2013年10月3日木曜日

サマースクール復習その2


物理量のとる値

物理量がとる値は、暗黙の内に実数体の元と仮定されている。 
講義中には、物理屋からすると有理数も実数も殆ど同じ感覚、 
という説明があった。
実数体は、元に全順序を仮定した有理数体の完備化で出てくるわけだが、
  • 何故、物理量の順序に全順序性が仮定できるのか?
  • 何故、物理量にtorsionがないのか?
  • 何故、物理量に極限操作が必要なのか?
といった辺りには、何らかの説明が必要だと思う。
実数体は、 標数0の体であり、 
Fontaineの周期環のようなfiltrationが入った環、 
Novikov環のような実数値filtartionの入った環、 
といった代数構造に比べて、非常に単純な構造をしている。
宇宙において、 
極微から極大の様々なスケールの構造が、 
全順序を保って比較できる、 
という仮定は不思議な事であるし、 
さらに、 
物理量が標数pの体上に値を取っていたとしても、 
そのpが十分大きければ、普通に代表元をとることで、実際の計算にはなんの違いも出てこないし、 
p倍する、という操作自体が物理的に不可能であるような大きさであれば、 
何ら物理量として不都合はないはずだ。
極限操作、という操作も不思議だ。 
既に観測が行われた物理量は、それを有限回より多い操作で演算を行うことができる量なのか? 
という疑問がおこる。
量子力学は、複素共役というFrobenius作用素によって不変になるように、物理量を実数値としているが、
  • 実数体を剰余体として含むより大きな環のFrobenius作用素で不変な部分に値をとる
  • 十分大きな標数pの体上に値をとる
などの仮定を置くことで問題になってくるのはどういう箇所なのだろうか?
局所体上の Wiener 測度について 
を見ると、局所体上でHilbert空間のようなことをしようとすると、直交補空間の一意性が問題になってくるが、 
物理量としては、スペクトル分解が出来る必要があり、そこで実数を必要とするのだろうか?
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