラー対称性

* 楕円曲線のモジュライ
楕円曲線のモジュライは1次元で、
コンパクト化すると退化する楕円曲線に対応する部分が付け加わる。
複素数体上では、粗モジュライ空間は上半平面をSL(2,Z)で割った空間であり、
上半平面の無限遠点に対応する部分がコンパクト化で足される。

退化楕円曲線は1次元複素トーラスにnodeを付け加えたものになるので、
トーラス作用によりテータ関数などの記述が用意になる。
そこで、
- 退化した点まで含めて楕円曲線のモジュライ空間を定義すること
- bad reducitonも込めて記述ができるようにモジュライ空間を整数環上で定義すること
- Neron modelの具体的な記述を行うこと
といった点が問題になる。

ARITHMETIC MODULI OF GENERALIZED ELLIPTIC CURVES
では、整数環上での楕円曲線のモジュライ空間を定義している。

MINIMAL MODELS FOR ELLIPTIC CURVES
では、minimal regular resolutionのsmooth locusがNeron modelになることを説明している。(Th5.4)

An analytic construction of degenerating curves over complete local rings
cusp周りで実際にTate curveの退化の様子を記述している。

* ミラー対称性
楕円曲線をシンプレクティック多様体とみて、Aモデルを定義する場合、
鍵になるのはテータ関数だった。
テータ関数を概正則三角形の面積を用いて記述し、深谷圏の定義を行っていた。

しかし、ミラー対称性が複素の世界ではなくモチーフの世界の現象であるとするなら、
テータ関数はよりarithmeticに定義され、
深谷圏も、数体及び整数環、あるいは数論的モジュライ上で定義されるべき、
ということになる。

Arithmetic mirror symmetry for the 2-torus
では、テータ関数を、lattice pointsの数という形で定義している。
しかし、ここでは、底空間は、楕円曲線のモジュライ空間まで伸びてはいない。

* テータ関数の離散化、整構造、モジュライ空間への延長
保型形式にせよ、Manin-Drinfeldの定理
(ex. ON MODULAR UNITS
にせよ、
cuspでの振る舞いがモジュライ空間全体に延長する、というある種の硬さがある。

A Survey of the Hodge-Arakelov Theory of Elliptic Curves I
では、
楕円曲線の普遍拡大空間上の多項式関数に整構造を定義する
- 整構造は退化楕円曲線についてまず定義され、そこから楕円曲線のモジュライ空間全体に解析接続される
- 多項式関数は楕円曲線の等分点上での離散的な関数に対応する
ということが述べられている。
Q:これは離散的な形でHodge-filtrationの変形を測るために導入されているが、
算術的なミラー対称性として解釈できないだろうか?
Q:戸田格子の理論を上記の整構造を用いて離散化できないだろうか?

A Survey of the Hodge-Arakelov Theory of Elliptic Curves II
では、
- crystalline theta objectを定義する
- Schottky-theoretic Hodge-Arakerov comparison theorem(Th2.6)
- crystalline theta objectのhigher p-curvatureは全て消えて、素体上から持ち上がる
- Griffiths Semi-transversality
- Lagrangian Galois action(Th3.4)
- Kodaira-Spencer morphismのclassical/arithmeticの場合の整合性(Cor3.6)
が述べられている。
 

2 件のコメント:

匿名 さんのコメント...

くる?


学習院大学 目白キャンパス
2014年3月15日(土)より3月18日(火)

http://mathsoc.jp/meeting/gakushuin14mar/

aka さんのコメント...

>くる?

多分、いかないです。
佳子さま、居ないと思うし。